デビュー作で実力と才能をみせつけたChristopher Cross
" Another Page "では、そのクオリティをさらにアップさせた
大らかで澄んだ美声が、大地の向こうの青空の虹をかけていく
爽やかでロマンティックな高音と美しいメロディを持ったクリストファー・クロスが登場したとき、
フラミンゴ・マークとテキサス出身ということだけしかわからなかった
無名の新人に限りない夢を託した
そして、たった1枚のデビュー・アルバムと映画主題歌のシングル盤1枚だけで、彼はグラミー賞5冠と
オスカーを手に入れ、3年後にやっと待望の2ndアルバム" アナザー・ペイジ "を発表し、メロディも
サウンドも歌声も一層美しく磨かれてよりポップな魅力に輝いた
" それは外宇宙からトランスミッションみたいに心に浮かぶ "というように2nd発表までこれほどの時間を
かけたのもグラミー賞独占のプレッシャーよりも、この" 霊感 "を信じていい曲を残したいということで
その結果このような美しいアルバムになったわけだ
が、クリストファー自身も自信に対する期待を求めていたものが、うまく再現できたとして、もしこれが
失敗作といわれても、自分では素晴らしいアルバムだと思っていると自信のほどを語っていた
§ Recorded Music §
1 No Time for Talk - 悲しきメモリー
2 Baby Says No - つれないベイビー
3 What Am I Supposed to Believe - 愛に迷って
4 Deal 'Em Again - ディール・エム・アゲイン
5 Think of Laura - 忘れじのローラ
6 All Right - オール・ライト
7 Talking in My Sleep - 夢のささやき
8 Nature of the Game - ゲームの規則
9 Long World - 見果てぬ世界
10 Words of Wisdom - 英知の言葉
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宇宙の交信にも似たクリストファーのソングライティングは、普通ギターを弾きながら、ときには
ピアノを一部使いながら行われていたそうだが、その完成に大きな力となっているのはマイケル・オマー
ティアンの存在だろう
彼はプロデューサー、アレンジャー、キーボード・プレイヤーとしてクレジットされているが、クリス
トファーは頭の中で曲の輪郭ができ上がると、早速マイケルのところへでかけて仕上げをする
説明はできても演奏できないところをマイケルにやってもらう
そういう人が身近にいることはクリストファーにとって、どれほど大きな助力であり幸いであるか…
この打ち明け話は、クリストファーのソングライティングにマイケルが関与していると同時に、あの
クリストファー・クロス・サウンドと呼ばれる明るく爽やかなAORサウンドが単に熟達したアレンジャー
の頭脳が新人歌手に与えたものでないことを示している
" ニューヨーク・シティ・セレナーデ "がアカデミー映画主題歌賞を獲得したあと彼は、クインシー・
ジョーンズに依頼され、アレッシーの" そよ風にくちづけ "のプロデューサーをやったり、ドナ・サマー
アメリカ、マイケル・マクドナルド、ブレンダ・ラッセルなどのアルバムに参加したりしてるし、
コンサート活動も精力的に行い、自身の新作発売が遅れたといわれていたが、理由は前述の通り" 霊感 "だ
この新作にはクレジットの通り、多彩なゲストが参加していて、前作よりさらに洗練されたポップ性を
高めている
クリストファーは、この当時一念発起して減量に成功…シェイプ・アップしただけハンサムになった
ばかりでなく、声も楽に出るようになったとかで、ニュアンスの表現が巧みになった美しい歌声は、
テキサスからロサンゼルスに移った当時の彼の生活ぶりを伝えているかにみえる
" オール・ライト "は第1段シングルで、典型的なクリストファー・クロス・サウンドは一層ソフィスティ
ケイトされ軽快にノッている
" もう一度やり直そう、今度はきっとうまくいく… "、バック・ヴォーカルはマイケル・マクドナルド、
スティーヴ・ルカサーのギターもよく歌っている
アップ・テンポの明るい曲調ながら別離の無念が歌われ、ビートとサウンドに新しい響きがある" 悲しき
メモリー "、マイケル・マクドナルドがヴォーカルに参加
口には出さないが、不安定に揺れ動く恋心を優しいメランコリーで歌っている" 愛に迷って "は、静かな
美しいバラード、デュエットのカラー・ボノフも実に魅力的である
この曲は、このアルバムの中で最も好きな1曲だという" 憧れの人とは夢で話せるだけ "…" 夢のささやき "
この曲ができたとき、クリストファーはアート・ガーファンクルのような歌声で歌ってほしいと思い
頼んでみたところ曲を気に入って快くセッションに参加した
アート・ガーファンクルは最高の歌手として絶賛していたそうで、デリケートで美しい佳曲になっている
サウンドと歌心と愛の心を主観的に歌った曲は、まさに一体となって快いロマンティックな世界へと
誘い込んでいく
- アーティスト: Christopher Cross
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 1983/10/08
- メディア: CD
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