さらに格段の飛躍を果たしたNew SANTANA Bandの" BORBOLETTA "
SANTANAはまたも大巾なメンバー・チェンジを敢行した
かねてから退団を噂されていたダグ・ローチ(b)、ゲスト・シンガー扱いだったレオン・トーマス(vo)らの
顔が見えないのはまだしも、オリジナル・メンバーのマイケル・シュリーヴ(ds)がまったく突然のごとく
グループから脱けてしまったことに驚いた
しかし、これはマイケルのかねてからの計画であった
マイケルは自分のグループを結成し、愛妻でシンガーであるウィンディ・ハースとともに新しい音楽の
創造に取り組むための第一歩ともいうべきソロ・アルバムのレコーディングが開始されるところだった
ほかには、リチャード・カーモード(key)の脱退、トム・コスターと並び絶妙のコンビネーションを発揮
したカーモードのファンキーなキーボードが聴けなくなったのは残念だが、代わりに入ったレオン・
パティロがキーボードに加えて歌えるという強みが思い当たれば、かねてから本格的なヴォーカリストを
求めていたサンタナ・バンドにとっては、当然起こるべくして起こった交代劇であった
§ Recorded Music §
1 Spring Manifestations ( Sound Efects ) - 春の訪れ
2 Canto De Los Flores - 花の歌
3 Life is Anew - 新たなる旅立ち
4 Give and Take - 果てしなき世界
5 One with the Sun - 太陽のもとへ
6 Aspirations - 熱望
7 Practics What You Preach - 君の教え
8 Mirege - はかない夢
9 Here and Now - ヒア・アンド・ナウ
10 Flor De Canela - シナモンの花
11 Promise of a Fisherman - 漁夫の契
12 Borboletta - 不死蝶
§ Band Member §
Carlos Santana - カルロス・サンタナ( G )
Tom Coster - トム・コスター( Key )
Armando Peraza - アーマンド・ペラーザ( Per )
Jose 'Chepito' Areas - ホセ・チェピート・アリアス( Per )
Leon Patillo - レオン・パティロ( Vo,Key )
Jules Broussard - ジュール・ブルザード( Sax )
David Brown - デヴィッド・ブラウン( B )
Leon 'Ndugu' Chancler - レオン・チャンクラー( Ds )
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御大カルロス・サンタナと、その右腕的存在のトム・コスター、そしてグループを去ったマイケル・
シュリーヴの3人のプロデュースのもと、いつものようにグレン・コロトキンのエンジニアで完成された
このアルバムは、ポルトガル語で" 蝶 "を意味する" BORBOLETTA "というタイトルが付けられた
カルロスの師スリ・チンモイの教えに関連する何か象徴的な意味がこの" 蝶 "に込められているであろう
という可能性は充分にあり得ることだが、それ以上のことはわからない
" ウェルカム "が通常のヴォリュームの1枚のアルバムで発表されたとき、テイクされなかった" マントラ "
や" ジャーニー "がテイクされるかと思ったが、結果は" 熱望 "と" ヒア・アンド・ナウ "の2曲のみを
取り上げて、ほかのすべては新たにレコーディングした新作ばかりで構成されている
カルロス・サンタナの音楽がジョン・マクラフリンやグルのスリ・チンモイとの出会いを契機に大きく
変わってしまったことは有名だが、そうした彼個人のコルトレーン・ジャズな世界は、あの" 魂の兄弟
たち "と、さらにアリス・コルトレーンと共演した" 啓示 "とにおいてより一層、色鮮やかなものになった
この" 不死蝶 "のアルバムはアイアートというパーカッショニストのインプロヴィゼーションによって
始まり、そして終りとなるが冒頭の" 春の訪れ "にいみじくも" サウンド・エフェクト "とサブ・タイトル
が付けられてあるように、アヴァンギャルドな趣きを漂わすこうしたサウンド・エフェクト風の導入は
" 天の守護神 "以来、サンタナのトレード・マークとも呼べるようなお馴染みのスタイルとしてすっかり
定着している
レオン・パティロのヴォーカルが" 君故に人生新たに "と歌うラブ・ソング" 新たなる旅立ち "は、
ファンキーなオルガン・ソロに続いて、お待ちかねのカルロスのギターが登場する
いかにもマイケル・シュリーヴ好みのチャーミングなメロディが印象的なこの曲の次にチェピートの
ティンバルをフィーチャーした典型的なサンタナ・サウンドが充分に堪能できる" 果てしなき世界 "が
登場し、チェピートとカルロスのスリリングなソロが絡み合って演奏も一段と熱を増す
ジュール・ブルザードのソプラニーノをフィーチャーした" 熱望 "はコルトレーン・ジャズ的であり、
カルロスのギター・ソロを彷彿させるソプラニーノ・ソロが逆にカルロスのギターがいかにコルトレーン
に近付こうとしているかを再認識させてくれる効果を発揮している
" ゴーイング・ホーム "的なイントロで始まる" 君の教え "は明らかにスリ・チンモイの弟子たるカルロス
の自負が書かせた曲であろう
" はかない夢 "でもカルロスのギター・ソロが楽しめるが、このアルバムの圧巻は何といっても切れ目なく
続けて演奏される" ヒア・アンド・ナウ " " シナモンの花 "そして" 漁夫の契 "の3曲であり、カルロスの
ギターがアーマンド・ペラーザのラテン・パーカッションを伴って自由奔放に飛翔する様を思わせる
後半の盛り上がり方は素晴らしい
激しい興奮を鎮める如きアイアートの素朴な" 不死蝶 "の演奏が、再び蝶の舞を飛ぶ美しい春の訪れを
思わせて、アルバムはまた始まっていく
- アーティスト: Santana
- 出版社/メーカー: Sbme Special Mkts.
- 発売日: 2008/02/01
- メディア: CD
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