映画『 TOP GUN 』のサウンド・トラック
『 トップガン 』は『 フットルース 』での発想を推し進める形で現れ、アメリカで評判になった映画で
今回紹介するのはそのサウンド・トラック盤である
映画は公開と同時に、その週の興行収益で第1位を獲得、サントラ盤のほうも当然ポップ音楽界の気分を
反映するように、ラジオのスイッチをひねったり、ジューク・ボックスにコインを投げ入れたりした
ときの感覚に近く、ヒット曲が次々と流れてくるといった風の内容になっている
カリフォルニアにある海軍パイロットのエリート養成所に、トム・クルーズを主役にした映画だという
ことで監督はトニー・スコット、この監督は『 ダイエット・ペプシ 』のCMを担当し評判になった人で
アメリカのコマーシャル界の第一線で活躍中だった
その彼が手がけたこともあって『 フットルース 』は、音楽のシーンを取ればMTVを観ているようだと
いうことで話題になったが、この『 トップガン 』は楽しいコマーシャル・フィルムを立て続けに
観ているような感じだという意見もあった
§ Recorded Music §
1 Denger Zone : Kenny Loggins( デンジャー・ゾーン : ケニー・ロギンス )
2 Mighty Wings : Cheap Trick( マイティ・ウィング : チープ・トリック )
3 Playing with the Boys : Kenny Loggins( 真昼のゲーム : ケニー・ロギンス )
4 Lead Me On : Teena Marie( リード・ミー・オン : ティーナ・マリー )
5 Top Gun Love Theme : Berlin( 愛はため息のように : ベルリン )
6 Hot Summer Night : Miami Sound Machine( ホット・サマー・ナイト : マイアミ・サウンド・マシーン )
7 Heaven in Your Eyes : Loverboy( ヘヴン・イン・ユア・アイズ : ラヴァーボーイ )
8 Through the Fire : Larry Green( 炎をぬけて : ラリー・グリーン )
9 Deitonation Unknown : Marieta( 行き先のない旅 : マリータ )
10 Top Gun Anthem : Harold Faltermeyer & Steve Stevens
( トップガン~賛美の世界~ : ハロルド・ファルターメイヤー&スティーヴ・スティーヴンス )
アルバムは、ケニー・ロギンスの力強いロックン・ロール" デンジャー・ゾーン "で始まり第1弾シングル
として発表されアメリカでヒットした
ケニー・ロギンスのついては、改めて紹介するまでもなく『 フットルース 』の大ヒットで日本でも
幅広く親しまれるようになったアーティストで、それ以前からアメリカ西海岸のポップ音楽に感心のある
人達の間では、絶対的な信頼を集めていたし、ジム・メッシーナとのロギンス&メッシーナ時代にも
爽やかな印象を残している
ソロ活動に転じてからは、スティービー・ニックスとのデュエットで" 2人の誓い "を全米ナンバー・ワン
に輝かせたときもあり、このアルバム発表当時はポインター・シスターズやシャラマーなどと共演したり
黒人音楽との接点に彼なりの解釈で踏み込み話題を投げかけていた
ケニー・ロギンスは、このアルバムで" 真昼のゲーム "という新曲を披露している
チープ・トリックはイリノイ州のモダンなロックン・ロールに定評のあるグループで武道館公演を収めた
ライヴ・アルバムが評判になり日本では熱心なファンが少なくなかった
ティーナ・マリーは、ロサンゼルスで活躍中だった女性シンガーだが、プロデューサー感覚を身に付けた
幅広い才能でも評価されていた
" 愛はため息のように "という、とびきりのバラードを楽しませてくれるのは、ロサンゼルスのアンダー
グランドから登場したベルリン、女性シンガーのテリー・ナンを看板にしたグループで、この当時の
メンバーが揃ったのは82年の秋、" そのとき、私は… "のヒットを放ち、当時は映画『 パーフェクト 』の
サウンド・トラック盤でも彼らの演奏を聴くことができる
ラヴァーボーイも" ヘヴン・イン・ユア・アイズ "という曲で、力強いバラードを披露してくれている
" それ行け!ウィークエンド "や" ホット・ガールズ "のヒットで有名なカナダ出身の若手ロック・
グループだが『 フットルース 』のサウンド・トラック盤ではメンバーのマイク・レノがハートのアン・
ウィルソンと" パラダイス~愛のテーマ "というラヴ・バラードをデュエットしてこれも評判になった
夏の夜のドライブ・チューンを狙ったともいわれる" ホット・ナイト・サマー "はマイアミ・サウンド・
マシーンの演奏、キューバ人を中心に構成され文字通りフロリダのマイアミで誕生、" コンガ "の大ヒット
以来ラテン系のエキゾチックな香りを盛り込んだディスコ調の軽快な音楽で人気を集めた
ラリー・グリーンはデビューしたばかりのハード・ロック・グループ、フォーチュンのリード・シンガー
で、ここでも彼は" 炎をぬけて "という曲でパンチのある歌声を披露してくれた
そして" 行き先のない旅 "におけるマリータの情熱を秘めた声の爽やかさに暑い余韻が" トップガン "へと
引き継がれ、このアルバムは幕を閉じる
新しい視界への扉を押し広げるような、この見事なインストゥルメンタル・ナンバーをハロルド・
ファルターメイヤーと共演し、素晴らしいギターを披露しているのはスティーヴ・スティーヴンス、
ビリー・アイドルの相棒としてお馴染みの彼は、ロック界が大きな期待をかけていたギタリストだ
テッド・テンプルマンのプロデュースで、ソロ・アルバムを製作中だという話も当時伝わってきていた