イタリア・ポンペイ遺跡での無人観客ライヴ
1972年、ピンク・フロイドはイタリアにある
古代ポンペイの遺跡で" Echoes "を演奏
眠れる古代の神々とピンク・フロイドを線で結び、その儀式で獲得したエネルギーを再び宇宙のリズムと
融合させ、画期的な実験は成功する
その歴史的な一瞬をエイドリアン・メイベン監督はドキュメント映像として記録した
それがこの" ピンク・フロイド:ライヴ・アット・ポンペイ "である
深い眠りから目を醒ます古代の神々を現代に導くように、幻想的な" エコーズ "のイントロが流れ出す
このイントロの鍵盤の音は、フランスの現代音楽家として知られるピエール・アンリの傑作" オルフェ "
から強い影響を受けて創作されたものだといわれている
§ Recorded Music §
1 Introduction - イントロダクション
2 Echoes ( Part Ⅰ ) - エコーズ( パート1 )
3 Interview Part 1 - インタビュー1
4 Careful with That Axe Eugene - ユージン斧に気をつけろ
5 A Saucerful of Sicrets - 神秘
6 Interview Part 2 ( Us and Them ) - インタビュー2( アス・アンド・ゼム )
7 One of These Days - 吹けよ風、呼べよ嵐
8 Set the Controls for the Heart of the Sun - 太陽讃歌
9 Interview Part 3 ( Brain Damage ) - インタビュー3( ブレイン・ダメージ )
10 Mademoisells Nobs - マドモアゼル・ノブズ
11 Echoes ( Part Ⅱ ) - エコーズ( パート2 )
§ Band Member §
David Gilmour - デヴィッド・ギルモア( G )
Nick Mason - ニック・メイスン( Ds )
Roger Waters - ロジャー・ウォーターズ( B )
Richard Wright - リチャード・ライト( Key )
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ピエール・アンリはバレエ音楽に現代音楽を持ち込んだ人物で、後にピンク・フロイドはローラン・プチ
バレエ団とパリで共演するなど、ピエール・アンリに対する深い傾倒を行動で示した
このドキュメンタリーの舞台はポンペイの遺跡、パンクラチオンの廃墟である
格闘や演劇、祭りごとが行われたその廃墟に立ち、4人の男たちは祈るように演奏を続け、自然と調和し
その自然を超越するエネルギーを操りながら、彼らが古代との対話を実践するのである
ロジャー・ウォーターズは太陽に溶け込み、デヴィッド・ギルモアのギターは風を呼ぶ
この自然に溶け込む神秘的な姿は、伝説とかした1971年の箱根アフロディーテを彷彿させ、彼らは大地に
祈り、宇宙のリズムを呼び込むのである
ライヴ・パフォーマンスは儀式となり、意識は時空を超える
ロックという音楽は、あらゆる芸術を凝縮する現代の魔法の如き魅力を内包していた
ピンク・フロイドのこの前衛的な姿勢は、そのロックの凄みをストレートに表現したともいえる
プログレッシブ・ロックは進化すべき精神と伴走した
その先頭を走ったピンク・フロイドは、人間に潜在する狂気を鋭く描写しながら、それを幻想的な
オブラートで包む方法で表現した
ピンク・フロイドの求めた世界のすべてが凝縮されている
アビー・ロード・スタジオでのインタビューで" 確かに機材は重要だ しかし、それをいかにコントロール
するかが大切だ 機材に操られちゃいけない "とメンバーは語っている
プログレッシブ・ロックという音楽の" 核 "を彼らはサラリと説明する
ムーグ・シンセサイザーの多用で苦しんでいくエマーソン・レイク&パーマーが当時彼らのこの発言を
どう捉えたか考えてみると興味深いものがある
アビー・ロード・スタジオに流れる" アス・アンド・ゼム " " ブレイン・ダメージ "と格闘するメンバーの
姿は心を熱くさせる
名作" 狂気 "の誕生の瞬間をこのドキュメンタリーは生々しく捉えている
ロックは濃厚さと深さを忘れつつあったが、この映像ではどこまでも果てしなく続く陶酔と、イデオ
ロギーの強さを表現しながら、ロックという音楽の原始的な躍動感を改めて教えてくれている
厳粛な気持ちになり、時間は止まり、その瞬間に歴史が交差する
失われた者たちへの語りは静かだが熱く、そして眠りを醒ましていく
ピンク・フロイドはイマジネイションの彼方に飛翔する
美しい映像は、安らぎを創り上げ感動を与えてくれる
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