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Ultimate Music Album - 極 -


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Return to Forever - Return to Forever:リターン・トゥ・フォーエヴァー -

1970年代、フュージョン・ミュージックの扉を開いた
チック・コリアの大ヒット作

 

1972年発売当時、ジャズ関係のレコードとしては異例のヒット作であったため" コマーシャルだ "

" ジャズじゃない "などの中傷も受けた名盤である

エレキピアノ、フルート、ソプラニーノ、エレキベース、パーカッションという編成であり、ブラジル

音楽風のヴォーカル曲、スパニッシュ風味のインスト曲、そして名バラード" クリスタル・サイレンス "

チック・コリアのラテン的な特性とポップな感性のため非常に聞きやすい音楽が紡ぎ出されている

ジャズ独特の緊張感は抑え気味に、ジャケット写真のような暖かく心地よいサウンドで満たされる

しかし" ラ・フィエスタ "などではスタンリー・クラークのスリリングなプレイも聴かれるし、随所で

聴けるアイアート・モレイラのパーカッションも気持ちがいい

ビートルズなどのロック、ブラジル音楽、現代音楽などを消化したチック・コリアのジャズ的回答の

ひとつである

 

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§ Recorded Music §
1 Return to Forever - リターン・トゥ・フォーエヴァー
2 Crystal Silence - クリスタル・サイレンス
3 What Game Shall We Play Today - ホワット・ゲーム・シャル・ウィ・プレイ・トゥディ
4 Sometime Ago - La Fiesta - サムタイム・アゴー ~ ラ・フィエス

§ Band Member §
Chick Corea - チック・コリア( El Piano )
Stanley Clarke - スタンリー・クラーク( B )
Joe Farrel - ジョー・ファレル( Fl )
Airto Moreira - アイアート・モレイラ( Ds )
Flora Purim - フローラ・プリム( Vo,Per )

 

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一般的にフリー・ジャズの行き詰まりの果てにジャズの進化はベクトルを拡散していったとされるが

そのひとつの潮流にフュージョン化があった

その道筋をつけたのが本作だと歴史的にはいわれているが、今の時代に聴くとその後の聴きやすい

" フュージョン "と較べるとキャッチーだがフリーっぽさ、難解さもブレンドされている

プレグレっぽい感じもあるが、確かにこのバランスはロックの文脈ではそういう風にいえると思う

まだ前衛が何とかとか、ジャンルを超えて機能していた時代の音なのだけど充分聴きやすく、心地よい

代わりに退屈なフュージョンとはまた違ったスリルが本番では聴けるので、新しいリスナーもやっぱり

一度は聴いておいたほうが良い1枚だし、チックの代表曲" ラ・フィエスタ "もテイクされているし

入門盤に挙げるファンも多いのも頷ける

この時代の雰囲気を想像するなら、チックとアイアート・モレイラが参加したマイルス・デイビス

" ビッチェズ・ブリュー "と聴き比べてみると、チックたちがポピュラー方面に思い切って踏み出した

一歩の意義が感じられるのではないか

 

 

 

全体的にラテン・フレーバーに味付けされたリズム隊、特にベーシストとソリストの音の応酬が絶妙で

静かな立ち上がりから複雑なリズムとフレーズと叫び声が絡み合って生み出される高揚感がたまらない

タイトル曲" リターン・トゥ・フォーエヴァー "に始まり、フェンダーローズの音の浮遊感のある美しさを

存分に活かした静寂なナンバーの" クリスタル・サイレンス "、そして、ラストの" ラ・フィエスタ "にて

最後のソリストとして登場するチックのインプロと、その背後でグイグイ煽るベースの応酬がこの作品の

ハイライトであると思う

聴いていると途中で突然始まるポップス的な" ホワット・ゲーム・… "の曲調に驚かされるが、これがまた

ちょうどいい箸休めのような機能を果たしていて、配置の絶妙さに感心する

そして" サムタイム・アゴー~ラ・フィエスタ "、静かな立ち上がりから入り、中盤にはヴォーカルが

入る部分があるが、そこがまたしてもポップス的で歌詞が簡明かつ玄妙で意味深、少し前までフリー・

ジャズの過激な演奏に傾倒していたチック・コリアの決意表明ともとれる歌詞である

歌詞の中にある" 過去の素晴らしい夢をどう実現しようか "というフレーズが予言になっていて、怒涛の

如く" ラ・フィエスタ "に移行して終わる

" ラ・フィエスタ "のハッピー・エンドな感じは爽快で聴きやすいが、よく聴くとそれ一辺倒ではなく

過激なフレーズも耽美なフレーズもポップなフレーズも盛り沢山、一大叙詩のような印象を与える

作品である

 

このアルバムは発売当時、ジャズ・ファンの間で賛否両論を巻き起こし後、大ヒットした

従来の難解なジャズとは無縁の親しみやすいメロディを持っていて、この作品がフュージョン時代の

幕開け、もしくはフリー・ジャズからフュージョンへのターニング・ポイントになったアルバムだという

位置づけになっている

チック・コリアも最初ラテン・バンドからプロ・デビューし、その出自もあってここではラテン・

テイストに彩られた生き生きとした演奏を繰り広げている

彼のリーダー・アルバムであると同時に、リターン・トゥ・フォーエヴァーというグループによる初の

組み合わせによって生まれた斬新なアルバムなので、新グループによるジャズ界における化学反応である

チック・コリアの才能はもちろんだが、メンバーの個性あふれる音楽性がぶつかり、触発されて

さらなるインプロヴィゼーションが生まれる過程において、このような後世にまで聴き継がれる名演奏が

生まれたのだと思う

 

 

リターン・トゥ・フォーエヴァー

リターン・トゥ・フォーエヴァー