あのモンスター・アルバム" 禁じられた夜 "から1年
前作を引き継ぐポップで、爽快なロック・アルバム" Good Trouble "
" 苦節10年 "なんていう演歌的な常套句とともに日本に紹介されることが多いREOだが、実際1967年
イリノイ州シャンペンで結成、1971年デビュー以来" 禁じられた夜 "が通算11枚目のアルバムだったんで
アメリカン・ロックの歴史がそのまま服を着て、歩いているようなバンドといえるかもしれない
このアルバム・リリース当時、アメリカン・サウンド・クリエーターとしてまさに時の人だったことは
確かだったし、その事実は" 禁じられた夜 "に寄せられた圧倒的な共感によって証明され、この" グッド・
トラブル "によって確固たるものとなった
§ Recorded Music §
1 Keep the Fire Burnin' - キープ・ザ・ファイアー・バーニン
2 Sweet Time - スウィート・タイム
3 Girl with the Heart of Gold - ガール・ウィズ・ザ・ハート・オブ・ゴールド
4 Every Now and Then - エヴリ・ナウ・アンド・ゼン
5 I'll Follow You - アイル・フォロー・ユー
6 The Key - ザ・キー
7 Back in My Heart Again - バック・イン・マイ・ハート・アゲイン
8 Let's Be-Bop - レッツ・ビバップ
9 Stillness of the Night - 真夜中の誓い
10 Good Trouble - グッド・トラブル
§ Band Member §
Kevin Cronin - ケヴィン・クローニン( Vo,Key,G )
Gary Richrath - ゲイリー・リッチラス( G )
Neal Doughty - ニール・ドーティ( Key )
Alan Gratzer - アラン・グラッツァー( Ds )
Blues Hall - ブルース・ホール( B )
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アルバム・クレジットを見ると、このアルバム制作のスタッフは" 禁じられた夜 "とほとんど同じいわば
" V1 "のメンバーで" V2 "に臨んでいる
プロデュースの中心となっているケヴィンとゲイリーを先頭に、エンジニアのケヴィン・ビーミッシュ
からクルーのひとり一人に至るまで家族連帯感があるから意味深なジャケットも愉快だ
" 禁じられた夜 "と同じ部屋らしく、一夜明けた朝メイドがシーツを交換に来たところ…なのかな?
ジャケットの絵柄も前作より明るくなっている
曲の内容も、このアルバムではより明るく希望に満ちあふれたものが多い
シングル・ヒットとなった" キープ・ザ・ファイアー・バーニン "は、発売と同時に全米でブレイク・
アウト、キャッチーなギターのイントロから力強いケヴィンのヴォーカル間奏は独特のニールのオルガン
ラストは満を持してゲイリーのメロディアスなギター・ソロ、さらにコーラスが重なってフェード・
アウト、実に爽快でドラマティックでポップで、しかもロックン・ロール・スピリットにあふれている
" スウィート・タイム " " ガール・ウィズ・ザ・… "、ゲイリーの" エヴリ・ナウ・アンド・ゼン "までの
3曲はREOのソフトな面( サビの部分で盛り上がりをみせる )がよく出た好作品、そして" 真夜中の
誓い "は緊張感あるハードな、しかもキャッチーでメロディアスな" キメ "の曲、ライヴで人気の
" 嵐の中へ "を思わせるドラマティックな曲に仕上がっている
昔からREOを知っている人なら、この1曲の中に彼らのたどってきた音楽的変遷の、さまざまな要素を
感じることができる
このアルバムが発売されたときに、ドゥービー・ブラザーズ、イーグルスの二大グループが相次いで正式
解散し、一方でいくつかの若いロック・バンドがチャート上位に台頭する、という何か時代の流れの
変動期に入っているような出来事がみられた
こうした中で、すでに超ベテランとなったREOは、ジャーニー、スティックス、J・ガイルズバンドなど
とともにアメリカン・ロックのメイン・ストリームの偉大な継承者として世界中のロック・ファンが納得
するような熱のこもった作品を作り続けなければならない立場におかれていた
ロック・スピリットを持った5人の勇者たちだったら、そうした過大な期待にもなんなく応えてくれるに
違いなかった…まさに" Keep the Fire Burnin' "彼らは常に熱き炎を抱いたロック・ヒーローであり続けた