Lonnie Liston Smithのジャズ・ファンクの名盤
サンプリング・ネタ多数収録の" Expansions - 越境 - "
ゴスペルの歌を歌っていた父の影響でトランペットを幼いときから吹き始め、高校時代にはピアノ、
チューバも演奏、大学時代にはピアノを専攻し卒業後プロに道に進む
ファラオ・サンダースやアート・ブレイキー、ローランド・カーク、ガトー・バルビエリ、マイルス・
デイビスなどと共演し、RCAのフライング・タッチマンと契約し、1973年にロニー・リストン・スミス&
ザ・コズミック・エコーズを結成、翌年にファースト・アルバム" 星体遊泳 "を発表、彼は独自のスピリ
チュアルなフュージョンの構成をしていく
1975年本作" 越境 "を発表、タイトル曲は1990年にクラブ・シーンに用いられ、このアルバム以降定期的
にアルバムを発表していく
§ Recorded Music §
1 Expansions - エクスパンションズ
2 Desert Nights - デザート・ナイツ
3 Summer Days - サマー・ディズ
4 Voodoo Woman - ヴードゥー・ウーマン
5 Peace - ピース
6 Shadows - シャドウズ
7 My Love - マイ・ラヴ
§ Band Member §
Cecil McBee - セシル・マクビー( B )
Leopoldo Fleming - レオポルド・フレミング( Per )
Michael Carvin - マイケル・カービン( Per )
Lawrence Killian - ローレンス・キリアン( Per )
Art Gore - アート・ゴア( Ds )
Lonnie Liston Smith - ロニー・リストン・スミス( P,El-P )
Donald Smith - ドナルド・スミス( Vo,Fl )
David Hubbard - デヴィッド・ハバード( Per )
コズミック・ファンクの第一人者の代表作
なぜ" コズミック "なのかというと、浮遊感のあるエレクトリック・キーボードと随所に挿入される
キラキラした音が星のまたたく宇宙空間を思わせる…といっても電気音楽を導入したフュージョン的な
サウンドではなく、エレクトリック・ピアノ以外はアコースティックの楽器で演奏されているので音に
温もりと厚みがあり、決して軽薄ではない
ゆったりとしたパーカッションの心地よいリズムにのって、朴訥だが伸びのあるヴォーカルが朗々と響く
すべての音色が上質なワインのように身体に染み込んでいき、疲弊した気分も穏やかにほぐしていく
ような快感に包まれる
ロニー・リストン・スミスの作品群は、いわゆるスピリチュアル系なのだが、わりと牧歌的なフォーキー
なものから、いわゆるフュージョンまで幅広く、特に初期にはファラオ・サンダースと関わっていて
それ風の音を聴くことができるが、80年代にはイージー・リスリングのようになっていく
一貫して" 愛 "とか" 平和 "とかを訴えたいということは伝わってくる
この作品は、そんな中でもっとも直接的に肉体的にファンクが聴ける
かといってヌルヌル、ドロドロとは縁のない汗をかかない感じのクリーンなサウンド、プログレにも
テクノにも通じるものを感じるのはそういったなんか清潔感…それが物足りないという面も確かに
あるかもしれない
出だしのアープのストリング・シンセが時代を感じさせてくれ、" ヘッド・ハンターズ "以降のブラック・
ファンク時代のハービー・ハンコックを思い出す
ベース・ラインはワーナー時代のハンコック、ブッダ・レーベル時代のノーマン・コナーズを思い出す
いわゆるスピリチュアル・ジャズといわれるものだが、聴いてみると意外にポップなのにビックリする
スピリチュアル・ジャズとブラック・ファンクの隙間( ニッチ )に軽めのメロディを載せたみたいな
感じで、クラブネタで再評価というのも頷ける
先のベース・ラインやシンセ、エレクトリック・ピアノの入り方は今聴くと逆に新鮮である
コズミック・エコーズなるバンド名や不思議なジャケットに騙されると、つい宇宙的な方面に思いを
馳せてしまいそうになるが、冷静になって聴くとセシル・マクビーのベースとアート・ゴアのドラムに
のって爽やかな2管編成のジャズが展開していることが解かる
アコースティック楽器を中心としてキーボードだけが電化されているというこの時代特有のサウンドも
かえって新鮮でもある
- アーティスト: Lonnie Liston Smith & Cosmic Echoes
- 出版社/メーカー: RCA
- 発売日: 1995/05/23
- メディア: CD
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