シンセサイザーの咆哮、疾駆するエレクトリック・ピアノ
聖歌隊と打楽器群は渾然一体となって乱舞する
まさに天国と地獄の絵巻物のような傑作で、ヴァンゲリスの全作品の中でこれをベストと推す人は多い
( 特に日本人 )と思うし、クラシックとロックをうまく融合した名作である
ヴァンゲリスは、この作品から大々的にシンセサイザーを取り入れた音作りを始めるが、ティンパニや
シンバル、ドラムなどの打楽器も演奏している
また、合唱団によるコーラスも本格的に取り入れているほか、イエスの元ヴォーカリスト、ジョン・
アンダーソンが歌詞、歌っている2曲目は、他では絶対に聞けない非常に美しい歌曲である
このような楽曲が1970年代に存在していたことが信じられない

§ Recorded Music §
1 Heaven and Hell Part 1 - 天国と地獄 パート1
2 So Long Ago, So Clear - ソー・ロング・アゴー、ソー・クリアー
3 Heaven and Hell Part 2 - 天国と地獄 パート2
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パーカッショニストの素養があるからか、打楽器との組み合わせなんかもすごく非凡なものを感じる
ティンパニがシンセサイザーに煽られてメロディを奏でているかのようである
1曲目の導入部とラストがベストに曲名付きで収録されていたが、もともとこのアルバムでは曲名は
おろそか単体としての曲の扱いを受けていない
この嵐のような壮大な音絵巻の中にあって一瞬の雲間から差す光のように天空から降り注いでくるような
ジョン・アンダーソンのヴォーカルがひときわ印象的である
こんな作品が出来上がれば、アンダーソンもユニットして何かもう一品演ってみたくなるだろうし
イエスとしてこの快感を味わってみたいと思うだろう
蜜月にときは短い音楽の持つ奇跡と束の間の幸せに浸かる2人の笑顔が目に浮かぶ
ヴァンゲリスの早期の作品でありながら、ヴァンゲリスのすべての曲にスタイルが詰め込まれていて
" 天国と地獄 Pt1 " " ソー・ロング・アゴー・ソー・クリアー " " 天国と地獄 Pt2 "だけなのだが、実は
各パート内で曲がいくつかに分けられている
合唱隊が入ったシンフォニックな部分、プログレッシブ的な部分、クラシカルな部分、宗教的な部分
アヴァンギャルドな部分、民族的な部分、瞑想的な部分などすべてのスタイルが詰め込まれている
ヴァンゲリス好きな人なら誰でも好きになれるはずだ
一流のシンセサイザー奏者、特にこの時期の人はシンセに関し既存楽器の置き換えというよりは
独立した楽器としてどのように響かせるかということに力点を置いていると思う
だから単純な癒し系に流されないのだろう
このサウンドは巌のように堅く、ゴツゴツした手触りを持つ電子楽器が奏でているとは思えなく、とても
ダウン・トゥ・アースな音で作られている
そういった意味では野暮ったい…だが、音楽の原始的な衝動、新しい楽器への挑戦、そういった瑞々しい
感性が、最近のシンセサイザー音楽では聴けないような感じがする
新鮮さを与えてくれることは間違いない

