CAMEL - Moonmadness ：月夜の幻想曲 -

全編インストであった" 白雁 "から一転、再度ヴォーカルを
フィーチャーし幻想美学の頂点を極めた第一期CAMEL最後の作品

イギリスのプログレッシブ・バンド、キャメルの4thアルバムで、タイトルとジャケットの幻想性と

いうことなら本作が最高だろう

サウンドの方もシンセに絡む緩やかなフルートの音色がとても美しく、しっとりと聴かせるヴォーカル・

メロディとともに、月夜を眺めるような感覚になる

シンフォニックかつたおやかでスタイリッシュにまとめられた音色は、これ以降のシンフォニック・

バンドのお手本とするような部分もある

全体的には前2作に比べやや地味だが、このバンドの美しさをよく味わえる1枚だ

癒やし系などという言葉が出回るずっと以前から独自の世界観をもち、美しいメロディで感動させて

くれたキャメルでもおそらく最高作で、彼らの世界にどっぷり浸かると時間が経つのを忘れてしまう

§ Recorded Music §
1 Aristillus - アリスティラスへの誘い
2 Song Within a Song - 永遠のしらべ
3 Chord Change - 転移（ コード・チェンジ ）
4 Spirit of the Water - 水の精
5 Another Night - 月夜の幻想曲（ ファンタジア ）
6 Air Born - ゆるやかな飛行
7 Lunar Sea - 月の湖

§ Band Member §
Andrew Latimer - アンドリュー・ラティマー（ G,Fl,Vo ）
Peter Bardens - ピーター・バーデンズ（ Key ）
Doug Ferguson - ダグ・ファーガソン（ B ）
Andy Ward - アンディ・ウォード（ Ds ）

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オリジナル・メンバーによる最後の作品であり、本作をもってベースのダグ・ファーガソンが脱退する

本作はムーグのシンセが全編で大活躍していて、あの暖かみのある不器用な音色を楽しむには最適である

また、オルガンのプレイは特筆モノであり、エレピのプレイなど含めて鍵盤関係は特に聴き応えがある

作品としては地味なポジションになりそうだが、彼ららしい高水準の楽曲がそろっていえて、なんと

いってもこの作品には不朽の名曲" 水の精 "が入っている

キャメル・タイプのどこのグループでもいえることかもしれないが、初期ほどメロディそのものの

美しさで聴かせ、後期ほどアレンジの妙で聴かせる曲が多くなる傾向にある

この曲のメロディは純粋に美しく、プロコル・ハルムの" 青い影 "などと並んで、まさに不朽の名曲と

いえるし、もちろんほかの曲も美しい名曲がならぶキャメルの代表作のひとつである

美しいフルート、シンセ、もちろんアンドリュー・ラティマーの哀愁のギターも泣かせる

月の湖(うみ)

• キャメル
• ポップ
• ¥255
• 

• provided courtesy of iTunes

まるでロールプレイングゲームのテーマ曲のようなオープニングから最後までとても美しく、

ファンタジックな雰囲気の作品で、作品全編にわたって大々的にフィーチャーされているキーボードは

とても美しく、ギターも適度に湿り気を帯びた繊細なサウンドでとてもいい感じである

エフェクトがかかったようなヴォーカルもひとつの楽器のような使われ方をしていて上手く楽曲に

溶け込んでいる

またフルートが非常に効果的に使われていて、この作品の魅力を増すことに貢献している

ジャンル的にはプログレの部類に入るかもしれないが、どの曲もメロディが非常に美しくとても聴き

やすいので、普段そういった音楽に馴染みのない人でも、それほど身構える必要はないと思う

ブリティッシュ・ロックならではの美しく気品に満ちあふれた音楽である

キャメルはプログレに分類されるが、キング・クリムゾンが静寂と激しさを巧みに表現し、イエスが

テクニックとコーラスで魅了したのとは異なる魅力をもっていた

少し甘っとろく流れる曲調の中に、シンセやフルート、そしてギターが実に絶妙に奏でられていく

その最高峰に位置するのがこのアルバムで、特に" 月の湖 "は名曲で、いつ聴いてもこのギターには心が

揺れ、後半には曲の中に吸い込まれていく

後にメンバーが変わって、フュージョン系の曲が加わり、ややポップになっていくキャメルも好きだが

幻想的な雰囲気を維持している本作をどうしても愛聴してしまう

Moonmadness (w/ bonus track)