デビュー・アルバムからWhitney Houstonは
スターの貫禄と驚異的な歌唱力の持ち主だった
ホイットニー・ヒューストンのデビュー・アルバムで、完成に巨額の費用と年月を費やし、クライヴ・
デイヴィスによる緻密なプロモーション活動、今でこそ当たり前になった複数のプロデューサー布陣に
支えられ見事ビルボード・チャートで1位を獲得、カットされたシングルも次々と大ヒットとなり世界で
2300万枚以上を売り上げるレコード市場もっとも売れたデビュー・アルバムとなった
いろんなプロデューサーがいろんなタイプの楽曲を提供してホイットニー・ヒューストンの魅力を上手く
引き出しているが録音したときはまだ10代、彼女はスターの貫禄と驚異的な歌唱力の持ち主だった
有名な歌手の一族に生まれ、生まれながらのシンガーだったと思う
§ Recorded Music §
1 How Kill Know - 恋は手さぐり
2 All at Once - オール・アット・ワンス
3 Take Good Care of My Heart - やさしくマイ・ハート
4 Greatest Love of All - グレイテスト・ラヴ・オブ・オール
5 Hold Me - ホールド・ミー
6 You Give Good Love - そよ風の贈りもの
7 Thinking About You - シンキング・アバウト・ユー
8 Someone for Me - サムワン・フォー・ミー
9 Saving All My Love for You - すべてをあなたに
10 Nobody Loves Me Like You Do - 夢の中のふたり
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ホイットニー・ヒューストンが歌手デビューに先立つこと4年前の17歳からモデルとして活躍、
ジャケットにも応分の実績と自信の裏付けがあった
ホイットニーは玄人好みのゴスペル歌手シシー・ヒューストンの実娘であり、同じアリスタの看板スター
だったディオンヌ・ワーウィックとも従姉妹だった
母のもとで早くからバック・コーラスを務めてゴスペルの下地を修得、モデルの余芸は日本でもよくある
パターンだが、この時点で俄か仕込みのそれとは比較するのも憚れるほど本格的になっていた
ヒット曲が多い彼女だが、ここで聴かれるのは狙いを定めたヒット曲とは違って、なんだかハツラツと
した一人の女性の歌の数々である
マイケル・ジャクソンの兄、ジャーメイン・ジャクソンや黒人ヴォーカリストの巨星テディ・ペンダー
グラスもデュエットで彼女をサポートしているが、この2人に歌ではまったく負けていなく、痩せ型の
体とは思えないほど声量が素晴らしく、高音の伸びがブレない
この時期、黒人女性歌手のちょっとしたブームがあり、ベテランの女性シンガーの復活が相次いだのだが
ついに若手の実力者が現れた
これほど才色兼備な彼女にも、一つだけ決定的に足りないものがあった…それは音楽家としての素養
なまじ歌が並外れて上手く、美貌も備えていたことが結果として彼女を不幸へ駆り立てることになる
ホイットニー・ヒューストンがこのアルバムでデビューしたのが21歳のこと、このときから既にあの
歌唱力は完成されていて、とても素晴らしいアルバムに仕上がっている
" すべてをあなたに " " 恋は手さぐり " " グレイテスト・ラヴ・オブ・オール "という3曲がNo.1ヒットと
なり、アルバム・タイトルの" そよ風の贈りもの "、ジャーメイン・ジャクソンとのデュエット" やさしく
マイ・ハート "など今の時代に聴いても名曲ばかりである
" すべてをあなたに "はドラマティックなナンバーで詞の内容も不倫の恋を取り上げていて意味を理解して
聴くと彼女の起伏のあるヴォーカルも合わさってすごく切なくさせてくれる
これだけの声量、音質、技術、どこをとっても一流で、これだけのものを持っている人はこれからも
なかなか出てこないだろう