シングルやアルバム収録曲などが選曲させた
初期のベスト・アルバム
初期3枚のアルバム" 夜明けの口笛吹き " " 神秘 " " モア "から選曲されているほか、アルバム未収録だった
シングル" アーノルド・レーン "や" シー・エミリー・プレイ "など貴重な楽曲が収録されている
また、" 夢に消えるジュリア "、一般的にはアルバム" ウマグマ "収録のライヴ・ヴァージョンで知られて
いる" ユージン、斧に気をつけろ "のスタジオ・ヴァージョンなども収録されている
全体的にサイケデリック思考の強い編集盤で、シド・バレット時代の曲も多く選曲されておりメンバーの
シド・バレットに対する思いを感じさせる
アルバム・ジャケットの" 楽器の城 "のような不思議なイラストは、ドラマーのニック・メイスンに
よるものである
§ Recorded Music §
1 Arnold Layne - アーノルド・レーン
2 Interstellar Overdrive - 星空のドライブ
3 See Emily Play - シー・エミリー・プレイ
4 Remenber a Day - 追想
5 Paint Box - 絵の具箱
6 Julia Dream - 夢に消えるジュリア
7 Careful with That Axe,Eugene - ユージン、斧に気をつけろ
8 Cirrus Minor - サイラス・マイナー
9 The Nile Song - ナイルの歌
10 Biding My Time - バインディング・マイ・タイム
11 Bike - バイク
§ Band Member §
Syd Barrett - シド・バレット( Vo,G )
David Gilmour - デヴィッド・ギルモア( Vo,G )
Nick Mason - ニック・メイスン( Ds )
Roger Waters - ロジャー・ウォーターズ( Vo,B )
Richard Wright - リチャード・ライト( Key )
一見初期のベスト・アルバムにみえるが、実はピンク・フロイド愛好家向けのアルバムで入門者には
あまりお勧めできない感じがする
ピンク・フロイドの名義の作品だが、見事なくらいシド・バレット時代前後で作風が全く違う
その意味でシド・バレット脱退に伴ういわば" ミッシング・リンク "期間のバンドの状態を聴くには興味
深い内容になっている
バンドが、シド・バレットの遺した混沌としたサウンド・アイディアを受け継ぎ、良い意味で大衆化
( 一部カルトではなく、広く一般人にも共感できる" 群衆のマイノリティ "としてのサウンド )させて
いった過程を、何となく窺い知ることができる
選曲面では、アルバム未収録曲を中心に編集されている点で大変貴重な作品といえる
" アーノルド・レーン "はピンク・フロイドの記念すべきデビュー曲、" シー・エミリー・プレイ "は
セカンド・シングルとなった曲で、この曲はデヴィッド・ボウイを始め多くのミュージシャンにカバー
されている
さらに注目すべきは、ピンク・フロイド史上最狂のカオテック・ハードコア曲" ユージン、斧に気を
つけろ "のスタジオ・ヴァージョン
上述したように" ウマグマ "でのライヴ・ヴァージョンが有名だが、こうしてスタジオ・ヴァージョンの
ほうが聴けるのは貴重である…が、あの鬼気迫る緊迫感や焦燥感はライヴのほうが数段上
こうして順を追って聴いてみると、シド・バレット在籍時をそれ以降ではバンドの雰囲気がガラリと
変わっていることがよく分かる
アルバム後半の" サイラス・マイナー "、" ナイルの歌 "は" モア "からの曲だが、デビュー2年でこの
変わりようである
" バインディング・マイ・タイム "は当時の未発表曲、ブルースっぽい雰囲気で後の方向性を予感させる曲
ここまで基本的に時系列順に進行しているが、ラストをシド・バレット作の" バイク "で締めるという
構成は実にセンスがよい
初期のピンク・フロイド、特にシド・バレットに思い入れのある人は、デビュー作" 夜明けの口笛吹き "
ソド・バレットの1stソロの" 帽子が笑う…不気味に "とともに持っておきたい1枚である