インストゥルメンタル・ジャズとしては珍しく
ミリオンセラーとなった" Take Five "を収録したアルバム
デイヴ・ブルーベックはアメリカ合衆国カリフォルニア州コンコード出身のウェストコースト・ジャズの
代表的ピアニストで、長年のパートナーにアルト・サックス奏者のポール・デスモンドとの共演を残す
アルバムは1959年録音、ジャズ・インストゥルメンタルで初のミリオンセラーとなった名盤である
3曲目の” テイク・ファイヴ "がアリナミンVドリンクのBGMになり、聴けば誰でも「 あー、あれか 」と
日本でさらに有名になった経緯がある
デイヴ・ブルーベックのメロディ・メーカーとしての素晴らしさにただただ感動するばかりだし
ポール・デスモンドの優しいサックスの音色、バンド全体の雰囲気を大切にするジョー・モレロの
ドラミングなど、どれをとっても最高のジャズ・アルバムで歴史に残る名盤であって当然だと思う
§ Recorded Music §
1 Blue Rondo a la Turk - トルコ風ブルー・ロンド
2 Strange Meadow Lark - ストレンジ・メドゥ・ラーク
3 Take Five - テイク・ファイヴ
4 Three to Get Ready - スリー・トゥ・ゲット・レディ
5 Kathy's Waltz - キャシーズ・ワルツ
6 Everybody's Jumpin' - エヴリバディズ・ジャンピン
7 Pick Up Sticks - ピック・アップ・スティックス
§ Band Member §
Dave Brubeck - デイヴ・ブルーベック( Pia )
Paul Desmond - ポール・デスモンド( Sax )
Eugene Wright - ユージン・ライト( B )
Joe Morello - ジョー・モレロ( Ds )
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このアルバムは、ジャズの代名詞となっている4拍子に初めて変拍子を持ち込んだ歴史的な名盤
" タイム・アウト( 小休止 )"という洒落た名前である
皮肉なことに最大のシングル・ヒットとなった" テイク・ファイヴ( 5拍子 )"を除き全曲がデイヴ・
ブルーベックの作曲になる革命的なアルバムで、このアルバムでデイブ・ブルーベックはジャズの
リズムを強く意図して作曲していて、1曲めはロンド、2曲目はひばりの声、3曲目は5拍子、4曲目は
3つ数えたらOK、5曲目はワルツ、6曲目はジャンピング、7曲目はドラムのスティックという具合である
曲目はともかく、メンバー全員がこの意図を汲んでハッスル・プレイをしている
名曲" テイク・ファイヴ "では、リーダーのデイヴ・ブルーベックは3+2拍子の5拍子という変拍子を
本当に律儀に刻んでいる
一方メロディを奏でるアルト・サックスのポール・デスモンドは、とても柔らかくしなやかな音で
スウィングしていて、これだけ甘い音色のアルト・サックスというのもなかなか聴けない
途中のドラム・ソロのジョー・モレロのアドリブもいつ聴いても良く、こんなに楽しいジャズもあるのだ
という見本のような演奏だ
拍のとり方をバラエティに富んだ手法で取り入れた本作は" タイム・アウト "、直訳すれば" 時間切れ "
だが、固定的であった4/4や3/4拍子という" 時間からの開放 "という意味もあるのではないかと思う
世の中には非常に複雑なキメや理解に苦しむほどの変拍子を売りにする音楽が数多くあるが、それらの
音楽のほとんどが聴きやすいものとはいえず、聴いているだけで疲れてしまう音楽でさえ少なくない
ように思える
この" タイム・アウト "は変拍子ジャズの名盤として親しまれているが、先に上げたような変拍子の
聴きにくさというのは一切なく、むしろリラックスして聴くことができる
特にこの珍妙さなアルバムの1曲目を飾っている" トルコ風ブルー・ロンド "と、5拍子のスタンダードと
して有名な" テイク・ファイヴ "の2曲はインパクトといい、メロディのキャッチーさといい、適度な
緊張感といいとても秀逸である
アルバム全体を通して実験的な作品であるものの、決して取っ付きにくいものではないので未だ聴いた
ことはない人も手に取ってもらいたいアルバムである