この作品の大ヒットでHerbie Hancockは押しも
押されもせぬブラック・ミュージックのアイコンとなった
当時、ジャズ・ピアニストとしてすでに一家を成していたハービー・ハンコック、彼がさらにもう一歩
踏み出した記念すべきアルバムである
電気楽器類はもう使い始めていたが、迷いもあった…それが吹っ切れたこの1枚は簡単にいうとファンク
R&Bの要素を取り入れ、ファンクビート、16ビートでアドリブを取りまくった作品である
ハーモニー的にはシンプルだが、それだけにハンコックのエレクトリック・ピアノによるソロは
手に汗握る激しさで、さらにバンドが一体となってバシバシ決める" キメ "も心地よい
本作を聴いたジャズ・ファンはハンコックも墜落したと非難したが、ジャズ・ファン以外へは記録的に
売れ、ハービー・ハンコックはしばらくこの路線を続けるが、ジャズを忘れたわけではなかった
§ Recorded Music §
1 Chameleon - カメレオン
2 Watermelon Man - ウォーターメロン・マン
3 Sly - スライ
4 Vein Melter - ヴェイン・メルター
§ Band Member §
Herbie Hancock - ハービー・ハンコック( Key )
Bennie Maupin - ベニー・モウピン( Sax )
Paul Jackson - ポール・ジャクソン( B )
Hervey Mason - ハーヴィー・メイソン( Ds )
Bill Summers - ビル・サマーズ( Per )
|
アコースティックなジャズのハービー・ハンコックも、もちろん素晴らしいプレイヤーだが、
エレクトリックに発展していった70年代のハンコックの中でも素晴らしいアルバムになっている
この時代に機材をどのくらい使えばこんなすごい音をいくつも出し得たのか…それを求めて操る
テクニックや、プレイヤーとしての度量やセンスが突飛で確実でなければ成し得ない当時のアルバム
今聴いてもショッキングなもので、1曲1曲がそれぞれ脳にズンズンくるし、ノリも絶品である
リズム隊では所々ベースもわざとモタったりで雰囲気を盛り上げ、ドラムもビート感の強弱が随所に
素晴らしく、それぞれが引っ張り合いグルーヴしたり、果てはいきなり緊張のあるキメが光る
速い曲もいいが、ちょっとスローな曲もよく後々のフュージョンという言葉が使われるが、それ以前の
まさにクロスオーバーな作品である
Herbie Hancock - Chameleon (Audio)
古典的なジャズに縛られず、さまざまなポップス・ミュージックを吸収しジャズというジャンルの中に
それを消化してしまう、彼はとても器用に素晴らしい音楽を創り上げてしまう
シングルで発売された" カメレオン "、スライ&ザ・ファミリー・ストーンに影響を受け、そのままの
タイトルが付けられた" スライ "、荒れ狂うような激しい演奏と静かに流れるような繊細な演奏が、何も
違和感なくそこに存在している
アルバムとしての完成度も高いが、やはり" カメレオン "尽きるかもしれない…奇跡的な名曲である
曲の構成としてラスト近くにハンコックのソロ・スペースが取ってあるが、ここがこの曲の肝で、
ハンコックのフェンダー・ローズによるインプロビゼーションは鬼気迫るものがある
出だしを聴いただけで鳥肌が立ち、しかもこれで終わりかと思ったところでさらにヒートアップし
ラストまで一直線だ
ハービー・ハンコックは1963年、23歳のときにマイルス・デイビスのグループに抜擢され1968年頃まで
在籍したが、ジャズ界は折しもそのマイルス・デイビスが先導するフュージョン・ジャズの時代に突入し
そして1973年に彼がリーダーとなって制作されたアルバムがこの" ヘッド・ハンターズ "である
ここでハービー・ハンコックはシンセサイザー・キーボードを駆使し、ベースにもエレキ・ベースの
ポール・ジャクソンを起用してジャズ界に新しくエキサイティングなサウンドをもたらした
ハービー・ハンコックとその仲間たちによるフュージョン・ジャズの記念碑的なアルバムである
このアルバムでのハンコックは単なるジャズ・ピアニストとは別物のハービーハンコックで
エレクトリックを旨とし、ファッションですらもはや別物、たまにジャズに回帰するが、音楽は
ファンク、そういうミュージシャンの誕生だった