怪人プロデューサー、ガイ・スティーヴンスの飼い猫の
名前からとられたProcol Harumのデビュー作
1967年にロンドンで結成されたイギリスのロック・バンド、プロコル・ハルムの1stアルバムでR&Bの
影響が強いブルース・ロックだが、ゲイリー・ブルッカーのピアノとマシュー・フィッシャーの
ハモンド・オルガンの2キーボードを組み合わせたバロック/クラシカルな荘厳な音作りは1970年代の
プログレッシブ・ロック、シンフォニック・ロックに多大な影響を与えた
巻頭の" 青い影 "は1967年に世界的にヒットを極めた名曲、マシュー・フィッシャーのオルガンによる
編曲からバッハが、そしてもうひとつ1966年のNo.1ソング" 男が女を愛する時 "もよく引き合いに
出されるが、一度聴いたら忘れられない独創的なオルガンのイントロが強力で、その不思議な歌詞と
相まって本作をより特別な作品としている
また、日本の70年代ニュー・ミュージック世代にも大きな影響を与えたことでも有名である
§ Recorded Music §
1 A Whiter Shade of Pale - 青い影
2 She Wandered Through the Garden Fence - シー・ワンダード
3 Somethig Following Me - フォローイング・ミー
4 Mabel - メイベル
5 Cerdes ( Outside the Gates of ) - セルデス
6 A Christmas Camel - クリスマス・キャロル
7 Conquistador - 征服者
8 Kaleidoscope / Salad Days ( Are Here Again ) - 万華鏡/サラダ・ディズ
9 Repent Walpurgis - ヴァルプルギスの後悔
§ Band Member §
Gary Brooker - ゲイリー・ブルッカー( Vo,Pia )
Robin Trower - ロビン・トロワー( G )
Matthew Fisher - マシュー・フィッシャー( Vo,Key )
David Knights - デヴィッド・ナイツ( B )
B. J. Wilson - B. J. ウィルソン( Ds )
Ray Royer - レイ・ロイヤー( G )
Keith Reid - キース・リード( Lyr )
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1967年に発売された" 青い影 "は、すぐに世界的な規模で大ヒット・ナンバーとなった
この曲は、バッハのカンタータ第114番の" ああ、愛しきキリストの徒よ、雄々しかれ "の主題に基づく
オルガン演奏によっていると紹介されることがあるが、モチーフは似ていない
コード進行を見ると、同じくバッハの" G戦場のアリア "のほうがモチーフになっていると思う
" 青い影 "のベースの下降ラインが、バッハの" G戦場のアリア "のバスの旋律と同じように展開して
いるのはよく解かる
バッハのオルガン曲のコード進行は、松任谷由実の" ひこうき雲 "や" 翳りゆく部屋 "にもその影響を
みることができる
クラシック音楽の影響力の強さは、その後のエマーソン・レイク&パーマーやキング・クリムゾンの
ブリティッシュ・ロックにも引き継がれていった
" 青い影 "があまりにも素晴らしい曲のためか、かえってグループの印象が弱くなっている感があるが
実際にこのグループは" 青い影 "を録音したときと1stアルバムを録音したときとではメンバーが違う
" 青い影 "のヒットによってアルバムの制作の話が進んだのではないかと思う
実際にアルバムを聴いてみても" 青い影 "と次からの曲に雰囲気の違いは若干に違和感を感じるほどで
もっとも彼らの本質は" 征服者 "などの曲であり、" 青い影 "ほどではないにしろかなり味わい深い
曲が揃っている
2nd以降は装飾過多となる彼らだが、このアルバムではシンプルにその持ち味を発揮していて、実は
曲そのもので勝負した充実し過ぎるほどの佳作である
何れにしてもゲイリー・ブルッカーの白人とは思えない渋い喉は最高で、どことなく骨董品のような
気品と重量感をこの作品に与えている
ゲイリー・ブルッカーが作曲、キース・リードが作詞を手掛けているが、クレジットをめぐって
法廷闘争が繰り広げられた
マシュー・フィッシャーのオルガンによる荘重なイントロダクションは、バッハの管弦楽組曲第3番
" G戦場のアリア "からの引用とされる
1988年に日産自動車から発売されたS13型シルビアのCMソングに使用されたのを始め、多くのCMや
テレビドラマなどで使用されている
イギリスのヒット・チャートで6週連続1位を獲得、アメリカで5位を獲得するなど全世界でヒットを記録
したが、当時発売のファースト・アルバムにはテイクされていなかった
この曲ができた当時はマルチ・トラックも発達し、ステレオ録音は一般的に行われていたが、この曲は
あえてモノラル風の作りになっている
邦題は" 青い影 "となっているが、原題の" shade "は" 影 "ではなく" 色合い、色調 "という意味であり
原題を訳すと" 蒼白な " " 白に近い色調 "といった意味になる