人気シンガーRandy Crawfordをゲストに迎えた作品
The Crusadersの新しいスタートを捉えたFusionの聖典
このアルバム発表前にレギュラー・メンバーのロバート・ポップウェルとビリー・ロジャースが脱退し
2人の穴埋めをスタジオ・ミュージシャンに頼むパターンが始まった
その意味では彼らの転換期のアルバムといっていいが、彼らの凄いところはヴォーカルをフィーチャー
するパターンを作ったこと…このタイトル曲は名曲、ランディ・クロフォードはこの歌で有名になった
それはともかく、アルバムとしても" ストリート・ライフ "というタイトルに相応しいイメージの曲が並び
文句なし、アルバム全体としてはいつものクルセイダーズ節で過不足ないアレンジ
スティックス・フーパーの独特な軽やかで且つファンキーなリズム、ウィルトン・フェルダーの明るい
サックス、ジョー・サンプルのツボを抑えたエレクトリック・ピアノ、どこを切ってもクルセイダーズだ
§ Recorded Music §
1 Street Life - ストリート・ライフ
2 My Lady - マイ・レディ
3 Rodeo Drive ( High Steppin' ) - ロデオ・ドライヴ
4 Carnival of the Night - 夜のカーニバル
5 The Hustler - ハスラー
6 Night Faces - ナイト・フェイセズ
§ Personnel §
Arthur Adams - アーサー・アダムス( G )
Roland Bautista - ローランド・バティスタ( G )
Randy Crawford - ランディ・クロフォード( Vo )
Wilton Felder - ウィルトン・フェルダー( Sax,B )
Barry Finnerty - バリー・フィナティ( G )
Stix Hooper - スティックス・フーパー( Ds )
Paul Jackson Jr. - ポール・ジャクソンJr.( G )
Billy Rogers - ビリー・ロジャース( G )
Joe Sample - ジョー・サンプル( Key )… etc
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ファンキー・フュージョン路線からポップ路線への転換を図った画期的なアルバムで、70年代により
ポップなバンドへと移行したクルセイダーズ、そのきっかけになったのが1979年発表の本作である
それまでインストゥルメンタル一本槍だったクルセイダーズは、この作品で初めてヴォーカルを加えた
のだが、そのランディ・クロフォードが大当たりした
初期の2管編成の手に汗握る迫力は薄れ、泥臭いファンクも薄れ、ひたすらソフィストケートされた
感じではあるが、それはそれ…ここへきてクルセイダーズは、いよいよ円熟味を増しスティックス・
フーパー、ジョー・サンプル、ウィルトン・フェルダーのオリジナル・メンバー3人のプレイも冴えに
冴え渡り申し分ないかっこよさをみせている
THE CRUSADERS - Rodeo Drive ( High Steppin' )
The Crusaders - Carnival Of The Night
ソウル、ジャズ/ファンキー、ジャズ・バンド、一度解散して再結成アルバムも出した
ファンキー・テイストなジョー・サンプルのエレクトリック・ピアノが心地よく、シャカタクなんか
よりも黒い感覚が本格的で曲のできもよい
ストリングス・アレンジなんかは鳥肌モノである
ブラス・アレンジもバッチリな" ストリート・ライフ "、ランディ・クロフォードの力強くもメランコリー
なヴォーカルが最高である
大ベテランの彼ら、出しているアルバムは鬼のように多いが、このアルバムは完成度が高いので
初めての人はこのアルバムから入るといいかもしれない
スムーズ・ジャズ的な部分も大きいので、黒人アーバン・コンテンポラリー・アルバムとしても聴ける
バンド全体のコンビネーションと歌心が非常にいい形で完成している
最初にウェイン・ヘンダーソンが抜け、ラリー・カールトン、ロバート・ポップウェルと離脱が続き
急激に都会的な音の流れに転換していくが、ウェインが抜けて2管から1管になった影響が大きかった
のかわからないが、ジョー・サンプルの作曲主体でこの後のクルセイダーズはファンキーな演奏は
薄まって洗練された音になっていく
" ストリート・ライフ "以外の曲も多彩かつ良作で、1つのアルバムとしてはよくまとまっていて70年代を
締めるにふさわしい代表作であり、今の時代に聴いても充分に耐えられる傑作といえる
いや" クルセイダーズはちょっと泥臭いファンキーな演奏がいいんだ "という人には本作よりも前の
作品が合うだろう
タイトル曲は単なるフュージョンではなく、各人のソロ・パートも充分にとってあり11分以上で構成は
フュージョンというよりジャズな感じがするが、それを意識させないのは流石というか凄いことである
タイトル曲の印象が強すぎるが、ほかの曲も粒ぞろいである