ライヴ・レコーディングとスタジオ録音の二部構成で
Coltrane Musicの核心を捉えたベスト・セラー作品
レコーディングではジョン・コルトレーン、マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソン、エルヴィン・
ジョーンズという" クラシック・カルテット "がフィーチャーされている
ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴでは、エリック・ドルフィーとレジー・ワークマンも参加している
エリック・ドルフィーはモード様式の長い曲" インディア "で印象的な素晴らしい演奏をしているが
" インプレッションズ "では曲の締め括りでしか演奏していない
レジー・ワークマンは" インディア "のみの参加で、ジミー・ギャリソンとともにアフリカ・ドラム楽団の
ようなサウンドに近づけるために演奏している
§ Recorded Music §
1 India - インディア
2 Up Against the Wall - アップ・アゲインスト・ザ・ウォール
3 Impressions - インプレッションズ
4 After the Rain - アフター・ザ・レイン
§ Musicians §
John Coltrane - ジョン・コルトレーン( Sax )
Eric Dolphy - エリック・ドルフィー( B,Sax,Clarinet )
McCoy Tyner - マッコイ・タイナー( Pia )
Jimmy Garrison - ジミー・ギャリソン( B )
Reggie Workman - レジー・ワークマン( B )
Elvin Jones - エルヴィス・ジョーンズ( Ds )
Roy Haynes - ロイ・ヘインズ( Ds )
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全体を通してマッコイ・タイナーはピアノをほとんど弾いてなく、ヴィレッジ・ヴァンガードでの
ライヴ録音ではかろうじてピアノを聴くことができるくらいである
この時期のコルトレーンのグループに時々参加していたドラマーのロイ・ヘインズは" アフター・ザ・
レイン "でドラムを演奏、エルヴィン・ジョーンズとジミー・ギャリソンも控え目に演奏している
ジョン・コルトレーンのほかのアルバムでもいえることだが、それら以上に今作ではフォーカスが
ジョン・コルトレーンにあてられていて、" インプレッションズ "は15分近くにもおよぶコルトレーンの
ソロが含まれる
このアルバムの音楽性はモード・ジャズへの探求やインド音楽、ブルースに対するコルトレーンの
関心が反映されている
過激なヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ2曲プラス静謐なスタジオ録音2曲、" 動 "と" 静 "が
対象的なアルバムで、フェード・インで入ってくる1曲目の" インディア "から凄まじい
レジー・ワークマンとジミー・ギャリソンのダブル・ベースがうねり、深いポリリズムを刻むエルヴィン
ジョーンズのドラムが絡み合う
しばらくしてジョン・コルトレーンが登場し、ひと通りメロディを奏でる…そこにエリック・ドルフィー
ヒートアップしたコルトレーンがインプロビゼーションに移り、ソプラノ・サックスをキーキー悲鳴を
上げさせながら約5分間分強烈に吹く
機が熟するのを待って、もう良いだろうといわんばかりにドルフィーがアナーキーなバス・クラリネット
をブイブイいわせながら約3分間馬のように嘶く
最後にコルトレーンが再びアナーキーなソプラノで泣きまくり徐々に収束していく
まるでどこか別の世界に連れていかれるような約14分間がアッという間に過ぎ去る
2曲目はスタジオ録音の" アップ・アゲインスト・ザ・ウォール "、苦み走ったテナーを熱くブローする
コルトレーンにトグロを巻くような粘っこいビートで挑むエルヴィン、まるで1人ダブル・ドラムである
2人の丁々発止のせめぎ合いにマッコイ・タイナーの手が止まる
とりあえずギャリソンが軽い伴奏をつけるだけ
3曲目はヴィレッジ・ヴァンガード・ライヴの十八番" インプレッションズ "、曲の頭から終わりまで
ソロを続けているかのように疾走し続けるエルヴィンのドラム…人間業ではない
それに応えるようにコルトレーンも延々と火の出るような阿鼻叫喚のテナーを低音から高音に行ったり
来たりしながら吹き倒す
いつの間にかマッコイは吹き飛ばされどこかに消えている怒涛の14分間である
最後にやっとマッコイが美しいメロディを奏でるバラード、コルトレーンも優しくテナーで寄り添う
嵐の後の一服の清涼剤のような" アフター・ザ・レイン "でアルバムは幕を閉じる