Earth,Wind&Fire黄金期の出発作
ロッキー山脈に囲まれたカリブー・ランチで録音
冒頭一発目から目の覚めるようなファンク・チューンで始まる1974年の5thアルバムで、勢いよく
弾けるリズム・セッション、切れ味鋭いソリッドなサウンドが聴き手の感性をよく刺激するその曲
" 宇宙よりの使者 "は彼らにとって初のトップ10ヒット( R&Bチャート )となった曲であると同時に
代表曲のひとつにもなった
このインパクト大なオープニング・ナンバーが象徴的に示しているように、本作での彼らというのは
これ以前の自らの作風をかなりの部分において刷新してきている
§ Recorded Music §
1 Mighty Mighty - 宇宙よりの使者
2 Devotion - デヴォーション
3 Fair But So Uncool - 虚飾の人間
4 Feelin' Blue - 暗鬱な時間
5 Kalimba Story - カリンバの歓喜誘惑
6 Drum Song - ドラム・ソング
7 The Nine Chee Bit - 愛の秘薬
8 Spasmodic Movements - スパズモディック・ムーブメンツ
9 Rabbit Seed - ラビット・シード
10 Caribou - カリブーの大地
11 Open Our Eyes - 太陽の化身
§ Band Member §
Philip Bailey - フィリップ・ベイリー( Vo )
Larry Dunn - ラリー・ダン( Key )
Johnny Graham - ジョニー・グラハム( G )
Ralph Johnson - ラルフ・ジョンソン( Ds )
Al McKay - アル・マッケイ( G )
Maurice White - モーリス・ホワイト( Vo,Ds )
Verdine White - ヴァーダイン・ホワイト( B )
Andrew Woolfolk - アンドリュー・ウールフォーク( Sax,Fl )
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進歩的かつアーティスティックな側面を前面に押し出してきたこれまでのスタイルを抑制し( まったく
封印したわけではないが )、ここで彼らが標榜するのはより輪郭が明快となった歌モノ・ポップ路線で
長尺のジャム・セッション・インスト・ナンバーは姿を消し、各楽曲実にメリハリの効いたコンパクトな
ものになっている
そしてこの方向性というのは、今後の彼らのスタイルの基本にもなっていく
確かに、アナログ盤B面での長れに従来からのスタイルを見出すことも可能ではあるが、ある意味暗く
地味であったこれまでの作風を改変し、極めて洗練度や高度の高いプロダクションを導入してメジャー
感を一気に高めることに成功している
同様にインスト・ナンバーをやってはいても、そこは従来からのものからすると、格段の進歩が窺える
ものとなっている
だからといって彼らがまったくのポップ・バンドに堕ちてしまったという訳ではなく、そこは絶妙の
バランス感覚でもって高度なアーティスト性を同時に担保してきている
そしてこの辺の抜群のセンスというのは、今後の彼らの創作活動の中においも確実に活かされていく
つまりは、この時点において彼らは自らの音楽スタイルを見出し、かつまた、その創作手法についての
開眼を成し得た瞬間であったといってもいい
本作を起点として、彼らの快進撃はスタートすることになる
このアルバムから初めてメンバーのモーリス・ホワイトがプロデューサーとして名を連ねた作品で、
本作は全米チャート15位にランク・インされプラチナ・ディスクに輝いた
次作" 暗黒への挑戦 "が全米1位を獲得していることから黄金期の幕開けといっても過言ではない
アルバムの内容としては、まだまだ荒削りで洗練はされていないがファンキー&ソウルのグルーヴ感が
あり、全体的にいい感じに仕上がっている
シングル・カットされた3曲、ファンキーな" 宇宙よりの使者 "、優雅なバラードの" デヴォーション "
カリンバを称える" カリンバの歓喜誘惑 "を始め、なかなかいい楽曲が揃っている