彗星のように現れてイギリスに一大旋風を巻き起こし、アメリカも
鎮圧したスーパー・グループ" Frankie Goes To Hollywood "
シングル4曲すべて全英1に送り込んだほか、2枚組のファースト・アルバム" ウェルカム・トゥ・ザ
プレジャードーム "は予約だけで110万枚突破、当然このアルバムもNo.1に、当時なぜこんなに人気に…
もちろんサウンドは曲を聴けば充分納得のいくことだが、加えて仕掛け人がZZTのトレヴァー・ホーンと
ポール・モーリィということを忘れてはならない
彼らの作戦は抜群で、とりわけビデオに関してはゴドレー&クレームを起用するなど、力の入れ方も
並大抵ではなかった
§ Recorded Music §
1 War - 黒い戦争( ビドゥン・ヴァージョン )
2 Rerax - リラックス( U.S.ミックス )
3 Black Night White Light - ブラック・ナイト・ホワイト・ライト
4 Welcome to the Pleasuredome - プレジャードーム( バング・ヴァージョン )
5 Two Tribes - トゥ・トライブス~フランキー地球最後の日( ビバクシャ・ミックス )
6 Power of Love - パワー・オブ・ラヴ( 愛の救世主 )
§ Band Member §
Holly Johnson - ホリー・ジョンソン( Vo )
Paul Rutherford - ポール・ラザフォード( B,Vo )
Brian Nash - ブライアン・ナッシュ( G )
Mark O'Toole - マーク・オトゥール( B )
Peter Gill - ピーター・ギル( Ds )
第1弾" リラックス "の場合は" 猥褻 "ということで放送禁止になったが、これがかえってレコード・
セールスを伸ばす結果を生み、第2弾" トゥ・トライブス~フランキー地球最後の日 "の政治的すぎると
いうので、アメリカでは当初発売禁止になるといった具合で話題作りには事欠かなかった
第3弾" パワー・オブ・ラヴ "では宗教を歌い、第4弾" プレジャードーム "では、ついに自らも神にまで
昇華するほどテーマの配し方も心憎いものだった
出世作の" リラックス "、ブライアン・デ・パルマ監督の『 ボディ・ダブル 』にもフューチャーされて
改めてアメリカでも注目を浴びた作品だが、数あるリミックスの中からこのアルバムでは、アメリカ・
ヴァージョンがテイクされている( 各種リミックスの決定盤的な )
最初にマーケットにでた同じ曲の12インチと聴き比べてみるのもありだが、オリジナル・ヴァージョンは
まるでかつてのヴィレッジ・ピープルを思わせるディスコ・ビートが全編を支配、ホリー・ジョンソンの
ヴォーカルがほとんど削り取られている
" プレジャードーム "、クレジットではバング・ヴァージョンとなっているが、言い換えれば" NGヴァー
ジョン "…これはマスターテープに関して" 発表まかりならぬ "との司令が届いたもので、今回の
アルバムのために初めてテイクされたという曰くつきの楽曲、ちなみにこの曲で聴けるギターの美しい
響きは、プロデューサーのトレバー・ホーンとはかつてイエスの仲間であったスティーヴ・ハウのギター
サウンドである
上述したシングル4枚…決して軽くないテーマを曲にしているグループだが、アイドル的な面も兼ね備え
圧倒的人気を勝ち得た背後には、イギリスの政治、社会事情もあったようだ
ヒエラルキーの強いイギリス社会では、それに反発する労働者階級のパワーも凄まじく、それが新奇な
ものを生み出す原動力ともなっている
だから当時の彼らは必死だし、音楽にかける意気込みと真剣さが違っていた
彼らのエネルギッシュな音楽も、こうした社会をバックに出てきて、この世にタブーはないかのように
なんでも音楽の中に取り込み、悪のレッテルが貼られても一向に気に止める様子はなかった
それがファンにとっては、たまらない魅力となっていてその姿勢は柔なポップ・スターには決してない
力強さだった…が、人気は長続きせず、1987年にホリー・ジョンソンがバンドを離れバンドは活動を
休止した