Blue Öyster Cultのイメージを決定づけた作品
その意味で彼らの作品中最重要作
" ブラック・サバスへのアメリカからの返答 "的な存在として知られていたが、本作も手掛けている
プロデューサー、サンディ・パールマンにより" ヘヴィ・メタル "とその音楽性を称されたことでも
一躍有名になった
ブルー・オイスター・カルト( BOC )の場合、ニューヨークのアンダーグラウンド・ソーンとも
リンクしていただけに、同時期のブリティッシュ・ハード勢とは違った受け入れ方があった
オカルトをテーマに盛り込みながら、どこか知性を感じさせる歌詞世界と音楽性、またアメリカ人
らしい陽気なオトボケ度もバンドのキャラを際立たせていた
BOCの代表曲となった" 死神 "におけるメロディ・センス、ハード・ロックとはかけ離れた可愛いポップ
センスは、バンドの器用すぎるほどの個性を決定づけている
§ Recorded Music §
1 This Ain't the Summer of Love - サマー・オブ・ラヴ
2 True Confessions - 懺悔
3 ( Don't Fear ) The Reaper - 死神
4 E.T.I. ( Extra Terrestrial Intellgence ) - E.T.I.
5 The Revenge of Vera Gemini - ヴェラ・ジェミニの復讐
6 Sinful Love - 罪深き恋
7 Tattoo Vampire - 吸血鬼
8 Morning Final - モーニング・ファイナル
9 Tenderloin - テンダロイン
10 Debbie Denise - デビー・デニス
§ Band Member §
Eric Bloom - エリック・ブルーム( G,Per,Vo )
Donald 'Buck Dharma' Roeser - ドナルド' バック・ダーマ 'ローザー( G,Vo )
Allen Lanier - アラン・レイニア( Key,G,B )
Joe Bouchard - ジョー・ブーチャード( B )
Albert Bouchard - アルバード・ブーチャード( Ds )
|
ニューヨークの狂気のヘヴィ・メタル・マシーンと謳われたBOCの4枚目のスタジオ作で、彼らは
このアルバムでかなりのイメージ・チェンジをしている
それはポップ感覚の導入で、それによって熱心なファンは彼らから離れていったが、代わりに新しい層の
ファンが増えてきた
しかし、そのような人たちは飽きるのも早いため、BOCはこのアルバム以降苦戦の道を歩むことになる
そんなアルバムの中でも" 死神 "はいい形でポップ・フレーバーがあふれている彼らの曲の中でももっとも
人気のある曲のひとつになっている
武骨で直接的というアメリカン・ロックのイメージと対極にあるBOC、エアロスミスもチープ・トリック
もBOCなくしては生まれてこなかったであろうという影響力がありながら超然と独自の美学を追求する
姿勢があり、実に都会的な音である
さらに彼らのメイン・テーマであるところのオカルト、超常的現象についても、とってつけたような
ものではなく本当に好きなんだろうなと思う
シングル・ヒットを狙ったことはないと公言する彼らのヒット" 死神 "の位置が絶妙で、ギターが美しい
" E.T.I. "、パティ・スミスが色っぽく囁く" ヴェラ・ジェミニの復讐 "と展開する部分がいい
曲の構成がしっかりしているのも彼ら特徴である一方、それがヘヴィ・ロック・ユーザーからすると
物足りない部分でもある
音の衝撃で勝負するグループではなく、ジワジワとくる異常さが真骨頂である
初期のギター中心の暗く冷たい邪悪なオカルト路線だったのが、発売当時" 死神 "を聴いてビックリした
それにしてもこれではポップすぎやしないかと…反面こんな胸を締め付けられるようなメロディアスな
ハード・ロックがかつてあっただろうかとしみじみ感動した
全体にまったく捨て曲なしの名盤で、雰囲気が夜のイメージから、明るくいい意味で軽く一般に受け入れ
られる作品になっている
ブルー・オイスター・カルトの歴史の中でも、1stと並ぶ最重要作品となっている