PHENOMENAプロジェクトの3部構成の3作目" Innervision "
このフェノメナ・プロジェクトの発起人はトム・ギャレイで、彼はあに飲める・ギャレイと組んで、ある
ストーリーを持ったコンセプト・アルバムの制作に着手したが、このアルバム制作はトム・ギャレイの
シーン復帰を掛ける意味をも持っていた
そのコンセプトなったストーリー内容は…
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科学者のリミット博士はあるとき、それまでの科学の常識を打ち破る画期的的なコンピューター・シス
テムを開発、それは人間にテレパシーによる通信を可能にさせるものだった
博士は超能力を持つ9歳の娘のルーシーを使って研究を進めたが、その研究の成果を軍事兵器として
利用しようとする国家と対立、博士自身と娘のルーシー以外の者にはコンピューター・システムが操作
できないようにアクセス・ロックを施すのである
しかし、実験中の事故により博士は死亡、友人であるフレイムがルーシーを使ってシステムを操作しようと
したところ、誤ってルーシーをシステムに繋いだまま昏睡状態に陥らせてしまった
システムを正常に作動させることのできる者は、ルーシーただひとり
しかし、ルーシーをシステムから切り離すと彼女は死んでしまう、そこでフレイムが思いついたのが
かつて博士の助手として働いていた男チェイスンだった
チェイスンは実はルーシーの血の通った本当の父親であり、彼もまた娘同様に超能力を持っていたから
である…フレイムはルーシーの命を救うべくチェイスンの行方を探し求める
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こうした内容のストーリーに基づいて制作されたフェノミナの音楽性は、重厚なキーボードに包まれる
中で物悲しく叙情的なメロディ・ラインがグレン・ヒューズの見事なまでにエモーショナルな歌唱で表現
される幻想的なもので、コンセプトとなったストーリーのイメージを大きく増幅させるものになった
このフェノミナ・プロジェクトの第1弾がリリースされたのが1985年
❏ PHENOMENA ❏
Glenn Hughes - グレン・ヒューズ( Vo )
Jhon Thomas - ジョン・トーマス( G )
Neil Murray - ミール・マーレイ( B )
Don Ailey - ドン・エイリー( Key )
Richard Bailey - リチャード・ベイリー( Key )
Cozy Powell - コージー・パウエル( Ds )
Ted Mckenna - テッド・マッケンナ( Ds )
いずれもブリティッシュ・ハード・ロック・シーンで活躍していたそうそうたるメンバー
3年後の1987年、1作目に勝るとも劣らない豪華な顔ぶれで2作目リリース
❏ PHENOMENA Ⅱ Dream Runner ❏
Glenn Hughes - グレン・ヒューズ( Vo )
Ray Gillen - レイ・ギラン( Vo )
Max Bacon - マックス・ベーコン( Vo )
Jhon Wetton - ジョン・ウェットン( Vo )
Jhon Thomas - ジョン・トーマス( G )
Scott Gorham - スコット・ゴーハム( G )
山本恭司 - Kyouji Yamamoto( G )
Neil Murray - ニール・マーレイ( B )
Leif Johansen - レイフ・ヨハンセン( Key )
Michael Sturgis - マイケル・スタージス( Ds )
新美俊宏 - Toshihiro Niimi( Ds )
1作目に実践された美しくも物悲しいファンタジックなハード・ロック・サウンドは見事にここでも
継承され、4人のシンガーが参加したことにより音楽性自体は、フェノミナ・サウンドたる路線にのって
いながら、各シンガーの持ち味が微妙に個々の楽曲に反映されてバラエティ豊かな作風に仕上がっている
本題の3作目、フェノミナⅢ" インナービジョン "であるが、中心人物はトム・ギャレイであるが、今回は
兄のメル・ギャレイはこのプロジェクトに参加していない
§ Recorded Music §
1 If You Want to Rock - イフ・ユー・ウォント・トゥ・ロック
2 How Much Do You Love Me - ハウ・マッチ・ドゥ・ユー・ラヴ・ミー
3 What About Love - ホワット・アバウト・ラヴ
4 Rock House - ロック・ハウス
5 Shape It Up - シェイプ・イット・アップ
6 A Whole Lot of Love - ア・ホール・ロット・オブ・ラヴ
7 Rock My Soul - ロック・マイ・ソウル
8 Secret of Love - シークレット・オブ・ラヴ
9 Into the Fire - イントゥ・ザ・ファイアー
10 Banzi - バンジィ
§ Participating Musicians §
Scott Gorham - スコット・ゴーハム( G )
Keith Murell - キース・マレル( Vo )
Leif Johansen - レイフ・ヨハンセン( Key )
Michael Sturgis - マイケル・スタージス( Ds )
Merv O'Ryan Spence - ムーヴ・オライアン・スペンス( B,Vo )
Brian May - ブライアン・メイ( G )
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サウンドの印象としては、まさにフェノメナ風とでもいうべきポップでメロディアスな旋律を重厚な
キーボードで優しく包んだものである
前作、前々作とかなり物悲しい色合いを感じさせたのに比べると、今回はややグルーヴ感を強調した
躍動感あるサウンドに仕上がっている
今回の主役といっていいほどの各楽曲に生命を吹き込んであるのが、シンガーのキース・マレルで
フォリナーのルー・グラムばりのエモーショナルな歌を聴かせてくれる
ブライアン・メイは" ア・ホール・ロット・オブ・ラヴ " " シェイプ・イット・アップ "の2曲のギター・
ソロ部分に参加しているが、スタジオに寄ってソロ・パートのみを被せた、というような参加の仕方で
あろう
このフェノメナ・プロジェクトが3部構成だという話が本当であれば、今回で完結することになるが…
まだ続くのであった