Joni Mitchellのイメージを覆し、リスナーに
心地よいショックを与えた
ジョニ・ミッチェルの6枚目のアルバムで、" ブルー "などこれ以前の作品に比べるとアレンジにも軽快さ
があり、キャッチーな曲がさらに多く、商業的にも成功した作品だというのも実感できるようなバランス
の良いかなり聴きやすいアルバムで、彼女の作品を初めて聴く人にも勧めやすい1枚である
" ヘルプ・ミー "のような恋愛の高揚感を歌った曲と、" あなたのもとへ "のような孤独を歌った曲など
人生の歓喜と悲哀そのどちらも鋭く表現されていると思う
彼女のどのアルバムもそうだが、このアルバムもリリックが素晴らしく、その後の作品に色濃く現れる
ジャズの色合いがこのアルバムのアレンジにも出てきている
§ Recorded Music §
1 Court and Spark - コート・アンド・スパーク
2 Help Me - ヘルプ・ミー
3 Free Man in Paris - パリの自由人
4 People's Perties - 人間模様
5 Same Situation - 変わらぬ事情
6 Car on a Hill - 丘の上の車
7 Down to You - あなたのもとへ
8 Just Like This Train - この汽車のように
9 Raised on Robbery - 陽気な泥棒
10 Trouble Child - トラブル・チャイルド
11 Twisted - トゥイステッド
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" 青春の光と影 " " ウッドストック "などの作者として知られ、もともと高い評価を受けていたジョニ・
ミッチェルが商業的にも成功した作品で、彼女の最高傑作はこの作品だと思う
この作品を聴いたとき、冒頭のタイトル曲から" ヘルプ・ミー "の流れに感動し、トップ10ヒットとなった
" ヘルプ・ミー "のほかにも" 陽気な泥棒 " " パリの自由人 "といった少ヒットや、" コート・アンド
スパーク " " 変わらぬ事情 " " トゥイステッド "など独特のポップ感があるジョニ・ミッチェルの作品
満載の逸品で、これまでとは違ってフュージョン色が濃く、ジョニ・ミッチェルの作品の中でもかなり
ポップで軽やかである
初期はクロスビー&スティルス・ナッシュあたりの人々との交流が盛んであり、このアルバム以降は
ジャズやフュージョン系のアーティストとの共演が盛んになるが、そういった人脈から想像がつくような
安直な音ではなく、自分の持っていた先入観からは懸け離れた美しい世界を持ったまさにアーティストと
いうイメージの音楽が楽しめる
アーティスト的とはいっても決して難解だとか聴きにくい類のものではなく、メロディの美しさが心に
残り、そのメロディが美しいだけでなく何かが独特で浮遊感というか何かが離脱したかのような独特な
快感が得られる彼女だけが持つ魅力がある
彼女の作品は初期からずっとブレてなく、どの作品を聴いてもジョニ・ミッチェルの信念というか哲学の
ようなものを感じるので流行歌を聞き流すのとは違い、じっくり耳を傾けずにはいられない深い作品
ばかりで、本作はフュージョン要素が表面化している
ジョー・サンプルやラリー・カールトンといったフュージョン畑の奏者が控え目にいい仕事をしていて
泥臭さが薄まって洗練された印象を受ける
マスタリングは若かりし日のバーニー・グランドマン、この頃から既に骨太で温かみのある味付けで
個性が光っている
楽曲、演奏、音質の三拍子揃った名作を是非とも聴いてもらいたい