John ColtraneがBlue Noteに残した唯一のリーダー・アルバム
ジャズというと必ず出てくる1枚で、ジョン・コルトレーンが1957年9月にブルーノートに吹き込んだ
アルバム、1957年というとジョン・コルトレーンはマイルス・デイビス・バンドでマラソン・セッション
に参加した後、約5年間在籍したマイルス・デイビスの元を離れて独立、自分の名前でジャズ・シーン
での歩みを開始する
内容はブルーノート代表のアルフレッド・ライオンがプロデュースしているが、メンバー選びや選曲など
はコルトレーンに一任された
コルトレーンはトランペットにリー・モーガン、カーティス・フラーのトロンボーンを加えた3管体制を
敷き、ベースとドラムスは、ポール・チェンバースとフィリー・ジョー・ジョーンズと当時最高の鉄板
コンビ、これにケニー・ドリューが加わってのセクステットとなっている
§ Recorded Music §
1 Blue Train - ブルー・トレイン
2 Moment's Notice - モーメンツ・ノーティス
3 Locomotion - ロコモーション
4 I'm Old Fashioned - アイム・オールド・ファッションド
5 Lazy Bird - レイジー・バード
§ Personnel §
John Coltrane - ジョン・コルトレーン( T-Sax )
Lee Morgan - リー・モーガン( Trp )
Curtis Fuller - カーティス・フラー( Trb )
Kenny Drew - ケニー・ドリュー( Pia )
Paul Chambers - ポール・チェンバース( B )
Philly Joe Jones - フィリー・ジョー・ジョーンズ( Ds )
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ブルーノートにおけるジョン・コルトレーンの唯一のリーダー作で、同レーベルではジョニー・
グリフィンやソニー・クラークのリーダー盤への参加もあり、もちろんそこでの彼の演奏も優れているが
やはりこの" ブルー・トレイン "におけるプレイには、頭ひとつ抜きん出たものを感じる
そしてコルトレーンのみならずほかのメンバーのプレイも見事だ
冒頭の" ブルー・トレイン "はダブル・テンポになったときの各々のソロがひときわスリリングな快演、
続く" モーメンツ・ノーティス "は美しいメロディが印象的で1曲目と並んでこのアルバムの白眉といえる
ほかの3曲でも各メンバーの気合の入った演奏が聴け、バラード曲" アイム・オールド・ファッションド "
を4曲目において聴き手をリラックスさせる構成も見事、スタイルの変遷が激しかったジョン・
コルトレーンだが、この1枚は難しいこと抜きでファンキーなハード・バップを楽しむことができる
脇を固めるケニー・ドリューとフィリー・ジョー・ジョーンズとポール・チェンバースが素晴らしく
ドリューは一音がクッキリと洗練されていて、どちらかというとクラシックみたいな響きをもつ
プレイヤーだが、この1枚みたいにクリアな曲調の中では透明感が冴え渡って美しい
フィリー・ジョーは何時でも何処でも陰日向なくコツコツいいプレイを聴かせてくれる
チェンバースも同じでこの人の参加している作品にハズレがない
フィリー・リー・ジョーンズとポール・チェンバーズという強力なリズム・セクションに支えられて
コルトレーン、モーガン、フラーという3管がこれでもかという演奏を繰り広げている
リー・モーガンはこのとき弱冠19歳、カーティス・フラーは22歳、この若さでこんな演奏ができる
なんて凄いとしかいいようがなく、もちろんコルトレーンの演奏は文句なく素晴らしい
ジョン・コルトレーン、ジャズに与えた影響力はとても大きい上に音楽の変遷が激しかったのでこの人の
音楽を一括りに語るのは難しい
特に晩年期からいきなり入ると、何だこりゃの世界になりがちなるので、時代を追って聴いていった
ほうが、どうしてあんなになっちゃったの、かがわかりやすいと思う
そして、どこからジョン・コルトレーンを聴こうという人にはお勧めなのがこのアルバムだ
3管というカラフルな編成だし、収録された曲の大半が有名曲になっているといういわゆる名盤だからだ
メンバー全員が勢いがあり、分かり易いカッコ良さみたいなバランスの良いアルバムである