それまでのテイストとは異なった、一般大衆にも
受け入れやすい内容となっている" Freeze Frame "
1981年発表、全米ビルボード・アルバム・チャート1位、" アメリカのストーンズ "と呼ばれR&Bを基調と
したロックが代名詞だったが、セス・ジャストマン主導、シンセ多用のヒップ・ホップに方向性を変え
この12枚目のアルバムにしてとうとう遅咲きの大ブレークを果たした
アルバム自体は1980年代を代表する名盤となったが、これだけ方向性を変えた展開にメンバーの亀裂は
一気に加速しピーター・ウルフは脱退、ソロ活動をしていくことになる
また、セス・ジャストマンら残ったメンバーは次作" ヒップ・アート "発表も、偉大な人気ヴォーカリスト
ピーター・ウルフの穴は埋められず大コケ…長年切望した大成功の代償はあまりにも大きかった
§ Recorded Music §
1 Freeze Frame - フリーズ・フレイム
2 Rage in the Cage - 閉ざされた怒り
3 Centerfold - 堕ちた天使
4 Do You Remember When - 去って行く女
5 Insane, Insane Again - 狂気の季節
6 Flamethrower - 炎の女
7 River Blindness - リヴァー・ブラインドネス
8 Angel in Blue - 悲しみのエンジェル
9 Piss on the Wall - ピス・オン・ザ・ウォール
§ Band Member §
J. Geils - J・ガイルズ( G )
Richard 'Magic Dick' Salwitz - マジック・ディック( Har,Sax,Tp )
Seth Justman - セス・ジャストマン( Key )
Peter Wolf - ピーター・ウルフ( Vo )
Danny Klein - ダニー・クレイン( B )
Stephen Jo Bladd - ステファン・ブラッド( Ds )
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キーボードのセス・ジャストマンのプロデュースにより、J・ガイルズ・バンドのポップな魅力が大爆発
したアルバムで、印象的なカメラのシャッター音の後、セスのオルガンがポップなイントロを奏でる
タイトル曲のほか、とにかくセスの活躍が目立つ
同じようにオルガンのイントロが印象的な" 堕ちた天使 "はあまりにも有名な曲で、J・カイルズ・バンド
といえばこの曲を思い浮かべてしまうほどのポップな名曲である
ストリングスが使われた" 去って行く女 "の寂しげなヴォーカルも心に残る
上述したようにこの後次作を発表するが、その後に解散しているので実質的なラスト・アルバムといえる
1980年代は、MTVでいろいろなバンドのプロモーション・ビデオが流れていて、" 堕ちた天使 "が
大ヒット、アルバムを聴いてみるとそれまでブルース一辺倒といわれていたのが80年代の音に変わった
" 堕ちた天使 "や" フリーズ・フレイム "、そして" 悲しみのエンジェル "などは今でも好きで聴いている
1980年代のポップな音楽が産業ロックだとかコマーシャルなどと言われるが、それでいいと思う
フォークやブルース、ハード・ロックをさらに発展させたのが、この時代の音楽であるから…
ビールのテレビCMのおかげで、20年…遅れながら日本でもポピュラーになった感のあるJ・ガイルズ・
バンドの最高傑作で、件のCMの使用曲" 堕ちた天使 "も、もちろんテイクされている
リーダーのJ・ガイルズのかっこいいコード・カッティングとソング・ライティングも担当するセス・
ジャストマンのキーボードがこのバンドの音の要で、当時はよくローリング・ストーンズとの共通性が
いわれたように、ラフでストレート、ブルースっぽいロックが持ち味な訳だが、本作ではスタジオ・
ワークに熱を入れ、丁寧な作りが成功した
彼らの代表作の半分近くが本作に含まれているので、初めて聴く人にも安心してお勧めできる
70年代のストーンズが好きな人には一度聴いてもらいたい、ワイルドなアメリカン・バンドである