当時のブリティッシュ・ロックの方向性を示した名盤
衝撃の" テン・イヤーズ・アフター・ファースト "、2ndでのライヴ盤" イン・コンサート " 、
" ストーンドヘイジ "での実験性を経て心身共に充実、名実ともに充分、名作を生む条件はそろって後は
再現あるのみ、期待がかかった" 夜明けのない朝 "は楽曲、演奏、構成とずべてにおいて完璧である
" 夜明けのない朝 "、この曲は今後のブルース・ロックへの夜明けを感じさせる作品に仕上がった
前作にあったジャズっぽさや洗練された雰囲気は完全になくなって、まるで別のグループにでもなった
ような印象を受けるものの、ジューシー・フルーツやDr.フィールグッド、そして多くのサザン系ロック
グループに似たこの雰囲気も充分に味わい深い
§ Recorded Music §
1 Bad Scene - バッド・シーン
2 Two Time Mama - トゥ・タイム・ママ
3 Stoned Woman - ストーンド・ウーマン
4 Good Morning Little Schoolgirl - グッド・モーニング・リトル・スクールガール
5 If You Should Love Me - 愛してくれるなら
6 I Don't Know That You Don't Know My Name - 知らないどうし
7 The Stomp - ストンプ
8 I Woke Up This Morning - 夜明けのない朝
§ Band Member §
Alvin Lee - アルヴィン・リー( G,Vo )
Leo Lyons - レオ・ライオンズ( B )
Ric Lee - リック・リー( Ds )
Chick Churchill - チック・チャーチル( Key )
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" 夜明けのない朝 "というシングルがそこそこヒットした時代が1969年という時代、完全なブルースで
この曲がほかのポップ音楽とヒット・チャートを競うという信じられない時代だった
かねてより驚異の速弾き男といわれていたアルヴィン・リーのこれでもかという印象を与えたのがこの
シングルであり、またこのアルバムである
ブルースをベースとした渋めのハード・ロックを聴かせるアルバムだが、" バッド・シーン "のように
テンポ・チェンジや場面展開を折り込んだプログレッシブな曲も含まれる
" グッド・モーニング・リトル・スクールガール "もブルースをベースにしたハード・ロックで太いベース
サウンドが気持ちよく、長尺なギター・ソロは時代の産物だが聴き応えがある
いわゆるホワイト・ブルース・ロックで、選曲は泥臭いクラシック・ブルースのロックっぽいアレンジが
多く、当時速弾きで有名だったアルヴィン・リーのギターは、今聴くと大したことはないが、このカッコ
よさはどこからくるのか…
オープニング・ナンバーの疾走感、あまりハッタリっぽいところのない等身大の演奏姿勢の潔さ、黒人
ブルースにはない" 愛してくれるなら "のようなアコースティック・ギターをいい感じで入れたちょっと
切ないロックが混じる点、それでも乱暴な感じを失わない
ロックの魔法がこの作品にはあって、ロックが何故かっこいい音楽でなければいけないのか、の回答
なのは確かである
" Ssssh "は何と読むか?…一説にはイギリスのシャンプーの名前で" シュッシュー "と読むと聞いたこと
があるアルバムで、" グッド・モーニング・リトル・スクールガール " " 夜明けのない朝 "が彼らの代表曲
だが、彼らの弱点は全曲同じようなスタイルというか、アルバムを通して聴いた場合に起伏が不足して
いるように思う
曲そのものやテクニックは突出しているので少し残念な気がするが、1960年代後半から1970年代前半の
ブリティッシュ・ブルースの牽引車のひとつであったことは間違いない
イギリスのグループではあるものの、アメリカン・ロックのファンには意外な伏兵として楽しめると思う