" ASTRA " - これは" 宇宙 "という意味を持った言葉
エイジアの集大成的なアルバム
1983年にセカンド・アルバム" アルファ "を発表し、" ドント・クライ " " いつわりの微笑み "の2曲を
シングル・チャートに送り込んだ、と同時に" エイジア in ASIA "という難事業を成し遂げたのは1983年
12月のことだった
このイベントは、MTVが全世界初のコンサートを宇宙中継するというものでエイジアの名にちなんで、
東京公演が全世界に生で衛星中継された一大イベントになった
その直前、グループの中心メンバーでありヴォーカリスト、コンポーサー、ベーシストであったジョン・
ウェットンが脱退し、バンドは苦境に立たされたがグレッグ・レイクを代役に立てて、なんとかこの
難事業をこなした
この事件を機にエイジアは結成以来初めてのトラブルに遭遇することになる
日本公演後、代役のグレッグ・レイクが脱退、後任にジョン・ウェットンが再加入、直後にスティーヴ・
ハウが脱退という大激震に見舞われた
§ Recorded Music §
1 Go - ゴー
2 Voice of America - ヴォイス・オブ・アメリカ
3 Hard on Me - ハード・オン・ミー
4 Wishing - ウィッシング
5 Rock and Roll Dream - ロック・アンド・ロール・ドリーム
6 Countdown to Zero - カウントダウン・トゥ・ゼロ
7 Love Now Till Eternity - ラヴ・ナウ
8 Too Late - トゥー・レイト
9 Suspicion - サスピション
10 After the War - アフター・ザ・ウォー
§ Band Member §
John Wetton - ジョン・ウェットン( B,Vo )
Carl Palmer - カール・パーマー( Ds )
Geoff Downes - ジェフ・ダウンズ( Key )
Mandy Meyer - マンディ・メイヤー( G )
- アーティスト: Asia
- 出版社/メーカー: Mca Special Products
- 発売日: 1995/02/14
- メディア: CD
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エイジアは何人ものギタリストのオーディションをする日々が続いたが、パットしたギタリストが
見つからず、エイジアの解散の噂が全世界に広まった
やっとゲフィン・レコードの名物ディレクター、ジョン・カロドナーが見つけてきたマンディ・メイヤー
というギタリストを得てレコーディングに入る
当初は1985年4月に3rdアルバム発表と囁かれていたが、綿密なリハーサル、レコーディングに明け暮れ
より高度なポップ・ロック創出に執念を燃やしたエイジアは、半年遅れでやっとマスターを完成させた
のがこのアルバム" アストラ "である
この3作目" アストラ "はいわゆる難産だった
前作" アルファ "からは実に27ヶ月ぶりのアルバムとなった
この4人からなるエイジアが英智を込めて完成させたアルバム" アストラ "
この3作目" アストラ "は、過去2枚のエイジアのアルバムに比べて成長、昇華のあとが著しい
スティーヴ・ハウ ⇢ マンディ・メイヤーの交代によってギター・サウンドが変わった
" 若々しさ " " 力強さ "の導入、スティーヴにはなかった躍動感をバンド全体が持った
スティーヴはテクニックで弾きまくるタイプだが、マンディはさまざまな音色を駆使した味弾きタイプ…
ジャーニーやボストンのようなエッセンスもうまく消化している
それによってエイジア・サウンドの巾の広がりを引き出している
また、過去2作はポップ色を強調した売れ線スタイルの曲と、イエス的なプログレ色の強い曲がはっきり
別れていたが、" アストラ "は全編にポップ色とドラマ性が適当に散らばっていて楽しめる
しかもオドシの技を多用しているため、全曲シングル・ポテンシャルがあるポップ性を保ちつつも、
アルバムを聴き通したときに大作感を感じることができる
このサウンドこそがジョン・ウェットンが10年以上も追い続けた" プログレッシブ・ロック "と
" ポップス "の融合が完成された究極の姿だといえる
歌われている内容にも統一感がある
近未来の核戦争を題材にしたもの、戦争後の孤独な生き残り者の悲しみを歌ったものなど、全編に人間愛
のスピリットが貫かれている
しかもジョン・ウェットンの優しい声とマッチして、何ともいえない哀愁を演出している
" アストラ "…これは" 宇宙 "という意味を持った言葉
ロジャー・ディーンが描くジャケットの雰囲気と何ともピッタリの言葉だが、このアルバム、実は
" ARCADIA( アルカディア )"というタイトルだった…" 理想郷 "
しかし、アルバム発表直前にデュラン・デュランのプロジェクト" ARCADIA "が発表されたため急遽
変更したそうだ
このアルバムでは" ロック・アンド・ロール・ドリーム "でロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ
と共演しているし、" カウント・ダウン・ゼロ "ではコンピューターの悲痛なつぶやきに似たアナウンスが
入っているが、これはロンドンのニュース・キャスターを起用したとのことだが真意のほどは不明
エイジアはいつの時代もエイジア、音をビジュアライズして我々に思い思いの映像を見せてくれる…が
この" アストラ "日本では人気だったが、人々の興味を引き付けられず注目度は低いアルバムとなった
このアルバム発表後、ジョン・ウェットンは脱退、マンディ・メイヤーは再びエイジアで演奏をする
ことはなかった