ファースト・アルバムの土臭い音から格段に洗練されたアルバム
米国ルーツを混ぜこぜにして全く新しい西海岸の典型を作った
この作品から出すアルバム全てがプラチナ・ディスク何枚分にもなる超売れっ子になったが、1stは
まるで鳴かず飛ばずだったようで、この" トゥールーズ・ストリート "が売れなかったら解散しようという
背水の陣で出したアルバムだった
曲調は完全にブルース・ロックだがパトリック・シモンズのフォーク趣味、トム・ジョンストンの
ロック趣味やジャズ趣味などが相まって" ドゥービー節 "ともいえる例の独特の雰囲気を醸し出している
ドゥービー・ブラザーズは、もともとパトリック・シモンズがフォーク・バンドを作ろうとして
全米中からメンバーを探してきて作ったバンド、ところが集まったのはフォーク・ミュージシャン
ではなくカントリー、ジャズ、ロックン・ローラーだった
" ごった煮バンド "ドゥービー・ブラザーズはそれぞれの長所を活かし、世界に例のない独自のサウンドを
生み出している
§ Recorded Music §
1 Listen to the Music - リッスン・トゥ・ザ・ミュージック
2 Rockin' Down the Highway - ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ
3 Mamaloi - ママロイ
4 Toulouse Street - トゥールーズ・ストリート
5 Cotton Mouth - コットン・マウス
6 Don't Start Me to Talkin' - ドント・スタート・ミー・トゥ・トーキン
7 Jesus is Just Alright - 希望の炎
8 White Sun - ホワイト・サン
9 Discile ー ディサイプル
10 Snake Man - スネイク・マン
§ Band Member §
Tom Johnston - トム・ジョンストン( Vo,G )
Patrick Simmons - パトリック・シモンズ( Vo,G )
Tiran Porter - タイラン・ポーター( B )
John Hartman - ジョン・ハートマン( Ds )
Michael Hossack - マイケル・ホサック( Ds )
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デビュー・アルバムはシンプルなカントリー・ロック・バンドといった彼らだったが、このアルバムでは
ツイン・ギター、ツイン・ドラムと美しいコーラスからなるダイナミックなサウンドが出来上がっている
そういった意味では本作こそが本当の意味でのデビュー・アルバムといえる
名曲" リッスン・トゥ・ザ・ミュージック "を収録、この曲は次作の" ロング・トレイン・ランニン "と
並ぶドゥービーの代表曲で、おそらく耳にしたことのある人も多いと思う
" ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ "もそれに並ぶ初期の名曲で、疾走感あふれるロックナンバーである
そのほか、いかにもパトリック・シモンズらしい幻想的なフォーク調の" トゥルーズ・ストリート "
ザ・バーズも取り上げているカバー曲" 希望の炎 "、さり気なくも美しい" ホワイト・サン "、
ダイナミックなエレキ・サウンドの南部的な" ディサイプル "、クールなフェード・アウトでラストを飾る
" スネイク・マン "など聴きどころは多い
Doobie Brothers - Listen To The Music • TopPop
Doobie Brothers | Jesus Is Just Alright
ツイン・ドラムの威力を全面に押し出したリズム隊と、澄み切った風のようなコーラスによって
生み出される疾走感はドゥービーの真骨頂である
ツイン・ドラムなどコンサート時やビジュアル的な効果以外にさほどの意味はないと思っていたが
このアルバムはその意味を教えてくれた…ツイン・ドラムが叩き出すグルーヴ感は強力だ
" 希望の炎 "はほとんどツイン・ドラムとコーラスだけですでに名曲になっている
トム・ジョンストンは文句なしの天才で、初期ドゥービーの栄光は彼の才能によるところが非常に大きい
そのことは本作から" スタンピード "まで揺るがない
" ドゥービー・ストリート "からはトムが抜けてマイケル・マクドナルドが加入、ドゥービーのファンは
トム期とマイケル期のファンに二分される…それは当然で明らかな変化があるからである
もっとハッキリいえば別のバンドになっているにもかかわらず、ドゥービーであり続けたのはパトリック
シモンズの存在があったからだ
彼はタイプの異なる2人の天才と完全に調和してみせた
70年代のアメリカン・ロックでイーグルスと双璧ともいえる素晴らしいグループが、初のビッグ・ヒット
" リッスン・トゥ・ザ・ミュージック "を放ったアルバム、マイケル・ホサックが参加してツイン・
ドラムとなりスケールアップした演奏を聴かせる
決まりまくるコーラスも素晴らしく、アメリカン・ロックの醍醐味というのが満喫できる
ブルース、ロックン・ロール、フォークをハーモニー・ヴォーカルやドライヴ感といったバンドの個性で
洗練させ、磨き上げたサウンドである…これがまた単純に聴きやすく、やたらかっこいい
これはアコースティック・ギターにキレがあるからだと思う
マイケル・マクドナルド加入後は大人のロックに移行していく彼らだが、本作から" スタンピード "
までの4作はアメリカン・ロック全開で、どれも甲乙つけがたい名盤である