アルバム・タイトル、ジャケット・ワーク、楽曲、演奏
フィーリングとすべての面で素晴らしいアルバム
" ナンタケット・スレイライド "とは、ナンタケット島の捕鯨漁師に伝わる話で、大きなクジラに銛を
突き立てるとクジラは漁船を引っ張って暴れまわる…その船の様子が" 橇( スレイ )"にそっくりな
ところからいわれていたのだとか
この曲の主人公の男は女に別れを告げ3年の漁に出かけるが、クジラを捕まえることができず食料もつき
40人の乗組員で誰を犠牲にして生き残るか、という究極の決断を迫られる…究極のくじ引きに負けたのが
オーウェンであった
レスリー・ウェストのハード・ロック志向、そしてフェリックス・パパラルディのクラシック志向が
ぶつかり合いながらも見事な科学融合を発揮した作品、黄金時代のスタジオ作としては前作と合わせて
2枚しか残されていないために非常に貴重かつ重要な作品でもある
§ Recorded Music §
1 Don't Look Around - ドント・ルック・アラウンド
2 Taunta - タウンタ
3 Nantucket Sleighride ( to Owen Coffin ) - ナンタケット・スレイライド
4 You Can't Get Away - 君は俺のもの
5 Tired Angels - タイアド・エンジェルス
6 The Animal Trainer and the Toad - アニマル・トレーナー
7 My Lady - マイ・レディ
8 Travellin' in the Dark - 暗黒への旅路
9 The Great Train Robbery - 偉大なる列車強盗
§ Band Member §
Leslie West - レスリー・ウェスト( Vo,G )
Felix Pappalardi - フェリックス・パパラルディ( Vo,B )
Steve Knight - スティーヴ・ナイト( Key )
Corky Laing - コーキー・レイング( Ds )
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自らの才能に絶望したコーキー・レイングが" ナンタケット・スレイライド "で暴力的に叩きまくったと
あるが、この絶望のドラミングがフェリックス・パパラルディの気に入るところとなり曲が完成したとか
ちなみにナンタケット島に最初に棲みついたのがレイングで、パパラルディはレイングを追って島に
移住したそうだ
パパラルディの一世一代のドラマティックな曲は、妻のゲイル・コリンズが作詞している
希望と絶望が交錯し、ウェストのギター、パパラルディの叙情的なベース、怒りのドラミングが調和した
曲となっている
そのほかの楽曲もゲイル・コリンズを含めたメンバーの共作だが、全体的にはパパラルディが主導を
握った感がある
" タイアド・エンジェルス "はジミ・ヘンドリックスに捧げられている
レスリー・ウェストなり、フェリックス・パパラルディなり曲作りを主導したメンバーの個性がそのまま
出た楽曲が多いが、そこに無理やり各々の個性をぶつけているため、その拮抗・飽和加減が非常に
面白く、とにかく暑苦しいサウンドだが、それだけにこれほどハード・ロックらしい作品も珍しい
彼らの場合、単なるハード・ロックに終わらない部分も多分に含まれるのだが、まとまって音として
出てくるのはほかを圧倒するほどのヘヴィな演奏であり、その点だけでもほかの追従を許さない
前作と比較すれば有名曲は少ないが、曲も粒ぞろいでそんなことはどうでも良くなるほど素晴らしい
作品である
クリームのプロデューサであったフェリックス・パパラルディが中心となり、ホームレスだった
レスリー・ウェストをギターに抜擢した実にパワフルなアメリカン・ハード・ロック・バンド、
本アルバムはマウンテンの中でももっとも充実した完成度の高いアルバムになっている
楽曲は秀作ぞろいで中でもタイトル曲は感動的である
パパラルディが特に活躍しているアルバムで、メロトロンやオルガンもオーバー・プロデュースに
ならない程度に効果的に使われいるし、叙情的で印象的な歌メロが耳に心地よく、それに絡むギターと
ベースとドラムも素晴らしい
本作でマウンテンの頂上に至り、このバンドは完全に開花、しかもアメリカン、テイストのハード・
ロックとして…
レスリー・ウェストの" 泣き節 "ギターをはじめ、各パートの演奏もさることながら、また曲がいい