ロック史上に残る最強のトリオが残した名作ライヴ
1973年の日本ツアーの大阪公演から収録されたライブ盤であり、もともとは日本のみ発売の作品だった
結果として短期間で燃え尽きてしまったグループだったため、非常に貴重で興味深い作品でもあるが
何といっても聴きどころは、この時期にジェフ・ベックが好んで使用していたトーキング・モジュ
レーターであろう
やや土臭い後ノリのボガート&アピスのリズム隊と、この粘っこいサウンドの絡みは絶妙であり、また
インパクトも強力、ヴォーカルの線がやや弱い部分も感じられるが、それをおいてもこの図太い演奏は
特筆ものであり、ジェフ・ベックが惚れ込んだのも頷ける
このトリオはあらゆる意味でジェフ・ベックの長い活動の中でもかなり異色のものだと思うが、ロック
全盛期の70年代の空気感を強く感じる正統派の臭いがする
暴走気味だが、カラフルなギターを聴かせるジェフ・ベックのギターは、スリリングという言葉では
表現できないほど楽しい
§ Recorded Music §
1 Superstition - 迷信
2 Lose Myself with You - 君に首ったけ
3 Jeff's Boogie - ジェフズ・ブギー
4 Going Down - ゴーイング・ダウン
5 Boogie - ブギー
6 Morning Dew - モーニング・デュー
7 Sweet Sweet Surrender - スウィート・スウィート・サレンダー
8 Livin' Alone - リヴィン・アローン
9 I'm So Proud - アイム・ソー・プラウド
10 Lady - レディ
11 Black Cat Moan - 黒猫の叫び
12 Why Should I Care - ホワイ・シュッド・アイ・ケアー
13 Plynth / Shotgun ( Medley ) - プリンス/ショットガン( メドレー )
§ Band Member §
Jeff Beck - ジェフ・ベック( G,Vo )
Tim Bogert - ティム・ボガート( B,Vo )
Carmine Appice - カーマイン・アピス( Ds,Vo )
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ティム・ボガートとカーマイン・アピスの重いリズムに乗って自由奔放に弾きまくるジェフ・ベックの
ギターは、ジェフ・ベック・グループを含めてブルースを基調としたハード・ロックの集大成ともいう
演奏で、黒のレスポールから掻き鳴らされるトリッキーなサウンドは、その後のストラトのそれとは
異なり、より重く攻撃的なもので特にトーキング・モジュレーターを使った" 黒猫の叫び "から" ホワイ
シュッド・アイ・ケアー " " プリンス/ショットガン "はジェットコースターのようなスリルがある
時期がズレたとはいえ、ジェフ・ベックがやりたがっていた超重量級リスム・セクションがバックに
いるわけだから、彼のギターが冴えないわけがない
いわゆる" ロック "時代のジェフ・ベックの最高作であり、最も時代とフィットしていたアルバムである
トリオとは思えないほどの分厚いサウンドが特徴も、練習不足のためかアンサンブルが鉄壁ではないが
バニラ・ファッジからカクタスの流れを汲むリズム・セクションの2人の個性が特に強烈で、泥臭くも
これでもかといった目立ちがりやぶり、インター・プレイが凄い
ドカドカとツイン・バスドラを駆使するカーマイン・アピスのドラム、後にジェフ・ベックと喧嘩に
なったというベース・ラインに撤しない前面に出てくるティム・ボガートの歪みまくったベース、
" 黒猫の叫び "以外ではヴォーカル、コーラスをこの2人が分け合っているが、楽器演奏がパワフルな反面
やはり少しもの足りない
後の" ライヴ・ワイヤー "ほどではないが、ジェフ・ベックのギターもとても表現力豊かである
ジェフ・ベックがハード・ロック・トリオで活躍していた頃のライヴで、ジェフ・ベックという最高に
個性的なギタリストが、縦横無尽に弾きまくる様子が聴ける貴重盤で、とにかくレスポールという
シンプルなギターから、ライヴでよくこれだけいろんな音やユニークなフレーズを出し続けられるなと
感心させられる
その真骨頂は" ジェフズ・ブギー "で、一種の大喜利みたいな演奏だが、最後には有名なTV番組の剽軽な
テーマ・ソングまで飛び出してくるウィットと、いろんな奏法を駆使する懐の深さが堪能できる
ギターの" 上手さ "は決して速弾きだけではない、むしろこういうユニークなアプローチにこそエレキ・
ギターや、こういう音楽の楽しさが潜んでいて、多彩な表現力という意味での" 上手さ "があるのでは
ないかと思う