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Ultimate Music Album - 極 -


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Christopher Cross - Every Turn of the World:ターン・オブ・ザ・ワールド -

ロックサウンドが特徴となったChristopher Crossによる
3枚目のスタジオ・アルバム" Every Turn of the World "

 

3作目にして新たな音楽性にチャレンジした作品

AORの代名詞とされたクリストファー・クロスの作品としては評価が別れた作品である

レースマシーンに乗った姿のジャケットからして、その意気込みとロック色を強めた音楽性の変化が

伝わってくる

アコースティックなアレンジのスローテンポな作品中心の前作" アナザー・ペイジ "とは異なり、80年代

特有の濃いアレンジに乗った軽快でアップ・テンポな曲が中心となっている

個人的にはファーストもセカンドも好きだったし、路線の違うこのサード・アルバムも好きだが、

セールス面では苦戦を強いられたようだ

1989年に" バック・オブ・マイ・マインド "をリリースするもワーナーとの契約は打ち切られ、日本の

レーベルから5作目をリリースすることになる

世の中が彼の音楽性をAORという狭いカテゴリーに閉じ込めてしまったような気がする

彼の才能は、そんなカテゴリーにとどまらないくらいに広いものだった

彼の評価がまだ絶頂期だったころに、彼自らがAORの殻を打破すべくチャレンジした作品だったかも

しれない…曲調は違ってもハイ・トーン・ヴォイスは健在である

 

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§ Recorded Music §
1 Every Turn of the World - ターン・オブ・ザ・ワールド
2 Charm the Snake - チャーム・ザ・スネイク
3 I Hear You Call - アイ・ヒア・ユー・コール
4 Don't Say Goodbye - さよならは言わないで
5 It's You That Really Matters - 焦がれる想い
6 Love is Love ( In Any Language ) - ラヴ・イズ・ラヴ
7 Swing Street - スイング・ストリート
8 Love Found a Home - ラヴ・ファンド・ア・ホーム
9 That Girl - ザ・ガール
10 Open Your Heart - オープン・ユア・ハート

 

 

 

 

アルバム自体はウェスト・コースト・サウンドが漂う仕上がりではあったが、1980年代半ばくらいから

ブリティッシュサウンドやメロディアスなロックへに支持が集まり、ウェスト・コースト・サウンド

過去のものと捉えられ衰退していく時期であったことも彼にとっては災いだったかもしれない

あまりにもデビュー・アルバムが成功しすぎために、その後の曲作りにもずいぶん迷いが生じたのでは

ないかと思うし、以前のクリストファーがなかった場合、このアルバムはもう少し評価されていたに

違いない

あまりにも素晴らしい前2作からプロデューサーの意向でロック色の強いゴテゴテしたサウンドへの

方向転換、それまでのイメージからあまりにもかけ離れたととられ、しかもAOR自体の人気の後退も

重なり前2作の成功が嘘のような失敗…たしかに曲はどれもクオリティが高く、親しみやすいコマー

シャル性大のものばかりなのだが、何というかさらっと耳の中を素通りするだけのだたのBGMという

印象しか残らないのが残念な感もあるが…

 

 

 

 

" ターン・オブ・ザ・ワールド "は従来通り美しいメロディ・ラインを持った佳曲だが、従来以上に力強い

ヴォーカルが印象的、柔らかさはそのままに強靭な心を持ったかのような歌声となっている

硬質なディジタル・シンセとホーンの絡みも素晴らしく80年代サウンドのひとつの頂点といっていい

" チャーム・ザ・スネイク "はどこかイエストレヴァー・ラヴィンを思わせる曲で、メロディ・ラインは

ポップながら彼にしてはハード・ロック志向が強い仕上がり、リード・ギターも聴きものである

" アイ・ヒア・ユー・コール "は彼らしいセンチメンタルなメロディを聞かせる佳曲、硬質なドラムス&

ベースにパーカッシヴなシンセとハードなギターが乗った典型的な80年代スタイルだが、こちらも王道

でありながらベストなもののひとつ、この曲のハードなギター・ソロも素晴らしい

楽曲そのものはむしろ前作よりも優れていて、彼の自信の現れは著名なゲストを配してバンド・スタイル

で制作されたことからも窺えるが、それ以上にヴォーカルの力強さが顕著に現れている

あらゆる意味でこのアルバムは前作、前々作の影に隠れてしまっている

何にしてもメロディアスでありながら甘ったるさを感じさせないのは魅力である…再評価してほしい

 

前作までのフラミンゴからレーシングカーのジャケットに包まれて発表された3作目、変化はジャケット

のみならず前作までほとんどの楽曲を単独で書き上げていあた彼だったが、本作では大半の楽曲をほかの

ソングライターと共作によって仕上げている

プロデュース・アレンジャー・プレイヤーとしても参加しているマイケル・オマーティアに加えて

ジョン・ペティス、ウィル・ジェニングスらを中心にして1曲では元アレッシーのビリー・アレッシー

らがその共作者である

また、前作までの豪華爛漫なゲストは参加せず、先のマイケル(key)、ジョー・チェメイ(b)、ジョン・

ロビンソン(ds)らに加えてホーン・セクションが加わる程度

クリストファー自身はギターのみならず、アラン・ホールズワースの使用で有名なシンタックスまで

演奏するなどかなりバンド色の強い作品にもなっている

話題性がほぼないだけに彼にとっての正念場ともいえる勝負作ではあったが、結果としては前作ほどの

ヒットを記録することはできなかった

 

Every Turn Of The World

Every Turn Of The World