一流ミュージシャンで構成されたStuffのデビュー・アルバム
知る人ぞ知る70年代における売れっ子スタジオ・ミュージシャンたちによるセッション・アルバムで
70年代当時はジャズ・ロック、クロスオーバーなどと称されていて、数多くの名盤が世にリリース
されていた中、このアルバムもその名盤中の名盤といわれている
メンバーはゴードン・エドワーズ(b)、リチャード・ティー(key)、コーネル・デュプリー(g)、エリック・
ゲイル(g)、クリストファー・パーカー(ds)、スティーヴ・ガット(ds)、改めてメンバー構成を見てみると
ホーンはなくギターが2人ドラムが2人と実にユニークな内容であった
演奏は技巧を控えつつシンプルかつストレート、ひつこさがまったくなく自然のそよ風のような
爽快感が今聴いても気持ちがいい
§ Recorded Music §
1 Foots - フーツ
2 My Sweetness - いとしの貴女
3 ( Do You ) Want Some of This - ウォント・サム・オブ・ディス
4 Looking for the Juice - ルッキング・フォー・ザ・ジュース
5 Reflections of Divine Love - 素晴らしき恋の想い出
6 How Long Will it Last - ハウ・ロング・ウィル・イット・ラスト
7 Sun Song - サン・ソング
8 Happy Farms - ハッピー・ファームス
9 Dexie / Up on the Roof - ディキシー/アップ・オンザ・ルーフ
§ Band Member §
Richard Tee - リチャード・ティー( Key )
Cornell Dupree - コーネル・デュプリー( G )
Eric Gale - エリック・ゲイル( G )
Gordon Edwards - ゴードン・エドワーズ( B )
Chris Parker - クリストファー・パーカー( Ds )
Steve Gadd - スティーヴ・ガッド( Ds )
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ブルース、ジャズ、ソウル、ゴスペル、カントリーといったアメリカのミュージシャンでなければ
持ち得ないエッセンスに満ちていて、中でもブルースがもっとも重要なベースになっていると思う
そんな彼らの音楽は骨太で、微塵も迷いがなく全員が同じ方向を向いていて全くブレが感じられない
情感にもあふれ温かくて優しく、それはスリリングな曲でも変わらない
ザ・クルセイダーズとは対照的ともいえる重量感のある演奏が基本だが、軽い曲は羽のようであり、
彼らのテクニックが尋常でないことを示している
高度なテクニックは速弾きとかの表層には使われず、スピリットとかソウルとか、そのほか諸々の
感情表現に向けられ彼らのスタイルを作り上げているので安定感が半端ではない
曲は基本的に屈託なく楽天的ともいえるもので、この辺も現在では味わえない魅力となっている
全曲クオリティは非常に高く都会的だが、無機質感、ディジタル感は皆無、生身の人間が嬉々として
プレイしている
演奏については、リード・リズムともに絶品なコーネルとエリックのギター、楽曲の雰囲気を見事に
操るリチャードのキーボード、ファンキーでもメロウでも一流の演奏を魅せてくれるリズム隊とまったく
申し分なく、特に微睡み、幻想、黄昏を感じさせるエレピ、語り合うようなツイン・ギターは最高、
そして何より素晴らしいのはチームワーク、楽曲の中でのリードの入れ替わりがスムーズだし、バック
でもさり気なく聴かせてきたり、いい音を鳴らしてくるところは思わず唸ってしまう
聴く人によって、聴く回数によっていくつもの魅力が出てくると思う
「 軽音楽をあなたに 」の番組オープニング、エンディングに流れていたのが" いとしの貴女 "だった
フュージョン・ブームの立役者となったバンドのひとつであるスタッフは、やはりほかのバンドには
ない独特のオリジナリティをもっていた
この6人の熟練した職人たちのそれぞれの個性がひとつのバンドの中で非常に生きていて、一人一人
誰にも代わりが務まらない
この6人が会したことで初めて" スタッフ "というジャンル分けができないオリジナリティが作られた
ゴードン・エドワーズの無骨で骨太のブラックネスを感じるベース、スティーヴ・ガッド&クリスト
ファー・パーカーの水も濡らさぬタイトなリズム、独特なグルーヴとメロウ・サウンドをもった随一の
個性リチャード・ティー、そしてまさに熟練工のいぶし銀ギタリスト、エリック・ゲイルとコーネル・
デュプリー、この6人こそがワン&オンリーな" スタッフ "である