元ディープ・パープルのギタリスト、リッチー・ブラックモアが
率いたRAINBOW、HR/HMの基礎を確立した先駆者
1981年当時、相次ぐメンバー・チェンジ、コージー・パウエル、グラハム・ボネットの脱退劇に多くの
ファンは不安を抱いたに違いない
しかし、不安はありながらもレインボーに対するファンの信仰はまったく揺らぐことはなかった…それは
巾広いファン層が証明している
レインボーの人気の秘密はこの層の広さにあるといってもおかしくない
つまり、60年代後半からブリティッシュ・ロック・シーンに浮上してきたハード・ロック・ムーヴメント
から当時のヘヴィ・メタル・ロックへの伝承ということだ
ハード・ロックの代名詞といわれていたディープ・パープルはレッド・ツェッペリンと並び当時に王座に
君臨していたが、時の流れとともに彼らが煮詰まっていたことはいうまでもないことだ
常に最高で、エキサイティングなハード・ロックを要求するファンに対して、パープル自体音楽性が
限界に達していたのだ
ディープ・パープルという" わく "の中において、いつも同一方向へその音楽を定められるなら、何年か後
にやることがなくなるのは目に見えてくる
" わく "の中を一周したなら、同じようなところに戻ってしまう
あとは1度通ったところをグルグルと何度も回るだけ、惰性的に…これでは進展しない
メンバーたちのイラツキから、当時グループは異様な雰囲気だったという
§ Recorded Music §
1 All Night Long - オール・ナイト・ロング
2 Man on the Silver Mountain - 銀嶺の覇者
3 Lost in Hollywood - ロスト・イン・ハリウッド
4 Jealous Lover - ジェラス・ラヴァー
5 Long Live Rock 'N' Roll - ロング・リヴ・ロックン・ロール
6 Stargazer - スターゲイザー
7 Kill the King - キル・ザ・キング
8 A Light in the Back - ア・ライト・イン・ザ・バック
9 Since You Been Gone - シンス・ユー・ビーン・ゴーン
10 Sixteen Century Greensleeves - 16世紀のグリーンスリーヴス
11 Catch the Rainbow - 虹をつかもう
12 Eyes of the World - アイズ・オブ・ザ・ワールド
13 I Surrender - アイ・サレンダー
14 Gates of Babylon - バビロンの城門
15 Can't Happen Here - キャント・ハプン・ヒア
16 Starstruck - スタートラック
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この" わく "の中からいち早く脱出したのは、リッチー・ブラックモアだった
パープル脱退である…それは同時にレインボーの誕生でもあったわけだ
パープルの音楽形態=リッチーブラックモアであったように、レインボーにもいえることだが、もっとも
レインボーの場合は、リッチー・ブラックモアのソロ・アルバム制作がデビュー・アルバムになった
わけで結成したときからリッチーは中心核であり、グループそのものだったわけだ
レインボーの音楽性は、彼の生き方そのものを象徴しているようだ
パープル時代のサウンドからポップになってきたレインボーのサウンド、同一線上にある一定した
パターンを保ち続け、その範囲内で精進を続けていた
これは彼の自分の中に可能性を、あらゆる角度から表現しようとしていたからなのだ
不変的な形態から360°見回す、あるときはヘヴィにそしてポップに変換する形態は一周りし一段上に上る
例えるなら不変的なフレーズを一本の柱とする螺旋階段のようだ
レインボーは確かにポップになった
" ダウン・トゥ・アース " " アイ・サレンダー "は、アメリカのマーケットに向け、以前の暗さのような
中性的なイメージは減少してしまった
アルバムに関しては、それまでのファンに物足りなさを感じさせたに違いない
しかし、あくまでもレコード上においてであって、レインボーの人気には支障がなかった
普通の場合、ファン層はバトン・タッチしていく、バトンをレコードにするならトラックはコンサート
活動に等しくなる
レコードが自分好みでなくなると、それを支持する世代へとバトン・タッチしていく
レインボーもレコード面においては、多少なりバトン・タッチをしているがタッチしたランナーは
そこから離れない
つまり、バトンは渡ってもバトンを持った世代のランナーとともに、レインボーのコンサートという
トラックを走り続ける
ここにリッチー・ブラックモアの方程式が成立していた
レインボーほどメンバー・チェンジの多いグループはないが、その体制に影響はなかった
魔神リッチー・ブラックモアにギター奏法に、最大の魅力があるのはいうまでもない
彼のギターには一種の魔法的な" 響き "があるかのようだ
中世音楽的な曲の流れと、メロディ・ラインの美しさは実に日本人の感性にピッタリくる
スリリングなギター・ワークから一変してブルージーな" ため "のギターへと変転する
リズム、この変転するリズムこそが魔法的な" 響き "を武器とするリッチーに一味も二味も違った魅力だ
たとえアルバムがポップな仕上がりでも、コンサートにおいてのリッチー・ブラックモアのギター・
プレイが堪能できればそれでいい