まぎれもなくSUPER
心も体もドキドキ熱くさせられるロック感覚
1981年、前作" モダン・ヴォイス "の発表から1年ぶりとなった" プライベート・アイズ "
このアルバムは前作同様、ホール&オーツのプロデュースによるものだ
彼らをバック・アップするバンド面も前作と変わらない顔ぶれを揃えている
ホール&オーツらのバック・ミュージシャンはもとより、エンジニアやレコーディング場所まで前作と
同じというのは、これが初めてのことである
プロデューサーは1枚のアルバムだけでなく、2枚、3枚とコンビを重ねることはあってもミュージシャン
やレコーディングの場所までは少しづつ変えてきたものである
§ Recorded Music §
1 Private Eyes - プライベート・アイズ
2 Looking for a Good Sing - グッド・サイン
3 I Can't Go for That - アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット
4 Mano a Mano - マノ・ア・マノ
5 Did it in a Minute - ディド・イット・イン・ア・ミニット
6 Head Above Water - ヘッド・アバブ・ウォーター
7 Tell Me What You Want - テル・ミー・ホワット・ユー・ウォント
8 Friday Let Me Down - フライディ・レット・ミー・ダウン
9 Unguarded Minute - アンガーデッド・ミニット
10 Your Imagination - ユア・イマジネーション
11 Some Men - サム・メン
§ Band Member §
Daryl Hall - ダリル・ホール( Vo,Key,Syn )
John Oates - ジョン・オーツ( Vo,G,Key )
G.E.Smith - G.E.スミス( G )
John Siegler - ジョン・シグラー( B )
Jerry Marrotta - ジェリー・マロッタ( Ds )
Charlie De Chant - チャーリー・デ・シャン( Sax )
このあたりのことについて、当時ダリル・ホールは
∈ " プライベート・アイズでは、バンドにしろ、エンジニア、スタジオも" モダン・ヴォイス "と同じもの
を使った だからこそサウンドについては関連性というか似かよったところがあると思うよ 実を言えば、
そのことについて僕らは悩ませられ続けてきたんだ これまで、どのアルバムもそれぞれ違ったサウンドを
持っていた
僕らの曲作りは、変わりはしなかったんだが違ったプロデューサー、違ったスタジオ、ミュージシャンを
使ってきた結果、どのアルバムもホール&オーツが目指すサウンドとは異なるさまざまな面を出すこと
になってしまった 僕らは成功を得てはきたけれど、でも僕らが望むような形のものではなかった
僕らの望む音楽には、限界がないんだよ ∋
成功は得たものの、それが意図通りのものでなかったことを嘆くかのような印象を受けるかもしれ
ないが、成功を得た自信に裏付けされてのものでもあり、より新たな意欲に燃えるかのようなダリル・
ホールの顔が想像される
この" プライベート・アイズ "…前作の" モダン・ヴォイス "との関連性は、オープニングを飾る
" プライベート・アイズ "、あるいは" ディド・イン・ア・ミニット " " アンガーデッド・ミニット "で
そのいずれも、デヴィッド・フォスターとのコラボレーションの成果といえるものでストレートな
ロックを基調とし、そこのさりげないようでいて意外に耳をとらえる3連のピアノがフィーチャーされた
特徴的なスタイルを持つ
この当時、彼らに欠かすことのできないものに加えて、いわゆるテクノ風のもの、さらにはエレクト
リックタブやインダストリアル・ミュージック風ともいえるシンセサイザーの起用や、エレクトロニクス
効果の起用に工夫をこらしたサウンド展開をみせるなど、音楽的要素の取り入れも興味深い
しかし、実験として積極的に取り入れる姿勢をみせる一方で、ポップ的限界内に収めるということを
忘れることなく、実験の領域を超えてひとつの成果をもたらしている
大衆的な芸術の限界を求めつつ、同時に商業的な限界、つまりはコマーシャルであるということを
念頭に置いているという点に関しては、実にアメリカ的である
R&B、ソウル・ミュージックに限らず、カーズ風であったり、チープ・トリック風であったり、その
アイディアは新旧問わずさまざまなところから求められているようでもある
ポップ性やエンターテイメントも重視した上で独自のサウンドを、しかも洒落っ気たっぷりにやって
のけるのが、ホール&オーツの魅力である
そんな彼らならではの魅力にあふれた楽しめるアルバムである