アコギのライト・ハンドが衝撃的なセカンド・アルバム
作品全体から受ける印象としては、ややクールダウンしたというか、ファーストのような破天荒な
荒々しさは幾分抑制されている感があり、それなりに世間一般なリスナーにとっての聴きやすさと
いうものも意識された作品になっているのかなという気もする
そうした部分がはっきり出ているのが、冒頭2曲の存在であるというのが間違いないところで、1曲目は
リンダ・ロンシュタットの全米No.1で有名なヒット曲のカバーであり、2曲目は新機軸とでも呼ぶべき
ダンス・ロック・チューン、最終曲もシングル・カットされたサーフ・ロック調のポップ・ロックであり
何れもラジオでのオンエアを念頭に置きつつ制作された楽曲であることは確かだと思われる
ただ、そういったサウンド面における若干のソフト化よりも、当時もっとも話題となっていたのが
" スパニッシュ・フライ "だったような記憶が個人的には強く残っている
§ Recorded Music §
1 You're No Good - 悪いあなた
2 Dance the Night Away - 踊り明かそう
3 Somebody Get Me a Doctor - サムバディ・ゲット・ミー・ア・ドクター
4 Bottoms Up! - ボトムズ・アップ!
5 Outta Love Again - オッタ・ラヴ・アゲイン
6 Light Up the Sky - 輝ける空
7 Spanish Fly - スパニッシュ・フライ
8 D.O.A. - 生か死か
9 Women in Love - ウィメン・イン・ラヴ
10 Beautiful Girls - ビューティフル・ガールズ
§ Band Member §
David Lee Roth - デヴィット・リー・ロス( Vo )
Eddie Van Halen - エディ・ヴァン・ヘイレン( G )
Michael Anthony - マイケル・アンソニー( B )
Alex Van Halen - アレックス・ヴァン・ヘイレン( Ds )
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ファースト・アルバムで多くのロック・ファンの度肝を抜いたエディのギター・プレイ、中でも
インスト・ナンバー" 暗闇の爆撃 "での演奏スタイルは、全ロック史においても空前の衝撃であり
中には" これはエレキの特性を活かしたマヤカシの奏法であり、演奏本来のギター・テクとは無縁の
シロモノなのではないか "などと穿った見方をする人たちが出てきたりもした
そこで登場してきたのが前述の" スパニッシュ・フライ "なのであり、このインスト曲によってエディは
生ギターであっても" 暗闇の爆撃 "と同等のプレイが可能なことをきっぱりと証明してみせた
そしてこのトピックこそが本作リリース時におけるエディ・ヴァン・ヘイレン第二の衝撃として
巷で大きな話題となっていた
" 悪いあなた "は、1963年にディー・ディー・ワーウィックやベティ・エヴェレットといったR&B歌手が
ヒットさせた楽曲のカバーで、リンダ・ロンシュタットが1974年に発表したヴァージョンが全米1位を
獲得したことでも知られるがオープンニングを飾るにはいささか地味な気がする
" 踊り明かそう "から、アメリカ西海岸のノリノリの良さをイメージさせる歌曲が続き、"サムバディ
ゲット・ミー・ア・ドクター "は1stを彷彿とさせる少々のパンキッシュかつグルーヴィな感じの曲である
そして" 輝ける空 "は、初期のヴァン・ヘイレンの真骨頂で、ずべての才能と技術の粋を結集した楽曲、
それからギター・キッズへの止めは" スパニッシュ・フライ "、みんなの度肝を抜いた「 ライト・ハンド
奏法 」による1stの" 暗闇の爆撃 "を凌駕する" スパニッシュ・フライ "はガット・ギターによるライト・
ハンド奏法には、さらに度肝を抜かれることになった
ギターのありとあらゆる奏法、テクニックをマスターしてしまったかのようなエディのギターは、
それでいて決してテクニカルなそれではなく、型にはまることのない野性的な魅力に満ちている
いったいあの、まだどこか少年の面影を残す彼のどこから、こんなエネルギッシュで斬新な音が
出るのか不思議で、まだまだ未知の可能性があるような気なした
デヴィッド・リー・ロスのヴォーカルも相変わらずパワフルだが、ただ全速力で飛ばすだけでなく
" ウィメン・イン・ラヴ "のように、ややメロデイカルナ陰影に富んだナンバーも充分に歌いこなせる
だけの巾と、柔軟性が出てきている
全体の音創りは、1stの延長線上にあるといえるが、前述の" ウィメン・イン・ラヴ "や" 踊り明かそう ”と
いったナンバーに代表されるようにリズムのみを強調しただけでない、メロデイ面を強調している点は
注目したい