Micheal Jackson…世界一有名なんじゃない
宇宙一有名なんだ
ポップ・ミュージック界において、超ド級のアルバムを引っ提げたアーティストがミュージック・シーン
に風雲児のごとく現れ、天才だなんだともてはやされ、そのわずか数年後には音楽史のゴミ溜めの中に
放り出されてしまうのはそう珍しいことではない
それは" 天才とは何か "という些細な疑問を抱く暇もなく起こり得る現象だ
アメリカという国は、あたかもマッチに点火するようにポップ・スターたちを燃やし尽くしてしまう
一人のアーティストのキャリアを推し量る道理にかなった基準は、短期間のうちに放ったヒット曲の
数ではなく、世間の音楽的嗜好や時代が求める変遷に屈することなく、長年かけて構築された一連の
作品にある
永続する偉大さとは2年、いや5年でも当てはまらいことは明白であり、やはり10年とか20年といった
長い年月にわたって活動し続けてのこそのものだ
その偉大さはアーティストの成熟と進化に比例する
やがてそれは、自分が傑出した存在になることと自己表現を追求してやまないそのアーティストの
人生の記録となる
§ Recorded Music Ⅰ §
1 I Want You Back - 帰ってほしいの
2 ABC - ABC
3 The Love You Save - 小さな経験
4 Got to Be There - ガット・トゥ・ビー・ゼア
5 Rockin' Robin - ロッキン・ロビン
6 Ben - ベンのテーマ
7 Blame It on the Boogie - 今夜はブギー・ナイト
8 Shake Your Body ( Down to Ground ) - シェイク・ユア・ボディ
9 Don't Stop 'Til You Get Enough - 今夜はドント・ストップ
10 Off the Wall - オフ・ザ・ウォール
11 Rock With You - ロック・ウィズ・ユー
12 She's Out of My Life - あの娘が消えた
13 Can You Feel It - キャン・ユー・フィール・イット
14 The Girl is Mine - ガールズ・マイン
15 Billie Jean - ビリー・ジーン
16 Beat It - 今夜はビート・イット
17 Wanna Be Stratin' Somethin' - スタート・サムシング
18 Human Nature - ヒューマン・ネイチャー
19 P.Y.T. ( Pretty Young Thing ) - P.Y.T.
20 I Just Can't Stop Loving You - キャント・ストップ・ラヴィング・ユー
21 Thriller - スリラー
§ Recorded Music Ⅱ §
1 Bad - バッド
2 The Way You Make Me Feel - ザ・ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール
3 Man in the Mirror - マン・イン・ザ・ミラー
4 Dirty Diana - ダーティ・ダイアナ
5 Another Part of Me - アナザー・パート・オブ・ミー
6 Smooth Criminal - スムース・クリミナル
7 Leave Me Alone - リーヴ・ミー・アローン
8 Black or White - ブラック・オア・ホワイト
9 Remember the Time - リメンバー・ザ・タイム
10 In the Closet - イン・ザ・クローゼット
11 Who is It - フー・イズ・イット
12 Heal the World - ヒール・ザ・ワールド
13 Will You Be There - ウィル・ユー・ビー・ゼア
14 You Are Not Alone - ユー・アー・ナット・アローン
15 Blood on the Dance Floor - ブラッド・オン・ザ・ダンス・フロア
16 One More Chance - ワン・モア・チャンス
17 You Rock My World - ユー・ロック・マイ・ワールド
マイケル・ジャクソンの音楽的感性が研ぎ澄まされた人生は、クインシー・ジョーンズが言うところの
" とんでもねぇパワー "、言い換えるなら音の完璧さの着想を得る際のピタリと合った焦点、そして才能
との融合がもたらすパワーの証である
ジャクソン5時代の思春期のころのズバ抜けた歌唱力を披露する前から、ジャクソンズのメンバーとして
活動していたティーン・エイジャー時代、そして音楽史に残る大人になってからの目覚ましいソロ活動に
至るまで、マイケルは膨大な量に上る高質な楽曲のリストを手がけて名を成したクリエイターの概念に
命を吹き込んできた
" エッセンシャル( 絶対不可欠な )"という言葉を用いる時、一般的にはあるパフォーマーの才能に
よってもたらされた作品をむしろ制限するものという印象を受けるだろうが、マイケルの場合は、どの
アルバムも躍動感に満ちていて、彼が放った数多のヒット曲ばかりでじゃなく、何れの曲でも彼の
底知れぬパワーが堰を切ったようにあふれ出しているが、手にあまるほどの珠玉のナンバーから選り
すぐりの曲を聴きたいと願うなら、インディアナ州ゲイリーで過ごした幼いスターだった時代から、
世界的なスーパー・スターへと登り詰めるまでのキャリアを網羅したコレクションが、その要望に
応えてくれると思う
ベスト盤やグレイテスト・ヒッツといった類のアルバムに、どの曲が必要不可欠でどの曲が不要なのか…
結局のところ人それぞれの好みによって異なるものだ
マイケルに関していえば、これまでジャクソン5が所属していたモータウンから、そしてジャクソンズが
所属していたエピックから手を変え品を変え実にさまざまなヒット曲集が無数に市場に送り出された
2004年には究極のボックス・セット" マイケル・ジャクソン・アルティメット・コレクション "が
リリースされている
マイケルが過去にレコード盤やCDに刻んできた歌声をすべて網羅したコレクションを作るのは不可能に
近いものがある
しかしながら、密度の濃いコレクションならばテーマを決めて、これぞという有名曲・代表曲をギュッと
詰め込むことは可能である
" アルティメット・コレクション "では、コアなファンを意識してかお馴染みの曲であっても、その未発表
テイクやデモの音源、さらにはまったく未発表の曲をこれでもかと収録してあった…そのため上述では
" 究極 "であった
一方、この" エッセンシャル・マイケル・ジャクソン "の最大の特徴は" 歌唱力という天賦の才能に
恵まれたマイケルのヴォーカルを、思う存分堪能できるコレクション "
マイケルを取り囲む環境は、善きにつけ悪しにつけ常に眩しいときもあった
マイケルが優れたダンサーであり、パフォーマーであることは先刻承知だが、彼の出発点は" シンガー "で
あったことを、多くの人々は忘れてしまっているのではないだろうか
このコレクションは、そうした人々にもマイケルの並外れた歌声を充分に味わえる
マイケル・ジャクソン…不出世のシンガーであったことを思い出してほしい