アーティストへ提供した曲をBobby Caldwell自ら
リ・レコーディングした復帰後第1弾
" ミスターAOR "ボビー・コールドウェルの5作目、当時は6年間アルバム・リリースがなく、他人に
提供した作品群を自らプロデュース、アレンジ、演奏して出したこのアルバムで復帰を飾った形だった
下手すると寄せ集め集になってしまうところだが、かえって作風が統一されていて、流して聴いても
まったく違和感がない
逆にいうとアルバムとしてのコンセプトや演奏のノリを楽しむ作品ではなく、ひたすらボビーの美しい
メロディとメロウなサウンドを楽しむ作品でもある
ドラムは、ほぼ打ち込みでリズムは無機質だが、かえってボビー節を純粋に楽しむのには良いのかも
しれない
§ Recorded Music §
1 Heart of Mine - ハート・オブ・マイン
2 Real Thing - リアル・シング
3 Next Time ( I Fall ) - ネクスト・タイム
4 All or Nothing at All - オール・オア・ナッシング・アット・オール
5 Saying It's Over - シング・イッツ・オーヴァー
6 In the Name of Love - イン・ザ・ネーム・オブ・ラヴ
7 Even Now - イーヴン・ナウ
8 First Time - ファースト・タイム
9 Stay with Me - ステイ・ウィズ・ミー
10 China - チャイナ
§ Personnel §
Bobby Caldwell - ボビー・コールドウェル( Vo )
Michael Landau - マイケル・ランドゥ( G )
Jimmy Haslip - ジミー・ハスリップ( B )
Mike Fisher - マイク・フィッシャー( Per )
Dave Koz - デイヴ・コズ( Sax )
Richard Elliot - リチャード・エリオット( Sax )… etc
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アルバム・デザインそのままの雰囲気で良質なAORを展開、ほかのアーティストに提供した優れた楽曲を
セルフ・カバーしている
全体に統一感があり最初から最後まで高い水準をキープしているのはさすが、リズムは打ち込みなの
だろうが丁寧な配慮が感じられて違和感はないし、マイケル・ランドゥのギターも良い職人芸を
聴かせている
適度なロマン性と軽快さが今でも新鮮な傑作となっていて、いまからAORを聴こうと思う人にお勧め
音楽性がどうのこうのという前に、このアルバムには素晴らしいメロディの曲ばかりが揃っており
ひたすら優しさに満ちている
もう一つの魅力的なのはボビーのなんとも味のある超一級レベルのヴォーカル、高度な歌唱力を持つ
アーティストは数多く存在するが、それだけではリスナーの心は打てない
彼は文句なしに素晴らしい
Heart Of Mine - Bobby Caldwell
Bobby Caldwell / Next Time (I Fall)
🌟 STAY WITH ME_BOBBY CALDWELL 🌟
" ハート・オブ・マイン "をボブ・スキャッグスが、" ネクスト・タイム " " ステイ・ウィズ・ミー "を
ピーター・セテラ、" イン・ザ・ネーム・オブ・ラヴ "をリチャード・エリオットが取り上げている
こともあって極めて話題性の高い作品となっており、特に" ハート・オブ・マイン "については彼の
代表曲のひとつとしても有名で、自身による演奏頻度も高まっており、ゲスト・ミュージシャンのほか
管楽器奏者らが参加しているのもののその依存度は低い
本作を彼の代表作とする人が多いことも頷ける内容である
ディジタル系のシンセ/エレピを中心にしながらも、豊かなコーラスやサックスなどの生楽器を加えて
打ち込み臭さやサウンド全体のチープさを打ち消している
6年間の間、ボビーはソング・ライティングに注力しピーター・セテラ&エイミー・グラントの" ネクスト
タイム "、ピーター・セテラの" ステイ・ウィズ・ミー "、ボブ・スキャッグスの" ハート・オブ・
マイン "などを送り出したが、本アルバムではそれらをセルフ・カバーしている
本国アメリカでは1980年代前半以降、商業的成功は少なかったが、日本ではボブ・スキャッグスや
クリストファー・クロスと並ぶAOR界を代表するシンガーとして人気を誇り、1980年代後半から
1990年代にかけて、タバコのパーラメントのCMでニューヨークの夜景をバックに" カム・トゥ・ミー "
" ステイ・ウィズ・ミー " " ハート・オブ・マイン "がオンエアされたことも懐かしい
6年の月日は大きいのか同じ打ち込み、ディジタル系のシンセの使用であっても前作とは質感がまったく
異なり、本作ではそこが聴きどころですらある
楽曲の素晴らしさで聴いてもいいが、ナチュラル志向の打ち込みのお手本としても有効である