Wes MontgomeryがMiles Davisのリズム隊と
Johnny Griffinを迎えて吹き込んだライヴ盤の傑作
ウェス・モンゴメリーはアメリカ合衆国インディアナポリス生まれのジャズ・ギタリストで、この
アルバムは1962年バークレイのコーヒーハウス「 壺 ( Tsubo ) 」での軌跡のライヴである
リスナーの聴き方は千差万別で賛否両論いろいろあって当然なのだが、多くの人が素晴らしいという
評価が多い1枚であるし、ウェス・モンゴメリーの死後、この収録に関して明らかになってきた事実も
希少性がある
ブラック・ホールの出ていたマイルス・デイビスの最高のリズム隊を借りれたこと、ジョニー・
グリフィンとのオファーがとれ、好不調が激しいグリフィンがノッていて最高のギグになったことなど
ウェスの卓越した演奏とピアノのウィントン・ケリーのまさに" 壺 "を得た極上の演奏、どれひとつ
とってみてもゾクゾクする逸品といえる
§ Recorded Music §
1 Full House - フル・ハウス
2 I've Grown Accustomed to Her Face - アイヴ・グロウン・アカスタムド・トゥ・ハー・フェイス
3 Blue 'n' Boogie - ブルーン・ブギ
4 Cariba - キャリバ
5 Come Rain or Come Shine - 降っても晴れても
6 S.O.S. - S.O.S.
§ Personnel §
Wes Montgomery - ウェス・モンゴメリー( G )
Johnny Griffin - ジョニー・グリフィン( Ts )
Wynton Kelly - ウィントン・ケリー( Pia )
Paul Chambers - ポール・チェンバース( B )
Jimmy Cobb - ジミー・コブ( Ds )
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もともとライヴではないが、コーヒーハウスは噂を聞いて集まった人々があふれかえっていて、結果的に
ライヴの雰囲気を重ねたレコーディングとなった
ちなみにジョニー・グリフィンとウェス・モンゴメリーはこれが初顔合わせだった
観衆のざわめきや掛け声などの反応が、いかにもジャズを聴いてノッているアフリカン・アメリカンの
感じが出ていて最高である
ウェスのギターが絶好調なのはもちろん、ジョニー・グリフィンのテナーもメリハリが効いている
曲想のはっきりした勢いのある曲が続くのも魅力で、人の集まりで流すと場の雰囲気も盛り上げてくれる
このライヴのために急遽結成されたグループとは思えない演奏の一体感に圧倒される
ウェス・モンゴメリーの暖かく心地よいギターとグリフィンの熱いテナー・サックスの組み合わさり方が
素晴らしく、バックのピアノにも惚れ惚れする
冒頭の" フル・ハウス "は黒っぽい雰囲気をたたえた曲で、ウェス、グリフィン、ウィントン・ケリーが
スリリングなソロを交錯させる演奏はカッコいいというか痺れるというか…とにかく脱帽のほかない
全体としてはスローテンポの曲も悪くないが、" ブルーン・ブギ "や" S.O.S. "などアップテンポの曲に
より魅力がある
録音は、当時西海岸にたマイルス・デイビス・グループのリズム・セクションを借り、ジョニー・
グリフィンが加わった臨時編成バンドだが、それが信じられないくらい見事な演奏である
" フル・ハウス "はハードボイルドなテーマから続くウェス・モンゴメリーのクールなフレーズの連続に
ノックアウトされる
" アイブ・グロウン・アカスタムド・トゥ・ハー・フェイス "は優しく弦をなでるような絶品のバラード
アップテンポの" ブルーン・ブギ "、ラテンの" キャリバ "、スインギーな" 降っても晴れても "でのソロの
クライマックスでは、どうなってんだ?…という凄さである
バラエティに富んだ選曲もよく、ウィントン・ケリー、ジョニー・グリフィンにとっても生涯ベストの
演奏のひとつではないかと思う