プログレッシブなサウンドを打ち出したコンセプト・アルバム
アフロディテス・チャイルドの最高傑作アルバムで、ポップ・グループとしてヒット曲を発表してきた
彼らが、まさに突然変異的に作り上げた怪作である
このあたりは突如あのデビュー・アルバムを発表したキング・クリムゾンを彷彿させるが、音の内容は
基本的にはポップな曲に民族音楽やテクニック重視の曲、実験作がコーディネートされ、まったく
オリジナルな世界が展開されている
いわゆるメジャーのプログレを聴き込んだ人、是非本作を聴いてみてほしい
新約聖書、ヨハネの暗示録のラスト章によると、いわつるこれを再現しようとする者は、同様の罰が
下さるといった警告が記述されている…音楽による表現ならいいのだろうかと思わせるほどに暗示録が
リアルに体験できる傑作品である
§ Recorded Music §
1 The System - システム
2 Babylon - バビロン
3 Loud,Loud,Loud - ラウド・ラウド・ラウド
4 The Four Horsemen - 4人の騎手
5 The Lamb - 子羊
6 The Seventh Seal - 第7の封印
7 Aegian Sea - エーゲ海
8 Seven Bowls - 7つの球
9 The Wakening Beast - 獣の目覚め
10 Lament - かなしみ
11 The Marching Beast - 獣の行進
12 The Battle of the Locusts - イナゴの戦い
13 Do it - やっつけろ
14 Tribulation - 苦難
15 The Beast - 獣
16 OFIS - OFIS
17 Seven Trumpets - 7つのトランペット
18 Altamont - アルタモント
19 The Wedding of the Lamb - 子羊の結婚
20 The Capture of the Beast ー 猛獣狩り
21 ∞ - ∞
22 HIC ET NUNC - HIC ET NUNC
23 All the Seats Were Occupied - 満員
24 Break - ブレイク
§ Band Member §
Vangelis Papathanassiou - ヴァンゲリス・パパタナシュー( Key )
Demis Roussos - デミス・ルソス( B,Vo )
Loukas Sideras - ツカス・シデラス( Ds )
Anargyros 'Silver' Koulouris - アナギロス・クリルス( G )
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映画音楽などで活躍するヴァンゲリスが在籍していたことでも知られるギリシャ出身のプログレ・バンド
の1972年発表のサード・アルバムで、新約聖書のヨハネの暗示録をモチーフとしたコンセプトとなって
いるが、このテーマを取り上げた作品は意外と多いのだが、1972年という時期に壮大なスケール感で
2枚組という超大作は本作以外にないであろう
ゲスト参加ミュージシャンも交え、女性ヴォーカルやナレーションを挿入したりなど工夫があり
終始シアトリカルな展開で進行する
決して万人向けではないが、それ故に神秘的、呪術的な色合いが極めて濃い独特な唯一無二の世界は
本作でしか味わうことができないと断言する異端中の異端とも呼べる特殊な作品である
それほど高い演奏技術を使って演奏してないかもしれないが、この構成力、アレンジ力、表現力は
かなり高い技術で、歌詞がとても奥深い
ヨハネの暗示録をモチーフにしたこともあり、その真の意味を理解することは難しい
獣、子羊、ボール、シールなどのキーワードを暗示的に使いながら、不安、混乱、変革、誕生、狂気
などを表現していく…これらの曲を聴いていくうちに、聴いてる方の心もあちらの世界に行ってしまう
そして" ∞ "というギリシャの女優イレーネ・パパスの怪演で止めを刺される
これは、BGMとして聴き流すのではなく、じっくりと向き合って聴くアルバムである
ギリシャを代表する作曲家にしてシンセ奏者、ヴァンゲリスが率いるバンドの3作目で、プログレと
アート・ロックの中間というような聴き心地である
ヴァンゲリスの鍵盤ワークはもちろん、自身の奏でるフルートやパーカッションなどもサウンドに
アクセントをつけていて、英米のバンドにはないような異国的な妖しさも魅力の作品である
ギリシャきっての女性シンガー、イレーナ・パパスがゲスト参加、神秘と謎と陶酔感に満ちた歴史的傑作
で、音楽というよりは長大なヨーロッパ映画を体験したような気にさせる
プログレ・イディアムが確立していない時代の作品なので、サイケ風のものや10CCもどきのプログレ
ポップ風のものがモノが混じったりしているが、アイディアと意欲に満ちた作品である