感傷派の代表格CAMELの代表作" Mirage - 蜃気楼 - "
1974年発表のセカンド・アルバム、自作以降と比べると若干ハード・ロック的な要素もあり、また
露骨にキング・クリムゾン的な要素を取り入れるなど、そこが魅力とも発展途上ともいえるが、
キャメル全体として捉えてみればかなり水準の高い作品であり、異色なだけにファンには特に魅力的だ
すでにキャメル独特の叙情性は感じられ、若干の実験的な部分もみられる
本作からピーター・バーデンスはミニ・ムーグを、アンドリュー・ラティマーはフルートを使用し
始めるため、このアルバムはキャメルのプロトタイプといってもいい作品である
ハードで美しい高作品で、タバコのパッケージをモチーフにしたジャケットも素晴らしい
§ Recorded Music §
1 Freefall - フリーフォール
2 Supertwister - スーパーツイスター
3 Nimrodel - ニムロデル
ⅰ) The Procession - プロセッション
ⅱ) The White Rider - ホワイト・ライダー
4 Earthrise - アースライズ
5 Lady Fantasy - レディ・ファンタジー
ⅰ) Encounter -出会い
ⅱ) Smiles for You -微笑
ⅲ) Lady Fantasy - レディ・ファンタジー
§ Band Member §
Andrew Latimer - アンドリュー・ラティマー( G,Fl,Vo )
Peter Bardens - ピーター・バーデンス( Key )
Doug Ferguson - ダグ・ファーガソン( B )
Andy Ward - アンディ・ウォード( Ds )
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キャメルといえば" 白雁 " " 月夜の幻想曲 "が挙がると思うが、サンタナやゲイリー・ムーアのファンには
むしろ本作を最初に聴いてもらいたい
次作以降と比べるとキーボードの存在感が若干弱く、そのせいもあってかサンタナばりの激情的で
エモーショナルなギターの音色を聴くことができる
アルバムの内容は、まさにジャケット通りといった感じで、暑い昼の砂漠をイメージさせるギターが
泣きまくる曲と、涼しい夜の砂漠をイメージさせるキーボード、フルートを中心とした幽玄で
ミステリアスな曲が交互に並んでいる
" フリーフォール "はエッジのききまくったギター・リフと、どこまでもエモーショナルなヴォーカルが
絡み合って何ともエスピキュリアンな空間ができあがる
" ニムロデル "の9分間はとても濃密で、否や応でもリスナーを異次元に連れて行ってくれく曲、この
奇妙な感覚は筆舌に尽くし難いので、ぜひ聴いてみて感じてもらいたい
" スーパーツイスター " " アースライズ "はインストゥルメンタル・ナンバー、" スーパー・ツイスター "
はアンドリュー・ラティマーの演奏するフルートの多彩な音色が楽しめる
" アースライズ "は、まさにメンバーそれぞれのテクニカルな演奏を思う存分に堪能できる超一流の
インタープレイである
息をつく暇もないほどの緊張感は素晴らしく、ラスト・ナンバーの" レディ・ファンタジー "は12分に
およぶ大作となっている
キャメルというバンドの魅力がすべて詰まった最高の1曲である
アンドリュー・ラティマーは知名度は低いかもしれないが、間違いなく70年代屈指の泣きのギタリストの
一人で、プログレ・ファンはもちろんのことギター・ファンにもお勧めである
" ミラージュ( 蜃気楼 )"というだけあってプログレッシブ・ロックはプログレッシブなんだが、
ガチガチに構築した世界観ではなく、聴くたびに愉しむ焦点がずれるような、そんなとりとめのない
サウンドで溢れている
フレキシブルな聴き方ができる人にはぜひ勧めたい1枚である