ギターにスティーヴ・ハウが加入
" YES・サウンド "がこのアルバムで確立された
この作品の時期、あらゆる面でイエスの基盤ができ上がったといえる
まず、デビュー以来初めてのメンバー・チェンジを経験し、その後のイエス・サウンドに大きな影響を
およぼすことになるギタリスト、スティーヴ・ハウが加入、そして前作でエンジニアとして参加した
エディ・オフォードがバンドとの共同プロデューサーとなり、" 第6のメンバー "と呼ばれるほどに
スタジオ・ワークでの重要な役割を担うことになった
§ Recorded Music §
1 Yours is No Disgrace - ユアーズ・イズ・ノー・ディスグレイス
2 Clap - クラップ
3 Starship Trooper - スターシップ・トゥルーパー
ⅰ Life Seeker - ライフ・シーカー
ⅱ Disillusion - ディシルージョン
ⅲ Wurm - ワーム
4 I've Seen All Good People - アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル
ⅰ Your Move - ユア・ムーヴ ~ 心の光 ~
ⅱ All Good People - オール・グッド・ピープル
5 A Venture - ア・ヴェンチャー
6 Perpetual Change - パーペチュアル・チェンジ
§ Band Member §
Jon Anderson - ジョン・アンダーソン( Vo )
Chris Squire - クリス・スクワイア( B,Vo )
Steve Howe - スティーヴ・ハウ( G )
Tony Kaye - トニー・ケイ( Key )
Bill Bruford - ビル・ブラッフォード( Ds )
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ジャズ的要素が強かったピーター・バンクスからクラシック的な要素が強いスティーヴ・ハウに
代わったことによってプログレッシブ・ロック的雰囲気が増し、また組曲形式の曲も収録するなど名作
" 危機 "や" こわれもの "への布石がすでにみえている
よって、プログレ・ファンにもこのアルバムは人気が高いが、前作の" 言葉と時間 "と本作" イエス・
サード・アルバム "では大きな躍進がみられ、演奏・楽曲からも彼らの成熟度がよく分かる作品と
なっている
まだリック・ウェイクマンは加入してないが、このアルバムで自らのサウンドを確立したといっていいと
思う…オルガンにこだわり続けたトニー・ケイのプレイもそれだけにこのアルバムにおいては聴きものだ
全体的に非常にあか抜けた印象があり" 言葉と時間 "での試行錯誤が吉と出ており、複雑だが瑞々しい
楽曲群は" 危機 "以降のものとは違った魅力を持っている
象徴的に、初めて作曲者クレジットがバンド名義となった" ユアーズ・イズ・ノー・ディスグレイス "
でアルバムは幕を開ける
曲の基本構造は同じテーマの繰り返しでしかないが、それをアカペラ疾走感のあるロック、ウォー
キング・ベースでジャズっぽくアコースティック・ギターでフォークというようにさまざまな色彩を
もって聴かせ、10分近い長さを感じさせない
この曲はベトナム戦争に赴く若者たちを思って書かれたものである
続くハウのお披露目となったアコースティック・ギター・ソロ" クラップ "はライヴ録音で、彼が敬愛して
やまないナッシュビル・ギターのチェット・アトキンスの影響を素直に表現したカントリー・ピッ
キングの技巧が聴ける
初の組曲形式をとった" スターシップ・トゥルーパー "は、アンダーソンとスクワイアの曲を結合させ
ハウの壮大な3コード・ソロをエピローグに添えた大作
" アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル "はトラディショナルな前半、ワイルドなシャッフルの後半
前半の" ユア・ムーヴ~心の光~ "はシングルカットされスマッシュ・ヒットとなった
" ア・ヴェンチャー "は、後年のライヴでもほとんど演奏されていない楽曲で、トニー・ケイがピアノ・
ソロを聴かせる小品、" パーペチュアル・チェンジ "は変拍子、対位法などの技巧が盛り込まれ、それと
同時にジャズの影響も色濃く感じさせる
デビュー、セカンド・アルバムの不発で窮地に立たされていたイエスが起死回生の結果を出した
全英4位、アトランティック・レーベルの本拠地アメリカでもトップ40に入るヒットとなり契約の続行と
活動の場を大きく広げるチャンスを手にした
その後、複雑・高度なプログレッシブ・ロックを演奏するには技術的に問題があったトニー・ケイを
オルガンとピアノに固執し、当時台頭を始めたメロトロンやモーグ・シンセサイザーの導入に反対して
自ら脱退した…という形をもって解雇した