躍動感あるラテン・パーカッシブな演奏からメロウな泣きのギターをフィーチャー
SANTANAの魅力を詰め込んだ1976年の好作品
このころになるとパンク・ロックといわれる音楽が流行し始め、さらに80年代のヒップ・ホップと
呼ばれるダンス・ミュージックの兆しが見え始め、ラテン・リズムを特徴としたサンタナの音楽も初期
ほどのインパクトはなくなり、彼らの音楽性も変わっていかざるを得なくなっていた
だが" ブラック・マジック・ウーマン "ぽいラテン・ロックもあり" 哀愁のヨーロッパ "風のサンタナ節が
あると思えば、ラヴ・バラードまでありどの楽曲も聴きやすい
リリースが1976年ということもあり、ブラック・ファンクなノリもある
アルバム・ジャケットも花と蛇と仏像を組み合わせて、ライオンに見立てているところなど、本来の
サンタナが戻ってきたようにも感じた
2000年代に至るまでサンタナ・バンドに籍をおいていたラウル・リコウが新加入
§ Recorded Music §
1 Carnaval - カーニバル
2 Let the Children Play - 子供たちの戯れ
3 Jugando - 喝采
4 Give Me Love - ギヴ・ミー・ラヴ
5 Verao Vermelho - 真夏の夢
6 Let the Music Set You Free - レット・ザ・ミュージック・セット・ユー・フリー
7 Revelations - 哀愁のボレロ
8 Reach Up - リーチ・アップ
9 The River - 大河のように
10 Try a Little Harder - 明日への祈り
11 Maria Caracoles - 情熱のマリア
§ Band Member §
Carlos Santana - カルロス・サンタナ( G )
Tom Coster - トム・コスター( Key )
Pablo Tellez - パブロ・テレス( Vo,B )
Paul Jackson - ポール・ジャクソン( B )
Gayload Birch - ゲイロード・バーチ( Ds )
Jose 'Chepito' Areas - ホセ・チェピート・アリアス( Per )
Raul Lekow - ラウル・リコウ( Per )
Leon Patillo - レオン・パティロ( Key,Vo )
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本作はスティーヴィー・ワンダー、ボブ・ディラン・モハメド・アリの3人に捧げられていることが
クレジットに記載されている
また、パーカッションのホセ・チェピート・アリアスが復帰し、再びその強烈なプレイを聴かせ、力強い
ティンバレス・プレイが曲にメリハリをつける上で大きな役割を果たしていたのは間違いないだろう
プロデューサーにはデヴィッド・ルービンソンで、ハービー・ハンコックの" ヘッドハンターズ "を
プロデュース、カメレオンの冒頭のベース・ラインを弾いていたポール・ジャクソンも参加、ヴォーカル
にクレジットされているウォーターズは、後にサンタナがハンコックと初めて共演した" モンスター "という
アルバムにも参加していて、ルービンソンの人脈を感じさせる
収録曲では、冒頭のメドレー" カーニバル ~ 子供たちの戯れ ~ 喝采 "が圧巻
ホイッスルからいきなりラテン・パーカッションの乱れ打ち、サルサ風のリズムを伴ってコーラスで
ひとしきり軽快に歌った後、シンセサイザー・ソロを挟んで曲がミドル・テンポになるとサンタナの
ギターが登場、ウエスト・コースト風なコーラスと絡みつつオルガン・ソロなども交えて、徐々に
テンションを上げいてくあたりはスリリングだし、そのピークでサンタナ的なリフが炸裂するラストの
曲になだれ込んでいく構成も見事である
この時期のサンタナは、キーボードのトム・コスターが音楽を全面的に仕切っていたが、この曲は
" トム・コスターが翻訳したサンタナ・サウンド "の最良といえる
" ギヴ・ミー・アップ " " リーチ・アップ "はAORサウンド、" レット・ザ・ミュージック・セット・ユー
フリー " " 大河のように "はディスコ風と、この4曲あたりがポップな曲でAORフュージョン的なサウンド
にもなっている
ジャズ上がりのフュージョンではなく、ロック上がりのフュージョンなので聴いていて楽しいし耳あたり
がよく、躍動感と明るさを全面的に押し出したラテン・ロックの精神と、流行りだったAORフュージョン
と柔らかさと滑らかさがある
" 真夏の夜 "はジプシー風なアコースティック・インストで、当時流行したサンタエスメラルダあたりを
意識した曲、" 哀愁のボレロ "は" 哀愁のヨーロッパ "の続編にあたる当時のサンタナのもう一方のメルク
マールである哀愁の欧州ムード漂う路線で、ボレロのリズムから始まる
ラストの" 情熱のマリア "は冒頭のメドレーを呼応するサルサ風のリズムをフィーチャーしたホット・
ナンバーになっている
ロックとして聴くと、尖ったところが丸くなっていて物足りなさを感じるかもしれないが、ロック畑
からのフュージョン・ジャズとして聴くとフィットする