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Ultimate Music Album - 極 -


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KANSAS - Vinyl Confession:ビニール・コンフェッション -

新ヴォーカリスト、ジョン・エレファンテが参加した作品

 

集大成のライヴ・アルバム以降、壮大なバンド・アンサンブルを縮小しストレートのシンプルにポップに

なったカンサス…結果は賛否両論であった

車でいえば時代に合わせたマイナーチェンジで乗り切ろうとしたものの、残念ながら大きな成果を得る

ことはできなかったというのが実体であった

セールスをこれ以上落とすわけにはいかない中、残された選択肢は原点回帰かフルモデルチェンジ…

カンサスが選択したのはフルモデルチェンジだった

新しいシャーシとエンジンを開発し、時流に合わせたコンパクトで万人受けする新車の開発、そして

できたのが新生カンサスの" ビニール・コンフェッション "である

ロビー・スタインハートでもケリー・リヴグレンでもなくスティーヴ・ウォルシュが脱退したのは当時

意外に思えたが、結果的に出た新局面にウォルシュが背を向けたのは、なんとなく理解できるような

気がした

 

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§ Recorded Music §
1 Play the Game Tonight - プレイ・ザ・ガーム・トゥナイト
2 Right Away - ライト・アウェイ
3 Fair Exchange - フェア・エクスチェンジ
4 Chasing Shadows - チェイシング・シャドウズ
5 Diamond and Pearls - ダイアモンド・アンド・パールズ
6 Face It - フェイス・イット
7 Windows - ウィンドウズ
8 Borderline - ボーダーライン
9 Play On - プレイ・オン
10 Crossfire - クロスファイア

§ Band Member §
John Elefante - ジョン・エレファンテ( Vo,Key )
Kerry Livgren - ケリー・リヴグレン( G,Key )
Robby Steinhardt - ロビー・スタインハート( Vio )
Richard Williams - リチャード・ウィリアムス( G )
Dave Hope - デイヴ・ホープ( B )
Phil Ehart - フィル・イハート( Ds )

 


 

 

 

リヴグレンとデイヴ・ホープキリスト教に傾注してコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック

に向かったのが脱退の原因だったらしいが、後任のヴォーカルは後にそのコンテンポラリー・クリス

チャン・ミュージックの世界で成功を収めるジョン・エレファンテ

従来のカンサスのスタイルをバッサリと切り捨てたフルモデルチェンジで、" 自分たちの音楽を作り

続けるために生きる "ことを" 生き残るにためにはどんな音楽をやればいいのか "に切り替えた時点で

この路線は選ぶべくして選んだものかもしれない

いかにも80年代といったハード・ポップ・AOR・ロックで、ジャーニー、TOTO、スティックスが好きな

人にはお勧めのシングル・カット向けの曲がたくさん入ったアルバムになっている

ジョン・エレファンテの実力も申し分なく、曲作りでも中心的な役割を担っている

 

 

Play the Game Tonight

Play the Game Tonight

  • カンサス
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes
 

 

" プレイ・ザ・ゲーム・トゥナイト "は意表を突くピアノ主体のバラードで始まり、ハードなギターと

シャープなコーラス、そして透明感あふれるヴァイオリンと従来とは大きく異なったサウンを聴かせ

ヴォーカルの声質も大きく影響しているだろうが、この時代のほかのプログレ・ハード勢が演っていた

いわゆる産業ロック然とした曲に仕上がっている

" ライト・アウェイ "もピアノとギター、コーラスを中心とした同様の雰囲気だが、いい意味で売れ線を

意識したなかなかの佳曲、" チェンジング・シャドウズ "は従来通りの美しいバラード

" ダイアモンド・アンド・パールズ "も雰囲気は異なるものの従来通りの作風だが、時にフュージョン

すら感じさせる和声の美しさが斬新である

前作までと比べてヴォーカルの変化、そしてキーボード、オルガンからピアノ主体になっていること

そしてコーラスの切れ味が全く異なっているし、サックスの導入もサウンドの変化としては大きい

したがって従来の作品とはかなり印象が異なるが、それだけジョン・エレファンテの貢献度が高いことが

窺われる

プログレ色が後退してストレートなハード・ロック色を全面に出しているのも時代の流れだろうが

それも表面的なことであり、多くの曲には従来のエッセンスは生きている

 

売れ線狙いのありふれた作品というのは嘘ではないが、決していい加減な内容ではない

曲もメロディラインもアレンジもなかなか練られていて、前作から2年ぶりの新作ということもあり

時間と手間をかけた労作ではある

アレンジの味付けはカンサスらしい面もあり、佳曲が並ぶハード・ポップ・アルバムとして食指の動いた

人は聴いて損はないと思う

結果はヒット・シングルも出てそこそこ売れたが、ジャーニーやスティックスのようないい意味での

かましさやしたたかさが感じられなかった

適正なマネージメントがなされていなかったかもしれないが、基本的に純粋で生真面目な音楽家集団で

あって水商売には向かないような気がする

ジャンルは違うがウィッシュボーン・アッシュとかトライアンフに近いものを感じたアルバムである

 

Vinyl Confessions

Vinyl Confessions