1966年発表、ギタリストはJeff Beckに交代して
発表された作品
ジェフ・ベック在籍時のヤードバーズの代表作で、同じく1960年代ブリティッシュ・ロックを代表する
アルバム、ジェフ・ベックは本作を最後にソロ活動に入る
エリック・クラプトン脱退、ジェフ・ベック加入によりブルース色が薄まり、もともとバンドが持って
いたロカビリー嗜好とジェフ・ベック自身のギターの出発点であったロカビリー嗜好が合致、加えて
ビートルズが" ラバーソウル " " リボルバー "を発表しサイケデリック全盛期を迎えようとしていた
" サージェント・ペッパーズ "前夜の時代に咲いたジャンルを超えた傑作である
大げさに表現すれば当時のビートルズに欠けていたずべての要素がこの作品にあるといえる
§ Recorded Music §
1 Lost Women - ロスト・ウーマン
2 Over Under Sideways Down - オーヴァー・アンダー・サイドウェイズ・ダウン
3 The Nazz Are Blue - いつも一人ぼっち
4 I Can't Make Your Way - 空しい人生
5 Rack My Mind - 恋の傷あと
6 Farewell - フェアウェル
7 Hot House of Omagararshid - ホット・ハウス・オブ・オマガラーシッド
8 Jeff's Boogie - ジェフズ・ブギー
9 He's Always There - 悲しきさだめ
10 Turn into Earth - さすらう心
11 What Do You Want - 君のためなら
12 Ever Since the World Began - 愛がなければ
§ Band Member §
Keith Relf - キース・レルフ( Vo,Har )
Jeff Beck - ジェフ・ベック( G )
Chris Dreja - クリス・ドレヤ( G )
Paul Samwell Smith - ポール・サミュエル・スミス( B )
Jim McCarty - ジム・マッカーティ( Ds )
|
全曲メンバー共作のオリジナルで構成されていて、ラーガ風のキャッチーなフレーズの" オーヴァー・
アンダー・サイドウェイズ・ダウン "など後のサイケデリックを感じさせるアルバムに仕上がっている
とりわけジェフ・ベックのファズやフィードバック奏法を使ったプレイは独創的で凄まじい
得意のグレゴリオ聖歌風の" さすらう心 "や後々ジェフ・ベック・グループやソロでも取り上げる
" ジェフズ・ブギー "などバラエティに富んだアルバムで、これぞヘヴィ・メタルの原点というべき曲、
現在のブリット・ポップ・ファンの人にもぜひ聴いてほしいアルバムである
また、ヤードバースのメンバーの音楽センスが素晴らしいかを実感できるアルバムでもある
ローリング・ストーンズやビートルズなどに比べたら注目度がないように見えるが、彼らは確実に
ロックやポップという名の音楽の歴史を塗り替えている
ジェフ・ベックの肩を持とうとは思わないが、やはりこの時代のギタリストとしては彼は異常といえる
ほど個性的で上手く、何よりも一音一音のインパクトがまるで違う
ほかのメンバーも決してレベルが低いミュージシャンではないが、ジェフ・ベックが目立ち過ぎるために
影に隠れてしまっている
楽曲はこの時代の標準的なビート・ポップ、サイケ・ポップ、ブルース・ロックであり、録音も
よく三大ギタリスト云々を抜きに楽しめるし、もちろんジェフ・ベックのファンなら必聴だと思う
彼の暴れん坊ぶりは痛快だ
一般的にギタリストだけ注目されてあまりよくいわれないバンドであるが、クラプトン期とベック期は
かっこいいB級ロックって感じがいい
ギターに絡むキース・レルフのブルースハープなんか粋である
サイケデリックな季節だったので、エコーやフィードバック、妙に古風なアレンジなど不思議感満載で
ジェフ・ベックが早くもテクニシャンぶりを聴かせてくれるが、バンド・サウンドに調和している
ヴォーカルのキース・レルフは、同期のエリック・バートン、ミック・ジャガーたちに比べて心もとない
ところはあるが、逆にアルバムそのものの創りにはマッチしている
5人共作曲で固めたスタジオ盤として初めて一定の成果を上げたアルバムといえるだろう