80年代に入って" Stevie Ray Vaughan&Double Trouble "登場
1983年、話題になったのがスティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルで、それもこの当時
EPICというメジャー・レーベルから白人のブルース・マンとなれば誰でも驚くだろう
出身はテキサスのオースティンとくれば、出てきて当然、かっこいいのも当たり前と思う次第
一言で言えば" 血 "のせい、" テキサス "の血である
デビュー・アルバム" テキサス・フラッド "はサブ・タイトルに書かれているが、文字通りブルースの
洪水で、ギミックなしのロッキン・ブルース、若いギター・キッズはもちろん、ブルース・ファンや
ロック・ファンに限らず、あらゆる人が楽しめたはずである
同時に数多くのエピソードが伝わったが、とりわけデヴィッド・ボウイ、ミック・ジャガーが肩入れした
という事実がある
彼らはスティーヴィーたちが演じるブルースを" ホンモノ "と認めたということだと思う
§ Recorded Music §
1 Scuttle Buttin' - スカットル・バッティン
2 Couldn't Stand the Weather - テキサス・ハリケーン
3 The Things ( That ) I Used to Do - ザ・シングス・アイ・ユーズ・トゥ・ドゥ
4 Voodoo Chile ( Slight Return ) - ヴードゥー・チャイル
5 Cold Shot - コールド・ショット
6 Tin Pan Alley - ティン・パン・アレイ
7 Honey Bee - ハニー・ビー
8 Stang's Swang - スタングス・スワング
§ Band Member §
Stevie Ray Vaughan - スティーヴィー・レイ・ヴォーン( G,Vo )
Tommy Shannon - トミー・シャノン( B )
Chris 'Whipper' Lyton - クリス・ホイッパーレイトン( Ds )
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このアルバムリリース時の1984年、スティーヴィーは29歳だったが、3歳上の兄ジミー・ヴォーンの
影響でギターを弾き始め、ブルースに興味を持ち12歳でダラスのクラブで演り始めるのだがトップ40専門
のバンドでは嫌だったので、1972年にはオースティンに活動の場を移している
オースティンでは数多くのバンドを転々として、70年代中ごろから78年ごろまではトリプル・スレッド・
レビューに参加し、このバンドが解散するとポール・レイ&コブラスに加入、その後ドラマーのクリス・
ホイッパー・レイトンとベーシストのトミー・シャノンとともにダブル・トラブルを結成、トリプル・
スレッド・レビュー時代にも2人は加わっていた
82年4月、ローリング・ストーンズのツアー・サポート・バンドのオーディションを受け、絶賛を
浴びたがツアーには合流せず、7月にはモントルー・ジャズ・フェスティバルにオースティンで彼らを
観て気に入ったジェリー・ウェクスラーの好意で異例の参加
その後、ジョン・ハモンドと契約し、LAのダウンタウン・スタジオで1stアルバム" テキサス・フラッド~
ブルースの洪水 "をレコーディングをし、デヴィッド・ボウイの" レッツ・ダンス "にギタリストとして
6曲参加する
このレコーディング・セッションでニューヨーク滞在中に同じテキサスのブルース・ギタリスト、
ジョニー・コープランドのレコーディングに参加している
83年4月にはボウイのツアー・バンドの一員としてダラスのリハーサルに参加するが、5月中旬ツアー初日
の2日前に自分のバンド、ダブル・トラブルでの活動に専念したいため、ボウイのツアー・バンドを脱退
天下のデヴィッド・ボウイを蹴るとは、なんとも珍しい話である
スティーヴィーはダブル・トラブルを一番大切にしていたわけで、この後アメリカをツアーし、この年の
8月再びモントルーに参加ヨーロッパ・ツアーも行い、1stアルバムは7月にチャート・イン、ビルボード
のアルバム・チャートは38位まで上がった
そして、このセカンド・アルバム" テキサス・ハリケーン "
いきなりイカスギターのリフで始まる" スカットル・バッティン "、スピード感たっぷり聴かせ、アルバム
タイトル曲の" テキサス・ハリケーン "は彼がもっとも影響を受けた60年代後期から70年代初期にかけて
ディスコティックで流行ったサイケデリック・ロック・タイプの曲である
" ザ・シングス・アイ・ユーズ・トゥ・ドゥ "はオリジナルの迫力をそのまま伝え、かつシャープに
演奏している
オリジナルはギター・スリムで1954年のヒット、ダグ・サームもアルバム" ヘル・オブ・スペル "で
取り上げている
" ヴードゥー・チャイル "は、ジミ・ヘンドリックスの作品でヴォーカルがジミ・ヘンより黒っぽく感じ
られるし、" ティン・パン・アレイ "はシカゴのブルース・ギタリストのジミー・リードの作品でここでは
思いっきり泣かせてくれる
ドラムスからフィル・インする" スタングス・スワング "、ランニング・ベースも心地いいし、途中の
ギターとサックスのかけあいも妙、ジャズ・ギタリストのチャーリー・クリスチャンにインスパイア
されて作ったようだ
この後、グラミー賞を受賞したりと精力的に活動していたが、1990年ヘリコプターの墜落事故にて、
短い音楽活動が終わる