Al Di Meolaの特徴を余すとこなく捉えた70年代の傑作
チック・コリアの第3期リターン・トゥ・フォーエヴァーのギタリスト、アル・ディ・メオラの初期の
名作で、フラメンコ・ギターのパコ・デ・ルシアをフュージョン、クロスオーバーの舞台に引っ張り
出したことでも有名である
2人のスパニッシュ・フレーズは途中でスピードが変化し、最初聴いたときはプレイヤーが壊れたかと
思ったほどだ
その後ジョン・マクラフリンを加えてスーパー・ギタリスト・トリオとしてのツアー、アルバムに
つながっていく
アル・ディ・メオラのプレイが満喫できるのは当然だが、ヤン・ハマーとの双頭バンド的な側面もあり
アル・ディ・メオラのギターのフレーズとヤン・ハマーのギターライクなシングル・トーンのキーボード
フレーズの対話が聴きもの、バックではドラムのスティーヴ・ガッド、レニー・ホワイトがビートを
刻み、ベースのアンソニー・ジャクソンがリズムをコントロールしている
§ Recorded Music §
1 Flight Over Rio - フライト・オーヴァー・リオ
2 Midnight Tango - ミッドナイト・タンゴ
3 Mediterranean Sundance - 地中海の舞踏
4 Race with Devil on Spanish Highway - レース・ウィズ・デヴィル・オン・スパニッシュ・ハイウェイ
5 Lady of Rome,Sister of Brazil - レディ・オブ・ローマ、シスター・オブ・ブラジル
6 Elegant Gypsy Suite - エレガント・ジプシー組曲
§ Personnel §
Al Di Meola - アル・ディ・メオラ( G )
Steve Gadd - スティーヴ・ガッド( Ds )
Lenny White - レニー・ホワイト( Ds )
Anthony Jackson - アンソニー・ジャクソン( B )
Jan Hammer - ヤン・ハマー( Key )
Barry Miles - バリー・マイルズ( Key )
Mingo Lewis - ミンゴ・ルイス( Key,Per )
Paco De Lucia - パコ・デ・ルシア( G )
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1976年にソロ・デビューしたアル・ディ・メオラのソロ第2作にして代表作というべき傑作"エレガント・
ジプシー "というアルバム・タイトル、フラメンコ・ダンサーのジャケットなどなどスパニッシュ・
フレイバーに満ち、師匠格のチック・コリアの影響も感じさせる
速弾きのギタリストの代名詞ともいえるディ・メオラらしいテクニックが随所で聴かれるが、1曲目の
" フライト・オーヴァー・リオ "と4曲目の" レース・ウィズ・デヴィル・オン・スパニッシュ・
ハイウェイ "でのプレイが特に凄い
ジェフ・ベックの" ワイアード "にも参加したヤン・ハマーのシンセサイザーの演奏も見事で、両者の
掛け合いが大変にスリリングだ
また、本作が有名な理由として" 地中海の舞踏 "でのパコ・デ・ルシアとのアコースティック・ギター・
デュオが挙げられる
発表当時、大変な話題になり、その後ジョン・マクラフリンやラリー・コリエルといったプレイヤーも
巻き込んで、ちょっとしたアコースティック・ギターのブームが起こった
Mediterranean Sundance - Al Di Meola
Al Di Meola Race With The Devil On a Spanish Highway 1977
Al Di Meola - Elegant Gypsy Suite
1曲目の" フライト・オーヴァー・リオ "からエンジン全開で、才気溢れる演奏がこれでもかとばかりに
続き、6曲目の" エレガント・ジプシー組曲 "までそのテンションが落ちることはない…若くなければ
とてもじゃないが作れるアルバムではない
" レース・ウィズ・デヴィル… "でのディ・メオラの速弾きは、もはや神業の域に達していてその技を
惜しみなく披露している
この曲が本アルバムで最も長いのだが、ディ・メオラの力業で最もパワーと疾走感に溢れた1曲になった
音楽技術の発展もあり、シンセサイザーのパートには正直古さも感じるが、それで楽曲の良さとギター・
プレイの価値がまったく落ちることはない
タンゴやラテン、そしてアコースティック・ギターに傾倒する1990年以降のアル・ディ・メオラも
悪くない…円熟した演奏にはまったく別な味わいがある
しかし、若さとパワーで押し切った本作は、その力強さが何より魅力的だ
サンタナ・フリークとしては、出てきてはいけないアーティストだと思った…とにかくテクニックが凄い
最初聴いたときはサンタナとマクラフリンを足して2で割ったようなプレイで思わず唸った
このアルバムは評判で、この当時ディスコ・ブームだったが、ツウはこのアルバムにハマっていた
マクラフリンのグループで鍛えられたヤン・ハマーもここではアップしてるし、スティーヴ・ガットが
この変則リズムのオンパレードの中でブレずにカッチリ決めているのもさすがである
そしてパーカッションにはサンタナのアルバムにも参加していたミンゴ・ルイス、ジャズ、ラテン・
ロックそしてエスニック、この融合が決まっている
" エレガント・ジプシー "のイントロが、キャンディーズの新曲に使われたときは、ツウの人は憤慨
したものだった