アメリカン・ロック・グループのLittle Featが
1974年にリリースした4作目のスタジオ・アルバム
名作" ディキシー・チキン "に続くリトル・フィートの4作目で、グループとしての多彩な演奏内容は
これがベストであり、前作よりも巾の広がった音楽性と分厚くなったサウンド、音の守備範囲が広がった
ローウェル・ジョージ作の" スパニッシュ・ムーン "にはタワー・オブ・パワーの豪華なホーン・
セクションがついて異国情緒あふれる名曲に仕上がっているし、ボトムを支えるヘイワード、
グラッドニー、クレイトンの重く粘っこいビートも聴きもので、" ディキシー・チキン "よりもタイトで
ファンキーな味わいになっている
§ Recorded Music §
1 Rock & Roll Doctor - ロックン・ロール・ドクター
2 Oh Atlanta - オー・アトランタ
3 Skin it Back - スキン・イット・バック
4 Down the Road - ダウン・ザ・ロード
5 Spanish Moon - スパニッシュ・ムーン
6 Feats Don't Fail Me Now - 頼もしい足
7 The Fan - ファン
8 Medley - メドレー
Cold Cold Cold - コールド・コールド・コールド
Tripe Face Boogie - トライプ・フェイス・ブギー
§ Band Member §
Lowell George - ローウェル・ジョージ( Vo,G )
Paul Barrere - ポール・バレア( G,Vo )
Bill Payne - ビル・ペイン( Key,Vo )
Kenny Gradney - ケニー・グラッドニー( B )
Richie Hayward - リッチー・ヘイワード( Ds )
Sam Clayton - サム・クレイトン( Per )
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本作は、前作の延長線上にありながらも、前作であたったファンキーネスをさらに全面に出しているが
決定的に違うのは、前作は南部伝承音楽を突き詰めたところにファンキーネスがあったという自然
発生的なリズムの強調であったのに対し、本作は最初にファンキーネスを据えての作品である
ローウェルは、本作でプロデュースも手がけているがヴォーカルにさらに専念するようにスライドは
あまり弾いていなく、その分ポール・バレルのギター、ビル・ペインのキーボードがこれまでより
全面に出るようになり、音楽にさらに巾が出たほか洗練された都会的な感触を持つようになってきた
どっしりと重いリズムが糸を引くかのように滑る演奏は、まるで沼地をゆっくりと歩いていくかの
ような感覚を感じるが、上物のピアノはやたら軽快でその絡みが独特のグルーヴを生み出す
この時期の彼らは、それに加えてローウェル・ジョージの実はかなりメロディアスな楽曲を収録していて
聴けば聴くほど味わいが増してくる
一聴するとただ濃いだけに聴こえる演奏が、しだいにクセになってくるのはこういった楽曲の質の
高さによるものも大きいと思う
ファンクやジャズやブルース、そして西海岸風のサウンドをゴチャ混ぜにしたかのようなサウンドは
表現が非常に難しいが、濃厚なスープのような味わいを感じさせ、イメージとして彼らにも非常に
マッチしている
本作の特徴は、やや露出気味の分厚いリズム・セクションにあり、ヘイワードの叩き出すドラムが
タイトでヘヴィでしかも大変心地よい
さらにまたこのアルバムのもう一人の主役がビル・ペインの弾くというか叩きまくるような独特な
タッチのキーボード・プレイである
反面大黒柱のローウェル・ジョージがやや霞んでしまった感は否めない
メンバーが一丸となってひとつの塊のようなサウンドを形成するのはリトル・フィートの特徴だが
このアルバムは彼らの作品中もっともパーカッシブでファンキーなサウンドで、名曲ぞろいの前作
" ディキシー・チキン "や後作である究極のフィート・サウンドの" ラスト・レコーディング "とはまた
違った魅力を放つ重厚な名盤といえるし、大人のロックを聴きたい人にはお勧めできる