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Ultimate Music Album - 極 -


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Ry Cooder - Paradise and Lunch:パラダイス・アンド・ランチ -

聴く人を大らかで、ゆっくりした気持ちにする音楽

 

" パラダイス・アンド・ランチ "…意味不明だが言葉の響きがいい

アルバム・タイトルに違わず収録された楽曲、演奏はテックス・メックス風あり、レゲエ風あり、

トラディショナルやブラインド・ウィリー・マクテルの曲あり、バート・バカラックの曲ありで

楽しいことこの上なく、まさに音楽の天国でライ・クーダーのフィンガー・ピッキングとスライド・

ギターが冴えまくっている

" おしゃべり屋 "はリンダ・ロンシュタットが" 風にさらわれた恋 "で、" 恋するメキシカン "はニコレット

ラーソンが彼女のデビュー作でそれぞれ取り上げている

どちらもライ・クーダーの作曲ではないが、おそらくリンダとニコレットは本作を聴いて気に入ったから

選曲したんだろうと思う

視点を変えていえば、彼女たちの歌でこれらの曲に親しんでいる人は、本作でのライ・クーダー

アレンジと歌も気にいると思う

本作は、ライ・クーダーの魅惑の音の世界への格好の入り口であり、最高にいかした音楽聴ける傑作だ

 

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§ Recorded Music §
1 Tamp'Em Up Solid - タンペム・アップ・ソリッド
2 Tattler - おしゃべり屋
3 Married Man's a Fool - 結婚したらお終いさ
4 Jesus on the Mainline - ジーザス・オン・ザ・メインライン
5 It's All Over Now - イッツ・オール・オーヴァー・ナウ
6 Medley : Fool for a Cigarette/Feelin' Good - メドレー ( フール・フォー・ア・シガレット/フィーリン・グッド )
7 If Walls Could Talk - イフ・ウォールズ・クッド・トーク
8 Mexican Divorce - 恋するメキシカン
9 Ditty Wah Ditty - ディティ・ワ・ディティ

 

 

 

 

この" パラダイス・アンド・ランチ "を聴くと彼の音楽が紛れもないロックであることが実感される

特に" 結婚したらお終いさ "と" イフ・ウォールズ・クッド・トーク "の2曲はドラムス、ベース、パーカッ

ションにエレキ・ギター2本をダビングするというシンプルなバッキングで演奏されていて、ライ自身の

スライド・ギターと独特なリズム・ギターからは強烈なロック・スピリットが漂ってくる

両曲とも、もともとブルース・ナンバーだが跳ねるようなシャッフルのリズムに、歌詞の内容に合わせた

ややユーモラスなヴォーカルで歌われているが、そのアレンジは同時期に活躍するリトル・フィート

共通する洗練された最先端のロック・サウンドであったといっても過言ではない

" メドレー "でも同様にスリリングなリズム・アレンジをバックにして、スライド・ギターはアコース

ティックで吹き込まれているが、ロックの息吹がみなぎった演奏である

これらの曲は、後の時代のバンドによるツアーでも重要なレパートリーとなるし、今作から新たに

加入するボビー・キングラの男性ゴスペル・コーラス隊の熱いバック・ヴォーカルも以後のソロ・

アルバムには必ず用いられるようになり、このアルバムでライ・クーダー・カラーが確立された

 

 

Tattler

Tattler

  • provided courtesy of iTunes
 

 

アルバムの内容は、従来通りカバー中心だが、それまでの大恐慌時代の歌を中心としたやや暗めの内容

から一転して、タイトル通り軽快で明るいトーンに変化していて、結婚と離婚や男女間の心の機微を

歌った曲を5曲も収め、こうした下世話な話題をテーマに前作同様トータル・アルバムになっている

アルバムに採用された曲は、古いフォークやブルース、ゴスペル、そしてR&Bなど多彩だが、いずれの

曲にも彼ならではのアレンジを施し、さまざまな音楽の要素を巧みにミックスして見事に" ライ・

クーダーの曲 "として再生されている…もっとも、これはすべてのアルバムにいえるが

ライ・クーダーはこのアルバムで、それまでに取り上げた音楽の要素を混合した独自のスタイルを完成

させただけでなく、テックス・メックスやジャズなど後に花開く音楽のエッセンスをも内包している

ことがわかる

 

彼の音楽はブルースでもロックでもなく、南部古謡、アメリカの古いフォーク・ミュージックに

インスパイアされた一種独特のものである

ただ南部古謡などをそのまま演奏しているのではなく、ライ・クーダー独自にミックスさせたものだ

非常に土着民族的な音楽に聴こえながらも、結局どこにも何にも属さない不思議な印象はそういった

ことからくるのではないかと思う

そういったライ・クーダーの音楽に対する姿勢は徹底していて、このアルバムには例えば有名なロックン

ロール" イッツ・オール・オーヴァー・ナウ "があるが、非常に不思議な楽曲になっている

このアルバムはライ・クーダーの中では、一番華やかな印象を持つもので入門者にお勧めである

スライドの名手であり、そういった角度からも楽しめるが、やはりライ・クーダーの音楽全体として

聴くのが一番であろう

のんびりしたいときには格別の1枚、こんな楽園はここにしかない

 

Paradise & Lunch

Paradise & Lunch