唯一無二のBOSTON Sound
ほかの追従をまったく許さないクオリティは健在
前作の" サード・ステージ "から数えて約8年ぶりの新作となった" ウォーク・オン "、もっとも前作の
" サード・ステージ "も8年ぶりのアルバムだったことを思えば、そう驚くようなことではなかった
だが、結局この16年間で彼らは2枚のアルバムしか作っていないのだから、その悠長さには恐れ入る
16年…そう一口に言ってしまうのは簡単だが、16年前に生まれた赤ちゃんもすでに高校生になっている
それだけ気が遠くなるような長い年月の中で作ったアルバムがたったの2枚というのは、恐らく
ギネスブックにも載る記録だったろう
ファンだって待ちくたびれたというよりは、むしろ" 忘れてた "といったほうが正解かもしれない
§ Recorded Music §
1 I Need Your Love - アイ・ニード・ユア・ラヴ
2 Surrender to Me - サレンダー・トゥ・ミー
3 Livin' for You - リヴィン・フォー・ユー
-- Walk on Medley : -- - ウォーク・オン・メドレー
④ Walkin' at Night - ウォーキン・アット・ナイト
⑤ Walk On - ウォーク・オン
⑥ Get Organ-Ized - ゲット・オーガナイズド
⑦ Walk On ( Same More ) - ウォーク・オン( サム・モア )
8 What's Your Name - ホワッツ・ユア・ネーム
9 Magdalene - マグダリン
10 We Can Make it - ウィ・キャン・メイク・イット
§ Band Member §
Tom Scholz - トム・ショルツ( G,Key )
Fran Cosmo - フラン・コスモ( Vo )
Tommy Funderburk - トミー・ファンダーバーグ( Vo )
David Sikes - デヴィッド・サイクス( B,Vo )
Gary Pihl - ギャリー・ピール( G )
Doug Huffman - ダグ・ハフマン( Ds )
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このアルバムは当初" フォア・リアル "というタイトルで、1993年の年末までにリリースされる予定
だったが最終的には約半年以上も遅れることになった
その理由は、最後の歌入れの段階になってヴォーカリストのブラッド・デルプが正式にグループを脱退
してしまったからだった
ブラッド・デルプはボストンのオリジナル・メンバーだったギタリストのバリー・グロドーとスタート
させたバンド、リターン・トゥ・ゼロの活動に専念するために脱退したらしい
そこで最初に仮歌を入れていたのはベーシストのデヴィッド・サイクスで、結局デヴィッド・サイクスは
ベースとヴォーカルを兼任する形でクレジットされているが、最終的にはもう2人のヴォーカリストが
レコーディング・メンバーとして迎えられている
フラン・コスモとトミー・ファンダーバーグである
最終的には" ウォーク・オン "というタイトルに変更されてようやく完成したこのアルバムに収録されて
いるのは全10曲、3年間でボストンがレコーディングしたのは全部で10曲だったそうだから、すべての
マテリアルがこのアルバムに収録されたことになる
" ウォーキン・アット・ナイト "と" ゲット・オーガナイズド "の2曲はインスト・ナンバー、そしてその
2曲を含む" ウォーキン・アット・ナイト "から" ウォーク・オン( サム・モア )"までの4曲が
" ウォーク・オン・メドレー "とクレジットされているが、実際はメドレーというよりも組曲風に
まとめられた大作となっていて、この" ウォーク・オン・メドレー "がこのアルバムのハイライトといえる
そしてタイトル曲の" ウォーク・オン "にはブラッド・デルプもソングライターのひとりに名を連ねて
いるのは見逃せない
シングル・カットされた" アイ・ニード・ユア・ラヴ "なんか、これぞボストンといいたくなるような
壮大なスケールの、ドラマティックで美しいロック・ナンバーだが、そこで新しいヴォーカリストが
爽やかな力をみなぎらせた、うっとりするような深みのある歌声を聴かせてくれる
今回のアルバムでは新しいヴォーカリストがボストンのサウンドにフレッシュな空気を運び込んでいるが
ここではギターの音がこれまでよりも少しハードになっているくらいで、収録曲の作風そのものは
今までのボストンと何ら変わらない
このアルバムの全体の雰囲気としては、ボストンが古巣のエペックから出した最初の2枚のアルバム
" 幻想飛行 "と" ドント・ルック・バック "に近いといえるし、トム・ショルツの音に対する拘りがわかる
彼らは、3年間でたったの10曲をずっとスタジオで弄っていたそうだが、確かにこのアルバムを聴けば
緻密なサウンドは文句なしに素晴らしい