トータル・コンセプト・アルバム制作に終止符を打ち
何もテーマを決めずにアルバム作りを行ったという実験作
このアルバムはクラシックとの融合、コンセプト・アルバムから離れて、もう少し制約のない中で音楽を
作ろうとしたのではないかと想像している
原点に戻って音楽作りをやってみようという感じで、イエスやEL&Pもそういった方向性を持った作品が
ある訳だが、コンセプト作品を作り続け、多重録音でアルバム制作するバンドは、バンドとしての
アイデンティティーを確認する必要があると思う
この時代がそういう時代だったのか、そういう面でこの前後のアルバムと異なるが、サウンドとしては
やはりムーディー・ブルースというか、メロトロン、" メランコリー・マン "で使われたシンセサイザー
など当時のエレクトリック・サウンドの理解者であり面目躍如という感じがする

§ Recorded Music §
1 Question - クエスチョン
2 How is it - ハウ・イズ・イット
3 And the Tide Rushes in - そして波が打ち寄せ
4 Don't You Feel Small - ドント・ユー・フィール・スモール
5 Tortoise and the Hare - かめとうさぎ
6 It's Up to You - イッツ・アップ・トゥ・ユー
7 Minstrel's Song - 吟遊詩人の歌
8 Dawning is the Day - ドーニング・イズ・ザ・ディ
9 Melancholy Man - メランコリー・マン
10 The Balance - バランス
§ Band Member §
Jusitin Hayward - ジャスティン・ヘイワード( Vo,G )
John Lodge - ジョン・ロッジ( Vo,B )
Ray Thomas - レイ・トーマス( Vo,Flt )
Graeme Edge - グレアム・エッジ( Ds )
Mike Pinder - マイク・ピンター( Vo,Key )
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最初の" クエスチョン "と最後の" バランス "、すると間の曲はすべて" of "になるが、この" of "には
際立っていい曲ばかりが並んでいる
だからアルバム全体にコンセプト無しなんていわれているのだが、そんなことはないと思う
アルバムを通して全部聴いてみると、彼らはは最初の" 質問 "からまた旅に出たのだ
多くの光景に出会い、いろいろな人々に出会い、そして最後にオレンジの木の下でしばし休憩を取って
いる光景が目に浮かぶ
ゆったりとした語りからドラマティックなエンディングに向かい" 心を開こう、それが始まりの合図 "と
繰り返し歌われる" バランス "は、ムーディー・ブルースのアルバムの中でも白眉のエンディングだと思う
重々しいイントロダクションがないので雰囲気はちょっと変化したが、その分ポップ度が増した印象、
バックもシンプルさを強調していて身軽にスッキリとした演奏に時折盛り上げるために音を重ねという
いわば常套な手段に則ったアレンジが目立っている
そういう意味でも典型的な楽曲の" クエスチョン "はその典型のアレンジのおかげでメロディの良さが
さらに強調されている
シンプルなアレンジということで、特にドラムの聴こえ方が前作あたりまでとは大きく異なっていて
リズム・キープのみにこだわらない多彩なドラミングが十分に聴き取れる
それによってドラムが弱いというムーディーズのイメージは本作で一変する
要するにミックスとアレンジで割りを食っているのがムーディーズのドラムなのだろう
" イッツ・アップ・トゥ・ユー "は普通のギター・ポップになっているため、ドラムのロックっぽさを
再確認できると思う
流れ・コンセプトに比重をおいていた作風を一旦バラバラ解体して、より良いアプローチを模索しようと
する努力が見える
ただ一曲一曲にバラツキがあるとはいえ、そこはさすがのムーディー・ブルースであって曲の出来は
凡百バンドを軽く凌駕しているからすごい…なんだろう奇妙な説得感がある
1〜5なんかはその典型で、並ぶ5曲はそれぞれヘイワード、ピンター、トーマス、エッジ、ロッジの
作品で配置構成されているが、改めて特色ある面子なんだと思う
その中でもジャスティン・ヘイワードは頭一つ抜けている
ありそうでない音楽、他人には作れない開拓性に富んでいるが、まったく生みの苦しみを感じさせない
自然さにあふれているのが凄い
独創性なら彼の右に出るものはいないだろうというくらい、作る曲、作る曲ことごとく外れがないのには
脱帽するしかない

