ハイテンション!
イタリアン・ヘヴィ・プログレッシブの傑作
イタリアのヘヴィ・シンフォニックの1972年作セカンド・アルバムで、彼らの最高傑作となっているが
本作は伝説の島をモチーフにしたコンセプト・アルバムだが、正直テーマや歌詞はあまり問題ではない
特徴的なのはイタリアン・ロック・バンドの中でも屈指の変拍子を多用した複雑な曲展開と個々のスキル
粒の揃った手数多めのドラムはアルティ・エ・メスティエリのフリオ・キリコを想像させる
オルガンやメロトロンなどの鍵盤陣の暴れっぷりも見事で、アルバムを通して集中力が高くスリリングで
非常に完成度が高い
よくいわれるようにキング・クリムゾンやイエスの" 危機 "あたりとの共通点もある

§ Recorded Music §
1 Introduzione - イントロダクション
2 Primo Incontro - 第1部
3 Secondo Incontro - 第2部
4 Terzo Incontro - 第3部
5 Epilogo - エピローグ
§ Band Member §
Gianni Leone - ジャンニ・レオーネ( Key,Vo )
Lino Ajello - リノ・アイェーロ( G )
Vito Manzari - ヴィト・マンザリ( B )
Giancarlo Stinga - ジャンキ・スティンガ( Ds )
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ムゼオ・ローゼンバッハ " ツァラトウスラ組曲 "などと並ぶ名盤で、とにかく壊れている
捻れて歪んだ異型の美、不気味でどこかエロティックな狂気に満ちた世界、ロックの暴力性とクラシック
の伝統美が入り乱れつつ、無調音楽など現代音楽の要素を多分に取り入れた実験的・知性的サウンドで
煙を吹き出し火花を散らして暴走する機関車のような演奏、ピアノ、チェンバロなどの貴族的で耽美的な
響き、幽鬼が漂うようなスキャットなどが奇怪に入り乱れる
中心人物ジャンニ・レオーネはナポリ出身、オザンナの前身バンドに参加していたせいもあるのか
オザンナ・チェルヴェッロなどに通じる雰囲気も持っている
" イントロダクション "は不気味なスキャットから始まり、オルガンや怪しいノイズに彩られて高揚してき
途中ヘヴィなギターが美しいピアノと絡み合いながら頂点に達する部分が良い
そこから穏やかな歌を経た後、怪しい美しさのチェンバロが落ち着きのない演奏と絡んで走り回る展開と
ゆったり歌が入る展開が何度も交互に入れ替わる様には、頭がクラクラしてしまう
" 第1部 "は" イントロダクション "の後半の音像はそのままに激しい熱狂へと至るが、急に気品に満ちた
チェンバロが響く凄まじいコントラスト、" 第2部 "は力強い歌や儚げに歌が目立つと思いきや、すぐ
混沌に飲まれ、後半はキング・クリムゾンの" デヴィルズ・トライアングル "終盤みたいなダークな熱狂
" 第3部 "はジャージーでありつつインパクトのある展開、突然走り出すピアノが印象的、" エピローグ "
はピアノやオルガンが響く大げさで壮大な幕開け、単調に繰り返される不気味なベースの上を暴れ回る
即興演奏から音がだんだん減っていく展開が面白い
イタリアはおろか当時のヨーロッパを見渡してもこれだけパワフルで正体不明なサウンドのバンドも
なかったろうし、原始的なレコーディングでギターがあっちこっち飛び回る感じは、当時のイタリア物
にはつきもので、またそれが良いところだと思う
日本では彼らやイタリアン・ロックは根強く聴かれていて、好意的で勉強熱心なフォロワーたちが
大勢いるが、本作はどちらかというとアクが少なく垢抜けた英米物に近い感覚を持ったものだ…とはいえ
例える英米バンドが見当たらない…そういった趣である
絶妙な曲想、畳み掛ける演奏と抜けの良いヴォーカルがメインで、なるほど原始的録音方法が野蛮な
鋭さを助長していて、ダビングが少ない分音質もリアルである
荘厳というよりも、強引で不気味、なおかつ無理な展開が目立つから正直疲れる
ドラマティックなのは好きだし、随所におぉーっという展開があるから捨てがたい作品だが、ここまで
やられると逆に全体としての印象が残らない感じがする
凄い作品なのは分かる、分かるが、聴き手を選ぶ作品だと思う

