Policeの音楽スタイルを定着させたことで
見逃せない作品
パンク、ニュー・ウェイヴ、レゲエのブームに乗っかり存在感を示した1st" アウトランドス・ダムール "
から約1年後、1979年リリースの2ndアルバムにして最高傑作と呼ばれている
情報が錯綜、混沌としていた1970年代末、イギリスから次々出てくるユニークなバンドのひとつに
過ぎないと思っていたポリス
しかし、アンディ・サマーズはアニマルズの元ギタリスト、スチュワート・コープランドは充分に知的な
プログレ集団といえるカーヴド・エア在籍経験があることなどがわかり、加えて本作品における本性を
あからさまにしたような大飛躍で" やはり只者ではなかった "と音楽業界が大騒ぎになった
§ Recorded Music §
1 Message in a Bottle - 孤独のメッセージ
2 Reggatta de Blanc - 白いレガッタ
3 It's Alright for You - イッツ・オールライト・フォー・ユー
4 Bring on the Night - ブリング・オン・ザ・ナイト
5 Deathwish - 死の誘惑
6 Walking on the Moon - ウォーキング・オン・ザ・ムーン
7 On Any Other Day - オン・エニィ・アザー・ディ
8 The Bed's Too Big Without You - ひとりぼっちの夜
9 Contact - コンタクト
10 Does Everyone Stare - ダズ・エブリワン・ステア
11 No Time This Time - ノー・タイム・ディス・タイム
§ Band Member §
Sting - スティング( Vo,B )
Andy Summers - アンディ・サマーズ( G,Vo )
Stewart Copeland - スチュワート・コープランド( Ds )
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刹那の快感や爆発力を全面に押し出していた感のある前作に比べ、ここでの彼らはもっと音の洗練性を
追求していて、繰り返しリピートにも充分に耐え得る懐の深さを作品中に注入することに成功している
一聴して前作からの路線を引き継いだかのような印象を与える冒頭の" 孤独のメッセージ "にしても
決して単調なパンク・ソングにすることなく啓示的なリリックといい複雑な楽曲のアレンジといい
飛躍的な音楽的進歩を遂げていて、この1曲を聴いただけでも本作がどれほど重厚な内容を含んで
いるかが容易に推察できるものとなっている
この時点での彼らというのは、間違いなくポスト・パンク・シーンのトップランナーであったと断言して
もよく、前作でも今後の作品でもそうなのだが彼らの音楽はセンスがいい
それは、あるいはソング・ライティング面でいまいちイケてないというナンバーであっても、そこに
コープランドの切れのあるドラミングやサマーズの音色豊潤なるギター・リフ、そして艶っぽい
スティングの歌声が存在していれば、ほかの追随を許さない存在感、世界感が広がっていく
これを持っているアーティストというのは本当に強い
当時、イギリスでデビューした新人バンドで、これだけ技術的に上手い連中は珍しかった
しかも最小ユニットの3ピースで、まだ2ndにもかかわらず、これほど緻密に構成され奥行きがしっかり
あり、しかも正当なロックのワイルドさとポスト・パンク的な新しさを感じさせる音空間を構築していた
もっとも驚いたのは、" 孤独のメッセージ " " ウォーキング・オン・ザ・ムーン "をひとりで書いた
スティングのコンポーサーとしての才能ではなく、想像力を刺戟して止まないサマーズがギターに
かけるリバーブ、ディレイ、エコーの多様さ、その効果をしっかり把握した老獪さ…
アルバム・タイトルであり、クレジットがバンド名義になっている" 白いレガッタ "、歌詞らしい歌詞は
なく、ほとんど掛け声ばかりのナンバーなのだが、スリリングなイントロ、ファンキーかつドラマ
ティックな盛り上がりがとんでもない
彼らのデビュー・アルバム" アウトランドス・ダムール "もその完成度に驚かされるが、この2作目
" 白いレガッタ "は洗練性という点でデビュー・アルバムのはるか上をいくものである
もともとアレンジの多様さには定評のあった彼らだが、さらに多くの音楽的要素が加わっている
このアルバムのフューチャーはやはり" 白いレガッタ "なのかも知れないが、その一方でラストには
パンクそのものの" ノー・タイム・ディス・タイム "などを持ってきてもアルバム全体の雰囲気をまったく
壊していないところは流石である
一応プロデューサーとしてナイジェル・グレイもクレジットされているが、アルバムの構成はあくまでも
バンドが主体となっていて、本作品の収録曲の約半分がコープランドの作曲によることがそれを
示している
より前衛性を増したスティングの曲と、淡々と畳み掛けてくるコープランドの曲の対比が非常に面白く
彼らの生み出すサウンドの多様性が一番良く表れたアルバムだと思う